スマートコンタクトレンズ

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インプランタブル(implantable)

ウェアラブルの次はインプランタブルへ、つまり、身に付ける情報端末から体内に埋め込まれた情報端末へと進化すると言われています。それはインプランタブルでなければ実現できない機能があるという技術的な面もありますが、ビジネスの面からもウェアラブルはスマホやタブレットのように一人で何台も所有するということはなく、市場が限定的であることなどもインプランタブルへ向かわせる要因のようでもあります。

スマートコンタクトレンズ

こうしたウェアラブルからインプランタンブルへという流れの中で、その橋渡しのようなものの一つにスマートコンタクトレンズがあります。よく知られたところでは、Googleが2014年に発表した「Google Contact Lens」があります。このコンタクトレンズは2種類あり、一つは高分子フイルムのコンタクトレンズに無線チップとセンサー,LEDを埋め込み、涙に含まれるグルコース(血糖)の値を計測し、異常な変化が見られればLEDライトの点灯による警告を発するというものです。もう一つはオートフォーカス機能によって老眼や遠視の補助をするものです。前者は「センシング型」であり、後者は「能力拡張型」と言えます。

意外に古いスマートコンタクトレンズの歴史

こうした試みはGoogleが初めてというわけではなく、Google Contact Lens開発プロジェクトの創設者の一人であるBabak Parviz氏が2008年にワシントン大学電子工学科准教授だったときに、赤色LEDアレイを敷き詰めたコンタクトレンズ型ディスプレイを試作し、ウサギの目に装着(20分)させる実験を行っています。また、氏はGoogleの前にMicrosoft Researchと共同研究を行っていたそうです。

また、Googleは血糖値の測定ですが、2010年にSTMicroelectronics社とSensimed社が開発したスマートレンズは緑内障診断向けのもので、無線通信機能付きMEMS圧力センサを内蔵したコンタクト・レンズと患者の首に装着する小さな受信機からなっています。レンズにはアンテナ、微細な信号処理回路、RF送信機が内蔵され、電源は受信電波によって供給されます。これによって、眼圧の変化を24時間記録します。

2014年1月17日のTechCrunchの記事には、スウェーデンのマルメ大学でも、涙で動作する燃料電池を利用したスマートコンタクトレンズのプロジェクトが進められているとあります。同大のWebサイトには、ヒトの涙液中に容易に存在するバイオオキシダント、グルコースおよび分子酸素によりバイオ燃料電池をスマートコンタクトの電源として使用することについて記載されています。

このように、スマートコンタクトレンズの開発は、Googleに限らず、比較的以前から行われてきているようで、日経の未来予測では2022年頃には実用化されるとしています。

スマートコンタクトレンズの機能と事例

スマートコンタクトレンズに実装される機能としては、前述のGoogleのような病気のモニタリングやカメラを実装し瞬きでシャッターを切るといったもの、ARで視野に映像を重畳するもの、赤外線スペクトルの光を感知する暗視コンタクトレンズのようなもの、遠視などを自動的に補正する度数調整不要を実現するもの、まぶしさを調整する絞りのようなものなどさまざまなアイディアがあるようです。

〇 eMacula(Innovega)

eMaculaはInnovega社が開発を進めているメガネ型のウエアラブル機器と組み合わせて使うARコンタクトレンズシステムです。以前はiOptikと呼ばれていました。同社はStephen R Wille(スティーブン・レイモンド・ウィルリー)氏やJerome Legerton(ジェローム・レガートン)博士らが2009年に設立した会社です。Innovega社のコンタクトレンズシステムは、通常のコンタクトレンズと同じように視力を矯正することが可能とのことです。

smart_contact_lens_001_Rhttp://www.emacula.io/ より)

〇 Ep global communications

Ep global communications社が開発を進めているのは、iOSアプリでAR映像を見ることができるスマートコンタクトレンズです。網膜上に画像を映す仕組みなので失明患者なども利用できるとのことです。また、毛様体筋の制御によるオートフォーカス機能や光学センサーを集積し、まばたきによって充電する機能があるとのことです。

〇 ユニバーサルビュー

ユニバーサルビュー社と産業技術研究所が共同で開発を進めているスマートコンタクトレンズは、直径が16~23mmで、通信用のアンテナ部、電子部品などを実装するフレーム部、そしてコンタクトレンズ部の3層からなり、レンズに実装するワイヤレス給電技術や無線通信技術、そしてスマートフォンなどで利用するアプリケーションソフトウエアまでを開発中です。2020年までの実用化を目指しています。

〇 Smart Contact Lens

サムスンのAR用のコンタクトレンズ型デバイスで、2016年3月に特許を韓国で出願しています。ディスプレイ機能やアンテナ、動きを察知するセンサーが搭載されています。レンズは中心部が情報の表示部で外側は周辺装置部となっています。瞬きで操作します。商品化の時期などは分かりません。

smart_contact_lens_002_Rhttp://engpat.kipris.or.kr/engpat/biblioa.do?method=biblioFrame&start=biblio&searchFg=N より)

 〇 ソニー

2016年5月にソニーが特許を申請したスマートコンタクトレンズでコンタクトレンズに極小のカメラユニットが埋め込まれ、ストレージ・イメージセンサー、撮像レンズ・無線通信ユニットなどを搭載しています。まばたきでシャッターを切り、ズームや絞り、焦点などの操作もできます。さらに、眼球の動きによるブレを防止する機能も搭載されています。

smart_contact_lens_003_Rhttps://patentimages.storage.googleapis.com/f6/c5/2d/379d029e4dc6cc/US20160097940A1.pdf より)

〇 Niantec

ポケモンの存在をより現実世界に近づけるための『Pokémon GO』プレイヤー専用スマートコンタクトレンズを開発中であることを2016年8月に発表していますが、詳細はわかりませんが、スマートフォンの画面を介することなく自身の目をもってポケモンが現実世界に出現することになりそうです。

〇 wireless smart contact lens

韓国のUNIST(Ulsan National Institute of Science and Technology)のパク・チャンウン教授チームが開発した糖尿病の予防と診断が可能な無線スマートコンタクトレンズで、2018年1月に発表されました。

基板の上に高感度ブドウ糖センサーがあり、涙の中のグルコースを感知して血糖値が正常レベルのときにLEDが点灯し、正常よりも高いとLEDが消えるようになっています。基板も電極も透明で人間の視野をさまたげることはありません。スマートコンタクトレンズを作動させる電気は外部から無線アンテナを通じて供給されます。

smart_contact_lens_004_R(Science Advances  24 Jan 2018 http://advances.sciencemag.org/content/4/1/eaap9841.full より)

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