クオンティファイド・セルフ

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クオンティファイド・セルフ

クオンティファイド・セルフ(Quantified Self)は、米情報誌ワイアード元編集者のゲイリーウルフ氏とケビン・ケリー氏が提唱した概念です。Quantifiedは日本語では「定量化」と一般に訳されています。ですから、直訳すれば、「定量化(数値化)された自分」ということになります。

情報通信機器やセンサー類などで自分の行動や状態などを定量的に測定し、具体的には、ウェアラブルデバイスに組み込まれたセンサーによって体温、心拍数、血圧などの状態を測ったり、睡眠時間や運動量を記録したりして、それから得られる新たな知見をよりよい生活につなげていこうという取り組み・ムーブメントです。

Nike Fuel BandやFitbit、睡眠の質を記録できるアプリなど、個人の活動記録を数値化したり見える化するツールが近年増えてきました。そうした個人の生活記録を「ライフログツール」と呼んでいますが、そうしたものがスマホや各種センサー等の技術の進展で、病院へ行かなくても簡単に手に入れることができるようになってきました。そして、自分でそれらのデータを基にして健康を管理したり、さらには集中力を高めたり仕事の効率を上げたりといった自身をコーチングするという人々も出てきつつあります。

数値化することで、今まで経験と勘に頼っていた部分が、専門家でなくても客観的に分かるようになり、また、数値を様々な面から比較することで生活の質の向上へ目標が持ちやすくなり、グループで取り組めば励みにもなるというよさがある反面、数値にこだわりすぎることで、見落としてしまうものもでてきてしまいます。あるいは数値化できないものが軽んじられてしまう危険性もあります。数値に振り回されない個人の確立と数値を生かしつつ数値に従属しない生き方を模索することも、クオンティファイド・セルフには必要なように感じます。

 Nike Fuel Bandquantified_002_R

(http://news.nike.com/news/nike-unveils-nike-fuelband-se-and-nike-fuelband-app より)

Fitbit

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(https://www.fitbit.com/jp/compare より)

自分の何を数値化するのか

自分を数量化することは何も目新しいことではありません。体重計や万歩計、体脂肪計など随分前から家庭に普及しています。少々面倒ではありますが、病院で測定してもらえば様々な専門的データを得ることもできます。

昔からあったそうした機器や病院での測定も、今では個人でも容易に手にすることが可能なスマホやインターネットと連携した賢いデバイスがいくつも登場してきています。

ちょっと前までは、ただ歩数しか表示できなかった万歩計も、インターネットに接続して、1週間や1ヶ月の記録がグラフになって表示されたり、他のグループと比べたりして、運動量が足りているのか不十分なのか見える化される機能もでてきたようです。さらに運動量だけでなく座り続けている時間、立ったままの時間などを計測するデバイス、睡眠の質を測定するデバイスなども出てきています。難しいとされてきた人の感情を感知するテクノロジーも実用化されつつあります。アフェクティーヴァ(Affectiva)社は、集めた人々の感情のデータを元にして、新たな顔の表現が何を意味しているのかがすぐにわかるツールを開発しました。デバイスに付けられたカメラがユーザの表情を認識して分析し、その時の感情を推し量るというものです。

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(http://www.affectiva.com/ より)

人工知能を備えた家庭用ロボットなども感情を推測するテクノロジーを利用して、ユーザの気分にあった音楽をかけたり、しぐさをしたり、気持ちに添う受け答えをしたりするように賢くなっています。

こうした技術が進歩した先には、自分の感情さえもコントロールする仕組みがでてくるかもしれません。スマホを見なければ、目の前の人の感情が推し量れないとか、アプリがないと自己の感情をコントロールできないといった歪な人間がそこかしこに出没するのではと心配にもなります。自分を数値化、見える化することのリスクについても議論が必要かもしれません。

数値化は健康だけでない

よりよい生活につなげる数値化は、何も健康面だけに限りません。生活のスタイルもよりよい生活を送る要素です。

例えば、ネストなどの高性能なサーモスタット製品などは電力を可視化します。家庭のエネルギー消費が数値化・可視化され、その結果を自分の生活スタイルにフィードバックすることで、より環境への負荷に配慮した生活につなげることに役立つかもしれません。

職場では、自分の仕事の効率性(生産性)を判断するツールとなるかもしれません。書類を作成していた時間、「ぼーっ」としていた時間、メールに費やした時間などが記録され、その推移を比較したり他と見比べたりして生産性を判断するような時代になるかもしれません。

もしそうなると、「ぼーっ」としていることの意義が難しくなります。表面上は何もしていない時間ですが、そこで画期的なアイディア・ひらめきが生成されているとしたらどうでしょう。決して無駄な時間とは言えなくなります。

やはりここでも、数値を生かしつつ、数値だけにとらわれない、数値に振り回されない考え方が大事なように思います。

 

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