コネクテッドカー(Part3)

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東京モーターショーとコネクテッドカー

2017年の「第45回東京モーターショー2017」は、10月27日から11月5日まで東京ビッグサイトで開催されます。今回、主催者テーマ展示が「TOKYO CONNECTED LAB 2017」とあり、「コネクテッドカー」が重要なテーマとなっているようです。

「TOKYO CONNECTED LAB 2017」には、「THE FUTURE」「THE MAZE」「THE MEET UP」の3つのコンテンツがあります。「The FUTURE」は、参加者への質問を通して人々がどんな未来を望んでいるのかを可視化するというもので、Social good, Universal, Move, Drive, Private, Shareの「6つの未来」をベースに、参加者が求めている未来モデルをリアルタイムに生成していきます。「THE MEET UP」は、自動車が自動車を超えるとき、そこにはどんな社会や暮らしが待っているのか、モビリティの未来を語るというトークセッション企画です。

このテーマ展示で特に注目されるのは「THE MAZE」かもしれません。「THE MAZE」は、VRシステム(PlayStation VR)を装着した参加者が、車車間・路車間通信によって他の車両から情報を得ながら都市迷宮を走行し。ゴールを目指すというもので、例えば、すれ違った車と情報交換して周りの交通状況を把握するとか,死角から出てくる車を察知して停車するといったコネクテッドカーの利便性・快適性がゲーム感覚で体感できるものとなっています。

コネクテッドカー

コネクテッドカー(Connected Car)は「つながる車」と言われていますが、車が何とつながるのかというと、よく言われるのは「クルマとクルマ(V2V)」「クルマとインフラ(V2I)」「クルマと人(V2P)」「クルマとネットワーク(V2N)」です。そしてそれらが有機的に結合し、強調して動く車社会を実現するのが「Connected Car」というわけです。

コネクテッドカーの定義については以前にも触れていますが、改めて振り返ってみます。

平成28年度版「情報白書」では次のように記しています。

コネクテッドカーとは、インターネット接続等、ICT端末としての機能を有する自動車のことであり、「路車・車車間無線通信」によって、自動運転等の高度運転支援の実現や車両の状態や周囲の道路状況などの様々なデータの集積・分析を通じた新たなサービスや価値の創出が期待されるものである。(平成28 年版 情報通信白書)

また、2017年8月4日に公表された総務省の「Connected Car社会の実現に向けた研究会」の「Connected Car 社会の実現に向けて(取りまとめ)」では、次のように述べています。

「つながり方」に着目して、「双方向性」を有する通信手段を持つ車を「Connected Car」と定義した。
具体的には、ETC2.01やITS Connect2、モバイルネットワーク(4G、将来的には5G)を搭載した車を「Connected Car」として取り扱うこととする。
(Connected Car 社会の実現に向けて 平成29 年7 月13 日 Connected Car 社会の実現に向けた研究会 http://www.soumu.go.jp/main_content/000501374.pdf より)

「官民 ITS 構想・ロードマップ 2017」では、安全運転支援システム・自動運転システムの情報収集技術において自律型と協調型(協調型はさらに「モバイル型」「路車間通信型」「車車間通信型」に分類)に分け、明確な定義はないとしながらも、「モバイル型」、「路車間通信型」、「車車間通信型」を活用する自動車を「コネクテッドカー」としています。

テレマックス/IVI/ITSとコネクテッドカーの関係

コネクテッドカーとよく似たものにテレマックスがあります。テレマティクス (Telematics) とは、テレコミュニケーション(Telecommunication)とインフォマティクス(Informatics)から作られた造語で、一般的には、自動車などの移動体に移動体通信システムを利用してリアルタイムに情報サービスを提供することを指しています。

三菱総合研究所の「IoT時代におけるICT産業の構造分析とICTによる 経済成長への多面的貢献の検証に関する調査研究 報告書」(2016年3月)では、テレマックスについて次のように説明しています。

・・・自動車などの移動体に通信システムを組み合わせることで、リアルタイムに情報サービスを提供する「自動車のICT化」とも評される・・・リアルタイムの交通情報やナビゲーション、盗難時の自動通報、故障時の工場への連絡、近辺の店舗案内、音声認識など様々なサービス等が挙げられる。
(「IoT時代におけるICT産業の構造分析とICTによる 経済成長への多面的貢献の検証に関する調査研究」報告書 2016年3月 株式会社三菱総合研究所 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h28_01_houkoku.pdf より)

テレマックスとコネクッテドカーの関係については、「コネクテッドカーはテレマックスの延長線上の概念」とか、「カーテレマティクスの導入されている車体がコネクテッドカー」あるいは「コネクテッドカーは、インターネット通信が可能なテレマティクスシステムを搭載した自動車の総称」といった説明があります。

テレマックスの他にもIVI(In-Vehicle Infotainment)やITS(Intelligent Transport Systems)と言われるものがあります。

IVI(In-Vehicle Infotainment)システムは、「インフォメーション(情報)」と「エンターテインメント(娯楽)」の機能を幅広く提供するものです。インターネット接続のほか、音楽や動画などのマルチメディア再生、ニュース、電子メールなどへのアクセスおよび検索機能などです。

ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)は、最先端の情報通信技術などを用いて、人と道路と車両とを一体のシステムとして構築する道路交通システムの総称です。これによって、道路交通の安全性、輸送効率、快適性の向上などを図ろうというものです。これまでのITSは基本的に車がネットワークに依存しないでサービスを展開していましたが、5G、ビッグデータ、AI等の進化により、ネットと車がつながり新たな価値やサービスが創出される社会を「Connected Car」社会と前述の「Connected Car社会の実現に向けて」(総務省:Connected Car社会の実現に向けた研究会)はよんでいます。

コネクテッドカーと新たなサービス

経済産業の「シリコンバレーD-Labプロジェクトレポート(2017年3月29日)」では、車のコネクテッド化によって、「車がサービス提供の一部(車の独立性の喪失)」「自動車のIT産業としてのプロダクト化」「サービスの主体が自動車メーカーからプラットフォーマーに変わる可能性」「価値のハードからソフト・サービスへの移動」「コネクテッドサービスの普及によってユーザーとの接点の中心がプラットフォーマーに移る」など、自動車産業の構造の変化が起きてくることを予想しています。

同レポートによると、車の独自性の喪失とは、「ModelSは“車”ではなく、タイヤを付けた洗練されたコンピューター」というテスラのElon MuskCEOの言葉を引用して、車のスマホを指しているようです。自動車のITプロダクト化とは、自動車がスマホやスマートウォッチと同列のIT産業の1つのプロダクトになるということです。価値のサービスへの移動は、スマホで起きたことが車でも起き、車はコモディティ化してハードとしての車よりもどんなサービスが提供されるかということが重要になってくるというわけです。このことは、ユーザーとの接点の中心が自動車メーカーからサービスを設計するプラットフォーマーに移ることも意味しています。(シリコンバレーD-Labプロジェクトレポート(2017年3月29日 http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170404002/20170404002-1.pdf 参照)

前述の「Connected Car社会の実現に向けて」(総務省:Connected Car社会の実現に向けた研究会)は、Connected Car 化の進展は、車に直接関連するものに限らないような例えば、観光、エンターテインメントなど、多岐に渡る新たなサービスやビジネスが創出するとしています。その上でそうした多様なサービスを捉える視点として、「安全/便利」と「快適とデータの流通」を縦軸と横軸にして、① セーフティ分野(運転サポートサービス群)② カーライフサポート分野(データ駆動型サービス群)③ インフォテインメント分野(エンタメ的サービス群)④ エージェント分野(ドライバーサポートサービス群)の4分野に分類しています。

connected2017_012_R(「Connected Car社会の実現に向けて」総務省 Connected Car社会の実現に向けた研究会 より)

具体的には、こどもや高齢者の見守りサービス、カーシェアリングなどでのカーナビ決済、運転手の緊張、疲労度等に応じて、最適な音楽を提供したりエアコンを調整したりするサービス、故障診断情報を元にディーラーメンテナンスを提案&予約するサービス、おすすめのレストランや観光地等を提案し、自動でナビを設定するサービス、家にいる人がドライブを疑似体験的に楽しめるVRサービスなど、これまでにない様々なサービスが想定されています。

次世代「Connected Car」

2016年7月に総務省から出された「電波政策2020懇談会 報告書」には、ネットワークにつながった Connected Carとクラウドが連携することにより、新たな車関連サービスや高度な自動走行を実現する次世代「Connected Car」実現モデルが示されています。これは、「次世代ITSプロジェクト」の推進モデルとして示さされた「次世代Connected Car実現モデル」「超低遅延車車間通信モデル」「高速移動体向け超高速通信モデル」の3つの中の一つで、「無線ネットワークでつながった「Connected Car」の周囲のリアルタイム情報を、高信頼性を確保しつつ、5G環境下はもちろん、4G環境下でも低遅延(100msec以下)で処理した上で、周波数を有効利用して高効率に伝送可能なスマートモビリティ社会のICTプラットフォームを実現」するとしています。

connected2017_014_R(電波政策 2020 懇談会 報告書 平成 28 年7月http://www.soumu.go.jp/main_content/000430220.pdf より)

報告書では、「Connected Car」の社会実装・普及を加速化させるために、例えば、「700MHz 帯高度道路交通システムの高度化」「5.8GHz 帯狭域通信システム(DSRC)の高度化」「通信環境等に応じた700MHz 帯高度道路交通システム、DSRC(※1)、携帯電話システム、Wi-Fi 等の周波数の有効利用を実現」なども挙げています。

(※1)DSRC (Dedicated Short Range Communications、狭域通信)はITSシステムの1つで、道路沿いなどに敷設された通信装置と走行する自動車に搭載された車載器などとの間で行われる無線通信を指します。ETCが代表的なものです。

コネクテッドカーにおける標準化

代表的な国際標準化組織にはISO、IEC、ITUがありますが、コネクテッドカーに関してはISOやITUなどで標準化活動が行われています。ITUには、無線通信部門のITU-R、電気通信標準化部門のITU-T、電気通信開発部門のITU-Dの3部門があり、コネクテッドカーについては、ITU-R、ITU-Tで行われています。その他にもSAE(Society of Automotive Engineers International)、UNECE(国連欧州経済委員会)、W3C、TCG(Trusted Computing Group)等、様々な団体が国際標準会に取り組んでいます。
例えば、前述のDSRCの国際標準化は、日本と欧州の方式がITUの勧告「ITU-R M.1453」になっています。ISOでは応用層が「ISO15628」となっています。アメリカでは下位層(物理層、MAC層)が、IEEE 802.11pとなっており、DSRC方式が複数存在しています。
国際標準では、ITU-Tがハンズフリー通信のための音声インタフェース、車載ゲートウェイ関連標準化やセキュリティガイドライン、運転障害要素の削減への標準化、自動運転に関するICT用語の整理などを行っています。
ISOでは、TC204(Intelligent Transport System)と、TC22(Road Vehicles)が、自動車関係の標準化を行っており、TC204は、ITSの標準化を専門に行っている委員会です。両委員会は主に次のようなことを行っています。

TC204は、高度道路交通システム (ITS)における旅行者情報、交通管制、公共交通、商用交通等のインターモーダル(複合輸送手段)及びマルチモーダルの側面が含まれる都市及び郊外の交通分野の情報、通信及び制御システムの標準化
TC22は、自動車及び装置の性能評価のための、用語及び試験方法に関連する適合性、互換性、安全性に関する標準化
(国際標準化に対する日本の活動 経済産業省 産業技術環境局 国際標準課 2017年2月24日 @自動運転の国際的なルール作りについてのシンポジウム http://www.jasic.org/j/06_archive/report29/pdf/sympo6.pdf より)

その他、W3Cは自動車用Web‐API、TCGは自動車の遠隔診断、ソフト更新のための通信手段などを検討しています。

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