ハプティクス

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ハプティクス

ハプティクス(haptics)は日本語では「触覚技術」「触覚フィードバック」とも呼ばれています。ギリシャ語のhaptikosが語源となっており、“I touch”と言う意味があるようです。力学的あるいは電気的な刺激によって、触っている感覚を生み出す技術です。

たとえば、ディスプレイを押したり触れたりしたときに硬く感じたり、ボタンを押したと同じような感覚を感じたり、あるいはざらざらやぬるぬるといったさまざまな感覚を感じたり、そうした触覚や力の感覚を通じて、情報を伝えるのがハプティクス技術です。ハプティクス技術はすでに、 スマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機などの日常使用する製品のほか、医療、産業用の製品などにも採用されつつあります。アップルが「Taptic Engine」と呼ぶ操作時の感触を手にフィードバックする振動デバイスもそうしたものの一つです。

触覚

触覚の再現は他の感覚に比べると研究が遅れていた分野です。それは、他の感覚が目・鼻・口という特殊器官を媒介とするのに対し、触覚は身体全体から感じるということ、個人差が他の感覚に比べ大きいこと、さらに力触覚については、視覚や聴覚と異なり、信号の流れが双方向的で、力の作用反作用則のため信号の伝達に時間的な遅延が許されないといったことが要因となっていたようです。

また、触覚はその仕組みが複雑であることも挙げられるようです。生理学者は触覚には次の六つの感覚タイプが含まれ、それらいくつかのコンビネーションによって様々な感覚を作り出しているととらえているようです。

①力感知
②質感感知
③固有受容性感知:肉体の関節位置や筋肉姿勢の知覚
④温度感知:感知した物体の温度と放熱量(ヒートシン
ク量)のコンビネーション
⑤前庭器官:重力加速度方向の感知
⑥痛み感知:痛覚
(JTEKT ENGINEERING JOURNAL No. 1012 (2014)「Haptics as a Key Technology in Man-Machine Interface」  Prof. Hannes Bleuler より)

①,②、③の三つの感覚タイプにより、滑り感なのか粘着感であるのかを区別でき、さらに④を加えた四つの触覚感覚によって濡れ感と乾燥感を区別できるというわけです。

ハプティクス技術とイマージョン社

振動を使ったハプティクス技術では、米国のイマージョン(Immersion)という企業が多くの特許と知財を保有しています。特許は世界で1200件以上、出願あるいは取得済みということです。そして、スマートフォンやタブレット端末では、多くの製品で「HDハプティックス」などイマージョンの技術が搭載され、操作するときに、振動の強弱で、タッチした感触やボタンの押下感が再現されています。

ハプティクス技術に関しては、2016年2月に米Apple、米AT&T、米AT&T Mobilityがイマージョン社の特許を侵害しているとして提訴されています。イマージョン社は、かつてソニーとMicrosoftに対してもハプティクス技術の特許侵害訴訟を起こしたことがあります。今回の訴訟は、iPhone 6、iPhone 6プラス、iPhone 6S、iPhone 6SプラスやApple Watch関連商品に使われている触感フィードバック技術に関するもので、具体的には「保存された効果を伴う触覚フィードバック」「触感提供のための方法および装置」「モバイル端末での共有フィードバックのための双方向モデル」です。

ハプティクス技術の応用

ハプティック技術の応用分野としては、大きく、遠隔医療や外科手術ロボット、災害救援用ロボットなどの「操縦」、遠隔でのインタラクティブ通信といった「コミュニケーション」、視覚障害者のための視触覚変換といった「感覚変換」、歩行誘導などの「ナビゲーション」等の4つの分野が挙げられるとのことです。
(「ハプティックインタフェースの実世界応用」電気通信大学 梶本裕之 より)

同氏は具体的に、「触覚で操作のガイドや確認ができ、かつ繊細で微妙な描画操作なども反映でき、コンテンツのリアリティを生み、臨場感、没入感を高めるタッチパネル」「映画のドキドキ、ビックリなどの情動シーンの再現」「スポーツ選手の筋肉の動きを、一般のトレーニング中の人の身体に再現したり、バイオリニストのバイオリンと手・腕の動きの再現」「視覚・聴覚と触覚を組み合わせることで、VRやARの臨場感と没入感を高める」「身体の一部でなく身体全体への触覚提示で臨場感や没入感は高める」といった技術の応用を挙げておられますが、他にもいろいろな応用分野が考えられるようです。

〇 HapticWave

触覚を再現するコントローラーにはグローブを手に装着するタイプが多いのですが、HapticWaveは、グローブなしで触覚を再現する円盤型のデバイスで、Oculusが開発を進めています。円盤の表面に触れることでVR内オブジェクトの触感を体験することができます。

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(https://www.technologyreview.com/s/601833/oculus-project-lets-you-feel-in-vr-without-gloves/ より)

〇 Basslet

腕時計のように手首に装着して、重低音を再生するサブウーファーをウェアラブル化したもので、ベルリンのスタートアップ、ロフェルト(Lofelt)が開発しました。このデバイスは、独自開発したハプティクス・エンジンLoSoundを搭載し、10~250ヘルツの低周波に反応して音楽と同期して振動し、ライブの臨場感を味わうことができるとんことです。

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(https://www.kickstarter.com/projects/basslet/the-basslet-a-wearable-subwoofer-for-your-body/description より)

〇 UnlimitedHand

UnlimitedHandは、腕に巻くだけでユーザの手指とVRゲーム内のキャラクタの手指とを連動させ直感的にVRゲームが操作でき、さらにVRゲーム内の擬似的な触感も得られるという「触感型ゲームコントローラ」で、H2L株式会社が開発したものです。UnlimitedHandは、手でVRゲーム内のキャラクタを撫でたり、銃の反動を感じたりすることができるそうです。

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(http://unlimitedhand.com/ja/ より)

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