スマートテキスタイル(Smart textile)

308927_R

スマートテキスタイル(Smart textile)

Textileは「布地、織物、編物、繊維製品」という意味ですので、日本語では賢い布地といったところでしょうか。スマートファブリックとも呼ばれています。
テキスタイルとファブリックの違いについては、web上では「テキスタイル」はアパレル業界で使われることが多く加工前の「布、織物」で「ファブリック」は家具関連業界で使われ、加工後の「布、織物」といった説明が多くあります。また、布、織物を表す言葉にはクロス(Cloth)もあります。繊維業界ではそれぞれ違いがあるようですが、スマートテキスタイルとスマートファブリックはほぼ同義語のように使われているようです。

その他にこれらに相当するものとして使われる言葉に「e-テキスタイル」や「インテリジェントテキスタイル」「エレクトロテキスタイル」などもあります。
これらをほとんど同義語として使用する場合もありますし、人によっては、あるいは技術の進歩によって多少違う意味合いで使われることもあるようです。

スマートテキスタイルの定義

少々古いのですが、スマートテキスタイルについて、2007年の「高齢者の被服とスマートテキスタイル(Clothing for the Elderly and Smart Textile)」(神戸大学大学院人間発達環境学研究科 研究紀要第1巻第1号 2007 井上真理)では、広義の解釈と狭義の解釈の2通りの定義を示しています。

(広義の解釈)

一般の繊維素材では得られない新しい機能を備えたテキスタイル素材、既存の機能を新規の技術で得るテキスタイル素材

(狭義の解釈)

周囲の環境の変化に対応して、着用者の好ましい環境に動的に修正・対応していく機能を持つテキスタイル素材

(「高齢者の被服とスマートテキスタイル(Clothing for the Elderly and Smart Textile)」:神戸大学大学院人間発達環境学研究科 研究紀要第1巻第1号 2007 井上真理より)

「インテリジェントテキスタイル」については、「インテリジェントテキスタイルの研究動向及び分野融合の研究開発のあり方について(報告書)」(2010 年2 月26 日 独立行政法人 中小企業基盤整備機構)の中で次のように定義しています。

社会や産業界が求めている新しいサービスニーズを実現するため、繊維の技術と異分野(繊維以外)の技術を融合することにより必要な高次元の機能を提供する素材や製品
※高次元の機能とは、外の環境の変化に対し、形状や性質を変化させたり、情報伝達やエネルギーを発生させたりする機能などを想定

smart_textile_001_R(「インテリジェントテキスタイルの研究動向及び分野融合の研究開発のあり方について(報告書)」(2010 年2 月26 日 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 より)

「e-テキスタイル」については、「電子技術と繊維技術を融合した高機能テキスタイル」といった端的な表現もされますが、あいち産業科学技術総合センターニュース№124ではもっと具体的に次のように表現しています。

センサやマイクロチップを衣料やテキスタイル資材に植え込み、情報を集積伝搬する機能を持たせ、着用者や資材の状況を遠隔管理して必要により制御をする機能を有した繊維素材

(あいち産業科学技術総合センターニュース№124:2012年7月号 http://www.aichi-inst.jp/other/up_docs/no124_all.pdf より)

また、繊維月報vol637(2013年5月)の中のインタビュー記事の中で、e-テキスタイルやスマートテキスタイルについて京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科 先端ファイブロ科学部門 教授 森本 一成 氏は次のように述べておられます。

電気的な特性を持たせることでさまざまな機能を実現するファイバーやテキスタイル。電気的な特性としては、能動的なものと受動的なものがある。

(伊藤忠 繊維月報vol637「まずは未来を考えよう」http://www.itochu.co.jp/ja/files/geppo_1305.pdf より)

消えるウェアラブル製品?

ロンドンの技術コンサルティング企業Cientifica Ltd (サイエンティフィカ)が2016年9月に発表した「スマートテキスタイルおよびウェアラブル:市場、アプリケーション、および技術(Smart Textiles and Wearables: Markets, Applications and Technologies)」では、スマートテキスタイルの世界市場は、2025年までに1300億ドル以上になると予測しています。

また、2016年5月に発表した「スマートテキスタイルおよびウェアラブル:市場、アプリケーション、および技術(Smart Textiles and Wearables: Markets, Applications and Technologies)」では、スマートテキスタイルの使用が増えているため、ウェアラブル製品は「消えるもの」になると言っています。

スマートテキスタイルやウェアラブルに関しては、次のように3つの世代でとらえ、第3世代の開発が急速に進んでおり、第3世代が登場したときには現在のウェアラブルは消滅していくというわけです。

第1世代とは、センサがアパレルに取り付けられているもので、第2世代は衣服にセンサを埋め込まれているものです。そして第3世代は衣類がセンサーそのものです。

smart_textile_002_R(FASHION, SMART TEXTILES, WEARABLES AND DISAPPEARABLES http://www.cientifica.com/ より)

前述の「インテリジェントテキスタイルの研究動向及び分野融合の研究開発のあり方について(報告書)」では、高次元の機能を実現する方向として、「テキスタイルそのものが高度な技術・機能を実現する」場合と「テキスタイルの技術・機能にセンサーなどの機能部品やその技術や機能を融合させる」場合を挙げていますが、第3世代は「テキスタイルそのものが高度な技術・機能を実現する」に相当するものと考えられます。

また、Cientifica Ltd (サイエンティフィカ)の報告書では、スマートテキスタイルは当初はスポーツやウェルビーイングの分野で成長し、次に医学の分野、さらにファッション、エンターテイメントも普及していくだろうと見ています。

スマートテキスタイルの事例

心拍数や心電波形などをリアルタイムに計測し、スマホで確認できるNTTと東レが共同開発した「hitoe(ヒトエ)」やHexoskinの「スマートシャツ」、アメリカのRest Devicesが開発した赤ちゃんの呼吸状態をリアルタイムに収集・管理し、異常があればスマホにアラートを送る「乳幼児用衣服」、室温に応じて衣類の厚さを変化させるカリフォルニア大学サンディエゴ校の「ATTACH」など様々な応用製品が提案されています。

「インテリジェントテキスタイルの研究動向及び分野融合の研究開発のあり方について(報告書)」では、想定される具体例として、電池を繊維に導入した保温手袋、保温服、発光衣服、テキスタイルウォッチ、発電カーテン、テキスタイルディスプレイ、ウェアラブル携帯電話、瞬時に形質を変化させる防弾・防刀服などを挙げています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です