sXGP

298547_R

デジタルコードレス電話の無線局の高度化

総務省の情報通信審議会 情報通信技術分科会の陸上無線通信委員会では、2016年7月からIoT社会における多様なニーズに対応するため、「デジタルコードレス電話の無線局」(※1)への携帯電話等の国際標準規格であるLTE方式を利用した無線システム導入の向けて、既存システムとの周波数共用を図りつつ、必要な技術的条件について検討を行ってきました。そして、2017年2月9日に報告(案)が示されて、3月12日まで意見の募集を行っていました。最終の報告書は3月末までには出されるようです。

「デジタルコードレス電話の無線局」については、1.9GHz帯を使用し、1993年にPHS方式が導入され、その後2010年にDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunication)方式(※2)及びsPHS方式(※3)が導入されています。現在、販売されている一般家庭用のコードレス電話の多くはDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunication)方式です。sPHS 方式は、製品化されていないようです。出荷台数を見ると、DECT方式が年間500万台以上、PHS方式は年間40~60万台となっています。

(※1)「デジタルコードレス電話の無線局」というのは、電波法第4条のただし書きに示されている免許を要しない無線局の中の空中電力線が0.01W 以下の無線局 (小電力無線局)の8つのカテゴリーの一つです。ちなみに、小電力無線局の8つとは、「コードレス電話の無線局」、「特定小電力無線局」、「小電力セキュリティシステムの無線局」、「小電力データ通信システムの無線局」、「デジタルコードレス電話の無線局」、「PHSの陸上移動局」、「狭域通信システムの陸上移動局」、「5GHz帯無線アクセスシステム」です。

(※2)DECT方式は欧州で規格化されたコードレス電話システムで、世界で広く普及しています。無線LANや電子レンジとの干渉がなく自動的に最適なチャンネルが選択でき、さらにDECT ULEでは低消費電力であること、中継アンテナの連結接続が可能であるといった特徴があります。

(※3)sPHS(SuperPHS) は、PHS方式を拡張するシステムで、LTEやWiMAXと同じOFDMという変調方式を採用しています。1.6Mbpsの高速伝送により、広帯域音声通信や動画像通信が想定されていましたが、製品化には至りませんでした。

TD-LTE方式

委員会では、現在のデジタルコードレス電話の状況を、「一般家庭の宅内のコードレス電話は、DECT方式に置き換わりつつある」「事業所等では自営PHSが主流であるが、3GPPで規格化されたTD-LTE方式を用いたデジタルコードレス電話の導入ニーズが高まっている」「デジタルコードレス電話の周波数帯を含む、Band39が規格化されており、既存の携帯電話端末との共通的な利用等のニーズがある」と分析し、次の3点について検討をかさねてきました。

① 新たなシステムとして、3GPPで標準化されたTD-LTE方式をベースとしたsXGP方式(shared eXtended Global Platform)の導入を検討
② DECT方式についてキャリアセンスレベルを見直し利便性を高め、IoT等に対応及び非対称通信を行う新たな利用モデルの技術基準の検討
③ 上記①②の検討に伴う、既存無線システムとの共用条件等の検討

(情報通信審議会情報通信技術分科会 陸上無線通信委員会「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「デジタルコードレス電話の無線局の高度化に係る技術的条件」報告(案)概要 より)

TD-LTEとは、TDD方式を用いたLTE (Long Term Evolution)で、TDDとは時間分割複信(Time Division Duplexing)と呼ばれ、同一の周波数で送信と受信を高速に入り替えて通信を行うものです。

TD-LTEEとLTEは基本的には同一規格であり、例えば、無線アクセス方式は、ともに下りがOFDMA(※4)、上りがSC-FDMA(※5)です。帯域幅は1.4、3、5、10、15、20MHzをサポートしていることも共通しています。また、「デジタルコードレス電話の無線局」の1.9GHz帯は、3GPPでTD-LTE方式に割り当てた周波数のBand39(1,880MHz~1,920MHz)に含まれています。

sxgp_001_R(情報通信審議会情報通信技術分科会 陸上無線通信委員会「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「デジタルコードレス電話の無線局の高度化に係る技術的条件」報告(案)概要 より)

(※4)OFDMAとは、Orthogonal Frequency Division Multiple Accessの略で「直交周波数分割多元接続」あるいは「直交周波数分割多重接続」と呼ばれるデジタル変調方式のことです。

(※5)SC-FDMAはSingle Carrier-Frequency Division Multiple Accessの略で「シングルキャリア周波数分割多元接続」と呼ばれています。下り回線と同じ変調技術を使用していますがSC-FDMAは1つのキャリアを変調するので、OFDMAに比べてピーク電力が下げられる特徴があります。

sXGP方式

sXGP方式(shared eXtended Global Platform)とは、XGPフォーラム(※6)で技術検討されてきた1.9GHz帯のTD-LTE方式の規格に準拠した新たな方式で、sPHS方式の後継システムという位置づけになります。sXGP方式は、下りはOFDMA、上りはSC-FDMAを採用し、占有周波数帯幅が最大5MHzでデータ伝送速度が10Mbps以上の高速通信が可能です。チャネル幅は1.4MHz幅あるいは5MHz幅が考えられています。通信はパケット通信のみをサポートですが、音声通話はVoIPで行われます。空中線電力は、最大100~200mWとなっています。

sxgp_002_R(情報通信審議会情報通信技術分科会 陸上無線通信委員会「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「デジタルコードレス電話の無線局の高度化に係る技術的条件」報告(案)概要 より)

活用イメージとしては、バント39の1880MHz~1920MHzという周波数帯がコードレス電話向けの周波数帯とオーバーラップしており、このバンドはチャイナモバイルがTD-LTEで利用するバンドでもあり、さらに、iPhoneなどのLTE端末が同バンドをサポートしていることから、携帯電話やスマートフォンを、家庭内や事業所内のコードレスホンとしての利用が考えられます。また、スマートメーター、監視カメラや環境センサーなどを構内回線につないで利用するといったことも期待されています。

sxgp_003_R(「小電力の無線システムの高度化に必要な技術的条件」のうち「デジタルコードレス電話の無線局の高度化に係る技術的条件」の検討状況について(中間報告) (TD-LTE方式の導入及びDECT方式の高度化等) 平成28年11月10日 デジタルコードレス電話作業班 より)

(※6)XGP(eXtended Global Platform)フォーラムは、公衆・自営PHS方式及びXGP方式の国際標準化および普及促進を目的とし、PHSの発展、普及を目的とした国際標準化団体PHS MoUグループが2009年に発展的に改組した団体です。上りと下りの通信を同じ周波数で行うTDD(Time Division Duplex:時分割複信)方式の普及促進の活動などを行っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です