Thread Version 1.0とIoT標準化団体

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Thread Version 1.0

2015年7月にThread GroupがIoT向け無線通信規格の新しい規格「Thread Version 1.0」を発表し、非会員向けには、技術のホワイトペーパーをWebサイト上に公開しました。ホワイトペーパーには、ネットワーク構成や6LoWPAN、Threadのスタック仕様、対応デバイスの消費電力を抑えるための仕様などについて示されています。( http://threadgroup.org/Downloads.aspx 参照)

すでにイギリスのARM社とアメリカのFreescale Semiconductor社、Silicon Labs社からThreadに対応した無線チップとソフトウエアスタックが提供され、2015年9月には、Thread Groupは製品認証プログラムを立ち上げるとのことですので、2015年後半にはThreadに準拠した製品が市場に投入されるだろうと言われています。

Threadは、IPv6 ベースのメッシュ・ネットワーク・プロトコルで、物理層/MAC層にはIEEE802.15.4を用いています。伝送周波数帯は2.4GHz帯です。Threadはメッシュ・ネットワークですがZigBeeやZ-Waveを拡張したものではなく、IEEE 802.15.4の上に新規のThreadプロトコルを搭載したものです。ですが、ZigBeeやZ-Waveのプロトコルスタックを抜いて、そこにThreadのプロトコルスタックを搭載すればThreadに対応できようになるとのことです。

ThreadのベースになっているのはGoogle傘下のNest Labsが開発していた技術です。Nest Labsは、人工知能搭載型サーモスタット(温度調節装置)「Nest Learning Thermostat」などを手掛けるホームオートメーション企業ですので、Threadはホームネットワークでの使用を想定しており、アクセス制御、温度調節、エネルギー管理、照明、安全とセキュリティといった用途に利用されるだろうとのことです。

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( EE Times http://www.eetimes.com/document.asp?doc_id=1327133 より)

ホームオートメーションにおけるIoT標準化を目指す団体

ホームオートメーションにおけるIoTの標準化を目指す団体はThread Groupの他にも、クアルコムなどが主導する「Allseen Alliance」、インテルなどの「Open Interconnect Consortium」などがあります。アップルもiOS端末のアプリ開発者向けに「HomeKit」を提供しています。

主な標準化団体

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(株式会社日本政策投資銀行産業調査部http://www.dbj.jp/ja/topics/report/2014/files/0000018900_file2.pdf より)

スマートホーム・ホームオートメーションにおけるIoTの標準化を目指す団体の特徴をまとめると次のようになります。

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(IoT政策の動向 2015年5月21日 (株)インターフュージョン・コンサルティング代表取締役会長奥井規晶 より参照)

上の表のように競合するところもありますが、仕様を詳しく見ると違いもあります。Thread Groupは、IEEE 802.15.4をベースにしたセキュアで省電力を、AllSeen Allianceの「AllJoyn」は、ネットワークやOSの種類は問わずデバイス間でコネクティビティー手段を、アップルの「HomeKit」は、ネットワーク部分はBLEや無線LAN、USBなど既存の接続手段を用いてアプリケーションレイヤーをそれぞれ対象としています。

それぞれの対象とするレイヤーを一覧にすると下図のようになります。

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(IoT政策の動向 2015年5月21日 (株)インターフュージョン・コンサルティング代表取締役会長奥井規晶 より参照)

上記の表からも分かるように、AllJoynはトランスポート層の上にあるミドルウエアであって、伝送路技術には依存しません。ですので、Thread上でAllJoynを動かすことも可能です。MicrosoftがAllSeen Allianceの一員でもあり、Thread Groupにも参加しているのは、Thread上でAllJoynを動かすためだとの話がありますし、Thread Version 1.0の発表のおり、Qualcommの子会社Qualcomm Technologiesを、Thread Groupの理事会メンバーとして迎え入れたことも明らかにされています。Thread Groupと AllSeen Allianceの今後の動きが注目されます。

 

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