テクノロジーによる視覚障がい者のサポート

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視覚障がい者の不安

視覚障がいを持った人は全国には30万人以上いると言われています。視覚障がいの方の最も不安なのは外出かもしれません。歩道上の段差、道路の障害物、駅のホームなど多くの危険があります。また、行き慣れた場所以外へ出かけるのは大変不安にもなります。
国土交通省によれば、2010~2014年度の5年間に発生した駅ホームからの転落事故と車両接触事故の合計は1万7251件あり、その内389件が視覚障がい者の方の事故だそうです。
今回は、そうした視覚障がいの方の安全を守り、安心して生活を送ることができるようテクノロジーを駆使したスマートなデバイス等を紹介します。

歩行サポート

Horus(ホルス:Horus Technology)

イタリア・ミラノのスタートアップ企業Horus Technology社が開発したウェアラブルデバイスです。ステレオカメラと骨伝導のスピーカーを備えるヘッドセットと、Horus Coreと呼ばれるスマホサイズの本体からなります。

本体には、NVIDIAのGPU内蔵モバイルプロセッサ「TEGRA K1」を搭載し、ディープラーニングなどによって、カメラが撮影した画像を処理、分析し、ユーザに音声でアドバイスします。

進行方向の障害物、交通標識や交通信号の他、人がいれば顔認識し、さらに知人であれば誰であるかまで伝えてくれます。また、風景、目の前の品物や印刷されている文字も伝えてくれます。

visually​_​impaired_001​(Horus https://horus.tech/?l=en_us より)

Eye棒

eye棒は、(株)ビッツが開発した視覚障害者支援近接アラーム器です。超音波距離センサーを搭載し、白杖だけでは知覚できない高いところのリスクを感知します。

ペンダントのように首から下げて使うことを想定しており、超音波距離センサーで障害物を検知すると本体内蔵のブザーで通知します。BLEでスマートファンとも連動可能で、音やバイブレーションで通知します。検知範囲は近設定(100cm、70cm、40cm)と遠設定(200cm、140cm、80cm)で選択できます。2017年中の製品化を目指しています。

visually​_​impaired_002_R(株式会社ビッツ https://www.bits.co.jp/info/ より)

OrCam MyEye

イスラエルのスタートアップ企業Orcam Technologies社が開発した目の前の視覚情報を瞬時に音声に変換するスマートメガネです。

メガネフレームに人工視覚技術内蔵の小型スマートカメラを搭載し、目の前の視覚情報がカメラによって捕捉されると、付属のミニスピーカーを介して話し言葉へと変換され、骨伝導イヤホンで内容を伝えてくれるとのことです。視覚障がい者だけでなく、識字障がいの方の支援も想定して開発されたようです。

visually​_​impaired_003_Rhttp://www.orcam.com/ より)

Blind Maps

デンマークのCopenhagen Institute of Interaction Design (CIID)が開発している視覚障がい者の進行先をナビゲートするデバイスです。

この製品は下図のようにスマートフォンに接続して使います。口頭で行き先を言えば、本体表面にある小さな穴から飛び出すボタンで進行方向を示してくれます。工事などで進めない不測の時でも、ルートを再設定してナビゲーションしてくれます。

ちなみに、Copenhagen Institute of Interaction Design (CIID)は2007年にできた教育部門と研究部門からなる新しい組織で、正式には大学ではないようです。

visually​_​impaired_004_Rhttp://ciid.dk/education/portfolio/idp12/courses/introduction-to-interaction-design/projects/blind-maps/ より)

guide glass

パンタグラフ(Pantograph)が開発している遠隔ガイドシステムの眼鏡型ウェアラブルデバイスです。

デバイスを装着した人と遠隔地にいる人が視野情報や位置情報を共有し、VoIPにより装着者と遠隔者で音声通話をすることが可能なため、会話をしながら案内やサポートを受けることができるというシステムです。

主に視覚障害者の外出をサポートすることを想定して開発されたものでが、お年寄りの見守りサービスや外国人旅行者への遠隔ガイドなどでの活用も考えられています。

visually​_​impaired_005_R(株式会社パンタグラフ https://pantograph.co.jp/guideglass/ より)

音声ナビゲーション

清水建設と日本IBM、三井不動産が日本橋の「コレド室町」と周辺地下道で2017年2月8日から始めた実証実験で、施設の天井に設置されたビーコンと専用アプリで位置を認識し、利用者に応じた最適の経路を日本語と英語で案内するというものです。

健常者には最短距離、車いす利用者には段差が少ない経路を案内してくれます。視覚障害者には点字ブロックの存在や、スマートフォンの加速度センサーとジャイロセンサーを使い、体の向きなども推測し、エレベーターのボタンの位置までも案内してくれるとのことです。

Wayfindr

ロンドンの地下鉄でも前述の音声ナビゲーションと同様の試みが行われています。ロンドン交通局及びデザイン会社のUStwoが中心となって開発し、実証実験を行っている視覚障がい者向けのスマートフォンアプリです。

地下鉄構内の要所に設置したBluetoothビーコンの信号をスマートフォンで受信し、骨伝導ヘッドフォンで音声案内するというものです。2015年12月から2016年1月にかけて実験実施が行われ、現在は実用化に向けて改良が行われているようです。

その他生活支援

Be My Eyes

Be My Eyesは、視覚障がい者と目の見えるボランティアのヘルパーを結びビデオチャットでサポートするアプリで、デンマークの非営利団体Be My Eyesが開発しました。

視覚障がい者がアプリで助けを求めると、Be My Eyesに登録してあるボランティアに通知が送られ、承認したボランティアが、視覚障がい者のスマートフォンのリアカメラで映すものを見て音声通話で対応する仕組みです。

ボランティアにはポイントシステムがあり、また、視覚障がい者とボランティアの関係がうまくいかなくなったときは次からはマッチングされない仕組みにもなっているそうです。日本語にも対応しています。

visually​_​impaired_007_Rhttp://www.bemyeyes.org/ より)

Tac-Touch(タックタッチ)

千葉にあるアイスマップ社が視覚障害者向けに開発した「触感時計」です。針も文字盤もありません。Tac-Touchは本体が振動することによって時間を知らせてくれます。7色のカラーラインナップになっており、一般の方でもおしゃれに使用することができます。もちろん、時刻だけでなく、アラームやタイマー機能も備えています。腕時計型、ストラップ型の2種類用意されています。価格はいずれも税抜きでおよそ12,000円です。

visually​_​impaired_006_R(アイスマップ http://www.ismap.co.jp/ より)

Dot Watch

点字を表示するスマートウォッチです。時計の表面に30の穴があり、ドットが出たり引っ込んだりすることで点字として文字を表します。同時に4文字まで表示でき、アラーム機能、通知機能、ナビゲーション機能、そしてBluetooth4.1を搭載し、iOS、Androidに対応しているそうです。

また、書籍などの文字データを点字にして表示する「電子点字リーダー」の機能も備えています。現在Dot Padの製品化を目指した開発も行われています。残念ながら、今のところ漢字交じりの日本語には対応していないようです。

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(dot http://fingerson.strikingly.com/ より)

 視覚障害者向け絵本製作サービス

(株)ミリメーターと(株)オープンエイジ総合研究所が共同で行っている3Dプリンタを使って視覚障害者向けの絵本を制作するサービスです。

複雑な絵や写真を手の感触で読み取れるよう3Dプリンタで立体し、点字と組み合わせて絵本を製作するというものです。視覚障害者一人一人に合わせた世界に一つの絵本です。

visually​_​impaired_008(株式会社オープンエイジ総合研究所 http://openage.co.jp/ より)
(株式会社ミリメーター http://millimeter.jp より)

TOUCHABLE INK

点字を家庭用のプリンターで安価に印刷して使えるようにしようという触ることのできるインクで、サムスンが開発中のものです。印刷したら、電子レンジなどで温めるとインクが浮き上がり固まります。
現在の点字用プリンターは安いものでも数十万円しますので、早く実用化されることが期待されます。

Automatic Alternative Text

Automatic Alternative TexthはFacebookが開発した自動代替テキストで、最新の物体認識技術を利用し、写真の内容の説明を自動的に生成します。フェイスブック上にある写真に含まれている要素が認識され、iOSの文字読み上げ機能を使って音声で目の不自由な人に写真の描写を伝えます。現在のところ英語のみのようです。

1件のコメント

  1. 目の不自由な家族がいます。外出や他人とのコミニュケーションに不自由を感じています(相手の顔や表情が読み取れないため)知能は低くないので、もっと日常生活や仕事に使える便利な機器があったら良いのにと常日頃考えていました。開発されている方がいらっしゃると分かり嬉しいです、早く安全に使えるものが実用化されることを願っています。

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