Wi-FiアライアンスとLAA/LTE-U

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 Wi-FiアライアンスとLAA/LTE-U

2015年2月にWi-FiアライアンスがLAA (License-Assisted Access using LTE)に対する見解を発表しました。

そこでは、Wi-Fi Allianceは、アンライセンス周波数帯の5 GHz帯のLTE運用に対する3GPPの活動 (LAA-アンライセンス周波数帯を利用したLTE通信)、また予備規格LAAに似たシステムが一部展開されている状況について、それらが業界内で共存環境の確認前に展開された予備規格システムには5 GHzを利用している数十億のWi-Fiユーザーに悪影響を与えるリスクがあるとして、運用面においてこのリスクをなくすためにすべての関係者が連携して作業を進める必要があると述べています。さらに、LTEとWi-Fiのコミュニティは、5 GHz帯の公正かつ効果的な利用を実現すると共に、将来のユーザーに悪影響を及ぼすことがないように協業する必要があり、3GPPが予定している予備規格の展開においても連携することでWi-Fiユーザーの期待に応えていくと述べていました。

(https://www.wi-fi.org/ja/news-events/newsroom/wi-fi-alliance-laa-license-assisted-access-using-lte 参照)

そうした中、2015年8月、Wi-Fi AllianceがFCC(米国連邦通信委員会)に対し、LTE-U対応機器の認証を控えるよう求め、LTE-U推進メンバーがそれに反論する書簡を送るなど、双方の対立が深まっているという報道がありました。LTE-U推進メンバーとは、Verizon Wireless、Qualcomm、T-Mobile、Alcatel-Lucent、Ericssonと言った企業です。

LAA とLTE-U

LTE-Uは、米クアルコム(Qualcomm)が提唱しているもので、3GPPなどは「LTE in unlicensed spectrum 」、あるいは「Licensed Assisted Access using LTE」とよび、「LAA」と表しています。同じような技術で、2.4GHz帯や5GHz帯といった周波数帯を使って、LTE(※1)で通信を行うというものです。モバイル用の通信技術だけではなく、誰もが使える免許不要の周波数帯も補助として活用し、高速通信を行おうというわけです。

LTEは、現在700GHz-2.5GHz帯を使用していますが、2.4GHz帯や5GHz帯は、特定出力以下なら免許が不要(アンライセンスバンド)で、今はWi-FiやBluetoothに使われています。LAA/LTE-Uは、この免許不要(アンライセンス)の周波数帯で、携帯電話向けのLTE方式を使って通信しようというわけですが、具体的には複数の電波を1つに束ねて高速化を図るキャリアアグリケ―ションという技術を使って、従来の周波数帯とアンライセンス周波数帯を束ねて通信速度や効率の向上させるようです。

この方式だと、アンライセンスバンドの使用が可か不可かの違いによる回線の切り替えが発生しないという利点があります。また、無線LANと比較してLTEの方がスループット(単位時間あたりに処理できるデータ量)や周波数利用効率も有利であるとされています。

すでにLAAは、商用化に向けた動きが活発になっており、「LTE-U Forum」を立ち上げて技術仕様書を公開しているようです。3GPPは「3GPP Release13」での策定を目指していますし、この標準化規格に向けてさまざまな企業、団体が要素技術の実験や対応チップの提供を発表しています。ドコモも2014年に中国でファーウェイと通信実験を行っています。

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(NTTドコモhttps://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2014/08/21_00.html より)

(※1)LTEはLong Term Evolutionの頭文字をとったものです。3GPPによって2009年に仕様が策定されました。ちょっと前まではLTEは、4Gの手前の規格で3.9Gと呼ばれていましたが、LTEを4Gと称する通信事業者が増えてきたこともあり、今は4Gの一種とする捉え方が一般的なようです。LTEの通信速度は、エリアや対応機種によって異なりますが、75Mbps~100Mbps程度をうたうサービスが多いようです。

LTEにはFDDとTDDの2つの方式があります。FDDが主流ですが、大きな違いは、FDDは音声通信、TDDはデータ通信での利用が前提になっていることです。一般的に、ユーザーは受信量の方が大きいので、TDDの場合は下りの速度をFDDよりも速めています。

なぜ対立するのか?

Wi-Fi陣営には、LTE-Uに多くを利用されるとWi-Fiが使えなくなるのではという懸念が以前からありました。2015年6月にはGoogleがFCC(米国連邦通信委員会)に対して、5GHz帯でWi-FiとLTEの同時運用は多くの場合うまく機能しないとの調査報告書提出しています。そして、現状では5GHz帯のLTE-Uは(Wi-Fiなど)ほかの通信を締め出しかねないと述べ、LTE-Uを5GHz帯でなく、3.5GHz帯で運用することを提案しました。

そして今回、Wi-Fi AllianceはFCC(米国連邦通信委員会)に「アンライセンス周波数帯を公平に共有できるということを確認するまでLTE-U対応の機器の認証を控えてほしい」と訴えました。その背景には、ユーザーがWi-Fiネットワークにログインしなくても、携帯ネットワークで高速通信を行えるようになることへのWi-Fi関連の企業からの懸念もあるようです。

EE Times Japanは2015年5月13日づけで、「LTE-U/LAA対Wi-Fi」の議論には、公平性の問題が潜んでいると報道していました。Wi-Fi側にもLTE-U側にも公平性が大きな課題のようです。LTE-U側とすれば、LTE-Uのために開発された新技術をWi-Fiでも利用できるようになることで、多くのWi-Fiアクセスポイントを持つケーブル事業者が携帯電話会社と同等レベルサービスを提供することになって、通信業界の勢力図が崩壊しかねないという懸念があります。

双方の対立には、技術的な問題だけではない難しい課題を抱えているようです。

 

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