スマートセルインダストリー

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スマートセルインダストリー

スマート〇〇というものがたくさんあります。では、スマートセル(賢い細胞)って何なのでしょうか?

経済産業省生物化学産業課の産業構造審議会 商務流通情報分科会 バイオ小委員会の配布資料を見ると、スマートセルを「高度に機能がデザインされ、機能の発現が制御された生物細胞」と定義しています。そして。こうしたスマートセルを用いた産業群をスマートセルインダストリーと呼んでいます。DNA、RNA、たんぱく質、代謝物当の生物情報に高度なAI等の情報処理技術を適応して生物機能をデザインし、遺伝子の導入、ゲノム編集、代謝制御などの最先端のバイオ技術を利用して潜在的な生物機能を引き出し利用する産業です。

スマートセルインダストリーの可能性

2016年7月に経済産業省産業構造審議会 商務流通情報分科会バイオ小委員会から出された「バイオテクノロジーが生み出す新たな潮流〔スマートセルインダストリー時代の幕開け〕中間報告書」では、スマートセルインダストリーは、健康・医療分野、工業分野、農業分野、エネルギー・環境分野の産業構造に大きな変革をもたらすとして、具体的には次のような変革を想定しています。

医療・ヘルス分野では、遺伝子治療や再生医療が加速し、従来では不可能だった根本治療を実現するとしています。エネルギー分野では、高効率バイオ燃料生産、二酸化炭素排出量の低減など、化石燃料からの脱却や環境負荷の低減が可能となるとしています。工業(ものづくり)分野では常温・常圧の省エネルギー型物質生産、天然資源に依存しない工業プロセス、生産困難な物質の生産などが可能になるとしています。食料分野では、高収量化、高機能化が進められ安定した食料・飼料の供給、品質の向上、農薬の減少、耐環境性などが可能になるとしています。

バイオテクノロジーの革新

スマートセルインダストリーの進展を可能にしているのは、近年の著しい「バイオテクノロジー」の革新だと言われています。前述の中間報告では、特に次の3つがバイオ分野の非連続的な革新を牽引しているとしています。

一つは、DNAシークエンシング技術の進化等によるゲノム解析コストの低減と・短時間化で生体情報爆発的な増加、二つ目はITやAI技術の進化で生体ビックデータの解析による生物機能の解明と機能改変等に向けたゲノムデザインの現実化、三つ目はゲノム編集技術CRISPR/Cas(クリスパーキャス)の登場による、精緻な生物機能の改変、発現制御の現実化です。

一つ目のDNAシークエンシング技術の進化については、コンピュータにの進化に関してインテル社の共同創業者Gordon Mooreが唱えた「コンピューターの性能は2年ごとに2倍に向上し、価格は半分になる」という「ムーアの法則」がありますが、ゲノム解析コストは下図のように「ムーアの法則」以上のスピードで、特に2007年頃から急激にそのコストが下落しています。

smartcell_001_Rhttps://www.genome.gov/27565109/the-cost-of-sequencing-a-human-genome/ より)

また、ゲノム編集技術に関しても2013年にCRISPR/Casが開発され、これによって従来の技術の1/100 以下のコストで正確なゲノム編集が可能となりました。

報告書では、日本がこうしたスマートセルインダストリーの分野で世界をリードしていくには、国や研究機関、企業などが一体となって取り組んでいく必要があり、日本が今後すべきこととして次の4つの観点を踏まえた取り組みであると最後に述べています。

1)日本の強みを活かした戦略的な基盤の整備
2)スマートセルインダストリーの社会実装の加速化
3)オープンイノベーションの促進
4)スマートセルインダストリーの社会・制度環境整備

(バイオテクノロジーが生み出す新たな潮流〔スマートセルインダストリー時代の幕開け〕中間報告書 概要 平成28年7月 産業構造審議会 商務流通情報分科会バイオ小委員会 より)

の4つの観点を踏まえた取り組みが必要だとしています。

(参考資料:経済産業省産業構造審議会 商務流通情報分科会バイオ小委員会から出された「バイオテクノロジーが生み出す新たな潮流〔スマートセルインダストリー時代の幕開け〕中間報告書」平成28年7月)

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