コグニティブ・コンピューティング

cognitive_006_R

コグニティブとは

cognitive_003Cognitive(コグニティブ)は日本語では「認知」と訳され、辞典には「ある事柄を認めること」と書かれています。認知科学(cognitive science)とか認知心理学(cognitive psychology)といった学問がありますが、ここでは、「知覚・記憶・推論・問題解決などの知的活動」を科学する意味で使われており、「対象物を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程」を調べる学問と言えます。コグニティブ・コンピューティングでのCognitive(コグニティブ)も、認知科学や認知心理学と同じような意味で使われ、コグニティブ・コンピューティングは「ある事象についてコンピュータ自ら考え、学習し、自分なりの答えを導き出すシステム」のことを指します。

この分野のリードしているのはIBMのWatson(ワトソン)です。

コグニティブ・コンピューティングは第3世代

cognitive_001IBMは、コグニティブ・コンピューティングは、コンピューティングの発展の歴史の中で第3世代にあたると言っています。第1世代はデータを数えるための計算機の時代で、第2世代はOSやソフトウェアが作られ、プログラムによって動く時代、つまり今のPCやスマートフォンの時代です。そして第2世代とは全く別次元のコンピュータシステムが第3世代のコグニティブ・コンピューティングであるとしています。これまでの人間から与えられた命令を処理するという枠組みを超えて、人間がシステムに問題提起し、システムに答えを教えてもらうことを可能にする技術が第3世代のシステムというわけです。

当初のコンピュータは技術的に状況を解析し、判断をし、結論を導くということはできませんでした。しかし認知科学の進展などにより「人間の脳」をモデルにした、学習し、判断できるコンピュータシステムを作る手がかりが徐々に明らかになってきました。コグニティブ・コンピューティングは人間の脳のシナプスと構造的な柔軟性を模倣し、まるで「人間の脳」のように働きます。多種大量のデータを瞬時に処理するだけでなく、物事の相関関係を見つけ、あいまいな問いかけに自ら仮説を立てて、推論・予測をすることができます。また、そうした過程から学び取り、継続的に自分自身を進化させていきます。つまりに課題に解答するにつれて自分自身でプログラムを見直す能力を備えているわけです。

コグニティブ・コンピューティングの特徴

前述のことをまとめれば、コグニティブ・コンピューティングの特徴は次のように言えそうです。

・収集した多種大量のデータを瞬時に処理する

・あいまいな問いかけにも自ら仮説を立てて、推論・予測をする

・人それぞれにあわせた最適な情報を提示し、意思決定のサポートをしてくれる

・答えが一つとは限らない「ありそうな答え」を出す

・ヒトとのインタラクションを通じて、自動的に進化を続けるシステム

cognitive_004

また、コベルコシステム(株)は次のようにまとめています。

・傾向分析

ソーシャルメディアの投稿などのユーザーに関する情報から、そのユーザーの性格や嗜好などを分析することができます。この分析結果を利用することで、ユーザーにとって、より有益できめ細やかなサービスを提供することが可能になります。

・自然言語認識

従来のシステムに理解させることが難しかった日本語や英語などの自然言語をシステムに認識させることができます。大量の情報と照らし合わせることで文章構造を理解させ、これまで人間でしか行えなかった質問応対やメール対応といった業務もシステムが行うことを可能にします。

・意思決定支援

ユーザーが意思決定を行う際に、システムが考えた結果をユーザーに示すことで、意思決定の手助けを行うことができます。ユーザーだけでは考えつかなかったアイデアをシステムから得ることを可能にします。

(コベルコシステム株式会社http://www.kobelcosys.co.jp/column/itwords/227/ より)

コグニティブ・コンピューティングの活用例

〇 かんぽ生命では、支払審査データや約款、関連法規、過去事例などを分析し、支払の判断についての選択肢を確信度付きで示すなどのシステムサポートにより、審査担当者がより迅速かつ正確に支払業務を実施できるようにコグニティブ・コンピューティング・システムWatson技術を活用することを検討しています。

(株)かんぽ生命保険http://www.jp-life.japanpost.jp/aboutus/press/2015/abt_prs_id000843.html より)

〇 石油・ガス業界は、新たな採掘場所の発見と権利の獲得に10億ドルもの資金、試掘のためにさらに数億ドルを投じることがあります。そこでこうした莫大なコストを削減のためにスペインのエネルギー企業RepsolはIBMは、コグニティブ・コンピューティングを利用した2種類のアプリケーションを共同開発しています。1つは、油田の候補地のうちで最も有望なものをエンジニアが判断しやすくなるようなアプリケーション、もう1つは、既存の油田からの産出量を増やす方法を探れるようなアプリケーションです。具体的な活用法としては、画像化した地震データの精査、何千件ものレポートの分析、その他に政治や経済などの指標も対象となります。ニュース記事をリアルタイムでマイニングしたり、トレンドを把握したりして意思決定のプロセスに取り込むことで不確実性を抑えるということも考えられているようです。

(PCWorld http://www.pcworld.com/article/2841612/ibm-drills-into-the-energy-industry-for-cognitive-computing-advances.html より)

〇 コベルコシステムでは、旅行を計画するときのコグニティブ・コンピューティングの活用例を示しています。ユーザーがシステムに対して、「どこに行ったらいいのだろう」と問いかけると、システムは観光名所や食文化に関する大量の情報から判断して、ユーザーに旅行プランを提案するというものです。コグニティブ・コンピューティングは、人間だけでは判断が追いつかないような、身の回りの大量の情報から判断する必要がある場面で役立つとしています。

cognitive_002

(コベルコシステム株式会社http://www.kobelcosys.co.jp/column/itwords/227/ より)

〇 メモリアル・スローン・ケタリング・ガンセンターは、何10年にもさかのぼる同病院でのガン治療記録と患者の医療情報をワトソンに読み込ませ、『ワトソン・オンコロジー』として世界のガン医療に役立てようとしています。ワトソンが、同病院の最新の医療データと過去の膨大なデータを学習することで、同病院のようなデータを持ち合わせない病院でも、目の前の患者のための最適な治療方法をワトソンが導き出します。

cognitive_005

(ダイヤモンド・オンラインhttp://diamond.jp/articles/-/69101 より)

〇 三井住友銀行とみずほ銀行はコールセンター業務にWatsonを導入することを発表しています。 顧客とオペレーターの会話を分析し、回答のヒントとなるキーワードをオペレーターの端末にリアルタイムで表示したり、過去の問い合わせの内容などから、オペレーターが顧客に尋ねたり確認したりすべき事柄も表示したりします。Watsonは学習型のスーパーコンピュータですから、会話例などが蓄積されていけば、時間短縮だけでなく、コールセンターを利用した顧客の満足度も上がっていくとのことです。

(ITmedia エンタープライズ http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1411/14/news042.html より)

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です