ダイナミックマップ

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ダイナミックマップをめぐる動き

自動運転を実現するうえで自車の位置を正確に把握することが非常に重要となりますが、それを実現する技術領域として「ダイナミックマップ」があります。高精度な三次元地図で、道幅、車線、停止線などは数センチの誤差で表示され、道の勾配、道路標識、建物、外灯なども3D化され、さらに車のカメラやレーザーで周囲を認識して地図情報と照らし合わせることもできるというものです。いわば静的情報と動的情報が組み合わせられた3Dマップです。
例えば、高精度な三次元地図と車両センサーとの組み合わせにより、縦方向・横方向の自己位置推定の精度が向上し、レーン単位での経路作成が可能となるほか、道路の先の勾配も把握できるようになります。

こうしたダイナミックマップの開発を目指して、2016年6月には、三菱電機株式、ゼンリン、パスコ、アイサンテクノロジー、インクリメント・ピー、トヨタマップマスター、いすゞ、スズキ、トヨタ、日産、日野、富士重工業、本田技研、マツダ、三菱自動車が、「ダイナミックマップ基盤企画株式会社」を設立しています。

大容量のダイナミックマップを大量の車が利用するとなるとネットワークに多大な負担がかかります。そこでこの問題を解決するために。2016年7月には、総務省がダイナミックマップの配信に関する実証実験の委託先としてNTTドコモとパスコを選定しました。パスコはダイナミックマップの更新技術の開発、ドコモは自動走行車へのダイナミックマップの効率的な配信技術の開発を行います。研究開発期間となる2016年度から2018年度までとなっています。

2016年12月に内閣府は、高速道路や一般道を使ってのSIP(戦略的イノベーション創造プログラム:Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program)「自動走行システム」の大規模実証実験を2017年9月~2019年3月にかけて実施することを発表しましたが、実験では、自動走行を実現するうえで重要な5つの技術領域を定めており、その実証実験の一つとして「ダイナミックマップ(自動走行用の高精度3Dデジタル地図)」があります。その他の領域は、「HMI(Human Machine Interface=人とシステムの間で運転を交代する場合に安全、円滑に行うためのインターフェース技術等)」、「情報セキュリティ」、「歩行者事故低減」、「次世代都市交通」です。

2017年3月20日からハノーバーで開催された「CeBIT」において、「電動モビリティ・自動運転・コネクテッドカー等に関する覚書」が日本とドイツの間で締結されました。その覚書における両国の協力分野は「電動モビリティ」「次世代充電システム」「国際的な標準化」「自動運転、コネクテッドカー関連するセキュリティー」など大きく8つの分野が挙げられていますが、その中に「ダイナミックマップ(3Dマップ)の技術も含まれています。そして、ヒアとDMPが高精度地図の測量・作図手法を共同で開発するための技術提携に向けた協議を始めるとの話もあります。

ダイナミックマップの実用化はSIPを中心に官民連携で推進されていますが、2016年度のダイナミックマップに係る関連事業次のようになっています。

map2017_002_R(自動運転の実現に向けたデータ基盤整備の方向(案)(「自動運転データ戦略」)平成29年3月9日 内閣官房IT総合戦略室 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/detakatsuyokiban/dorokotsu_dai3/siryou4.pdf より)

ダイナミックマップとは

官民ITS構想・ロードマップ2016」では、ダイナミックマップを

「静的な情報だけでなく動的な情報を組み込んだデジタル地図であり、基盤的地図情報(高精度3次元地図情報)と付加的地図情報からなる」

と定義し、

「道路及びその周辺に係る自車両の位置が車線レベルで特定できる高精度三次元地理空間情報(基盤的地図情報)及び、その上に自動走行等をサポートするために必要な各種の付加的地図情報(例えば、速度制限など静的情報に加え、事故・工事情報など動的情報を含めた交通規制情報等)を載せたもの」

と説明しています。

また、ダイナミックマップは時間軸によって4つのレイヤーに分かれています。1か月単位で動く静的情報(路面情報、車線情報、3次元構造物など)、1時間単位で動く准静的情報(交通規制情報、道路工事情報、広域気象情報など)、1分単位で動く准動的情報(事故情報、渋滞情報、狭域気象情報など)、1秒単位で動く動的情報(周辺車両・歩行者・バイク・信号情報など)の4階層です。そしてこの4つはどれも自動走行システムに必須かつだれもが共通して利用する基盤部分であり、企業が差別化を図りにくい領域であることから「協調領域」としています。

map2017_001_R(戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)資料より)

ダイナミックマップで収集・提供される情報は、「協調型」と「自律型」に分類されています。「自律型」とは、自動車に設置したレーダー、カメラ等を通じて障害物等の情報を認識するものです。「協調型」は、GPSを通じた位置情報の収集、携帯ネットワーク網を通じてクラウド上にある各種情報を収集する「モバイル型」、路側インフラに設置された機器との通信により、道路交通に係る周辺情報等を収集する「路車間通信型」、他の自動車に設置された機器との通信により、当該自動車の位置・速度情報等を収集する「車車間通信型」に分類されています。

ダイナミックマップの国際標準化も進んでおり、2016年2月に制定された地図データベースに関する国際規格「ISO 14296」においては、日本が提案し、CEN(欧州標準化委員会)、ETSI(欧州電気通信標準化機構)、SAE(米国自動車技術会)などと連携して策定を進めてきたものが採用されています。

また、ダイナミックマップは自動運転以外の分野での利用も考えられおり、高齢者や交通弱者を支援する「パーソナル・ナビゲーション」や防災・減災、社会インフラ維持管理など幅広い分野への展開が期待されています。

 

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