スマート吸入器

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IoTによる製品の高付加価値化

先に出された「情報通信白書」では、企業におけるIoTの導入を、企業がユーザーとして、自社内においてIoTの導入を進める場合と、企業がサプライヤとして提供する財・サービスに対してIoTの導入を進める場合に分け、前者をプロセスにおけるIoTの導入、後者をプロダクトにおけるIoTの導入と定義しています。プロセスにおけるIoTの導入はコスト削減を目的とし、プロダクトにおけるIoTの導入は売上を増加させることが目的と言えます。
さらに、プロダクトへのIoT導入には3つの段階があるとしています。一つ目の段階は、製品にセンサー、通信モジュールが組み込まれインターネットにつながる段階、二つ目の段階は、製品から得たデータを利用し、その製品を高付加価値化する段階、三つ目の段階は、製品から得たデータを利活用することによる新たなサービスを創出し、製品を販売することだけでなく、サービスも販売することで売り上げを増加させる段階です。要約すれば、第2段階は、IoTによる製品の高付加価値化、第3段階はIoTによる新規事業・サービス創出と言えます。
情報通信白書では、第2段階のIoTによる製品の高付加価値化の事例として、Connected Cycle(フランス)のスマートペダル、DAVEK(米国)のスマート傘、Qualcomm Life、ノバルティス(スイス)のスマート吸入器、AiQ(台湾)のスマート衣料を紹介しています。

〇  ノバルティス(スイス)のスマート吸入器(インヘイラー)とは

事例として取り上げているノバルティスの吸入器は、現在使用されているCOPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬専用吸入器「ブリーズへラー」をIoT化した「次世代ブリーズヘラー」のことです。クアルコムの子会社であるQualcomm Lifeと提携して開発を進め、2016年1月のノバルティスの報道発表では、2019年に発売予定となっていますので、発売まではもうしばらくまたなければならないようです。

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(http://www.meddeviceonline.com/doc/novartis-next-gen-copd-device-gets-connected-with-qualcomm-0001 より)

この吸入器には小型・低電力消費モジュールが内蔵され、吸入器の使用状況、使用時間、ならびに患者さんと医師のための追加関連情報を検出・レポートすることができ、そうしたデータはクラウドに集められ、患者のスマートフォンに表示されます。服薬を忘れた場合はアラームが鳴って警告するようです。さらに患者の服薬状況は医師や家族と共有することで患者を周囲が見守りことにも生かされます。

ちなみにWHO報告書(2009年)によれば、全世界で約2億1千万人がCOPDに罹患しており、2005年には300万人以上の人がCOPDで死亡し、その年の全ての死亡の5%にあたるとしています。そして、 2020年までに全世界で死亡原因の3位になると予想されているとのことです。日本では2008年の厚生労働省統計では。治療を受けている人が約22万人ですが、推定患者数は500万人以上としています。

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(慢性閉塞性肺疾患(COPD) の現状について 厚生労働省健康局生活習慣病対策室 より)

情報通信白書では、ノバルティスのスマート吸入器を取り上げていますが、他にもよく似たコンセプトの吸入器の開発が行われています。

アメリカのプロペラヘルス(Propeller Health)社のAsthmapolisは既存の吸入器の先端につける小さなセンサーで、モバイルアプリとBlootoothで通信します。患者が一日何回、いつ吸入器を使用したかが自動的に記録され、患者や家族はスマートフォンアプリでその状況がほぼリアルタイムで閲覧・確認ができます。さらにこの吸入器にはGPSが付いており、吸入された位置データがクラウド上にアップロードされ、吸入がどこでいつ行われたかが地図上でマッピングされるとのことです。

insufflator_002_R(https://www.propellerhealth.com/ より)

ニュージーランドのアドヒリアム(Adherium)社のスマートインヘイラーは、薬を服用する際、モバイル機器やデスクトップPCにBluetooth経由でデータを送信し、介護士や医者が遠隔からモニタリングして患者の服用を支援します。

insufflator_004_R(http://www.adherium.com/smartinhaler/ より)

同様のインヘイラーは他にもゲッコー・ヘルス社(マサチューセッツ工科大学からスピンアウトして製薬企業に買収)なども開発しているそうです。

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(http://mobihealthnews.com/47039/teva-pharmaceuticals-buys-smart-inhaler-company-gecko-health-innovations より)

またBehanceの「Twist+ Inhaler」はコンセプト段階とのことですが、喘息の発作のきっかけになる物質を観測するとアラームがなり、観測データはiPhoneの専用アプリで確認できるようです。

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(https://www.behance.net/gallery/Twist/14622835 より)

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