OpenG

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OpenG

ラッカスワイヤレス(※1)が2016年2月に、「屋内のセルラーカバレッジとキャパシティの問題に対応するOpenG™テクノロジー」を導入すると発表しました。プレスリリースでは、

「OpenGテクノロジーは、周波数帯域(米国における3.5 GHzなど)と、ニュートラルホスト対応スモールセル(※2)を組み合わせて、コスト効率の高い、ユビキタスな屋内セルラーカバレッジを実現します。」

と述べています。
OpenGは、グーグル、インテル、ノキア、クアルコム、Federated Wirelessと共に、3.5GHz帯を用いる屋内向け小型携帯電話基地局を開発し、その普及を推進するということです。
ラッカスワイヤレスはOpenGの導入によって

「建物の所有者はコスト効率の高い屋内セルラーを導入し、建物の大きさにかかわらず顧客と従業員の全ニーズを満たせるようになります。ラッカスのビジョンは、DAS (分散アンテナ システム) や従来のスモール セルに代わる、非常に低価格かつ導入が簡単な、ネットワークに依存しない技術を提供することです。」

と述べています。屋内では携帯電話の電波が届きにくいということが課題としてあります。その解決策としてはスモールセル(※2)という方法もありますが、携帯電話会社にひも付いています。それに対してOpenGはモバイルネットワークに依存せず、その導入も簡単でコストを抑えつつパフォーマンスを向上できるというわけです。

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(http://www.slideshare.net/CommsDay/commsday-summit-2016-patrick-devlin-ruckus-wireless より)

(※1)ラッカスワイヤレスは2004年に「Video54」という名前で設立され、その後現在の名前に変更しました。ビームフォーミングを中心とするアンテナ技術に強みを持つ無線LAN機器ベンダーです。知名度は低いようですが、Wi-Fiアクセスポイントは企業やホテル、サッカー場や野球場などのスタジアム、空港などの公共施設、携帯電話事業者の運営するホットスポットなどに使われており、KDDIのau Wi-Fiのインフラとしても採用されています。独自のアンテナ技術(BeamFlex+)は電波の干渉が少なく、高いスループットで信頼性の高い安定した通信を可能にし、少数のアクセスポイントで、広範なエリア、多数のユーザーをカバーできることが強みのようです。
(※2)スモールセルは携帯電話基地局の種類の一つで、小出力でカバー範囲の狭い補完的な基地局を指します。カバーする範囲などによって、nanocell又はpicocell、femtocellと呼ばれるものがあります。

3.5Ghz帯

OpenGで用いられる3.5Ghz帯ですが、アメリカにおいては当初、米国防省(Department of Defence)などに割り当てられていました。しかし、2015年4月に米連邦通信委員会(FCC)が新たな周波数割り当てを導入し、3.5GHz帯の一部が民間事業者にも開放されました。なお、3.5GHz帯については、グーグルがFCCに対してその開放を働きかけていた経緯があります。
3.5GHz帯の開放では、周波数帯を三層構造にして互いの干渉を防ぐと同時に3つの優先度が設けられています。最優先は、政府が衛星通信やレーダーに引き続き活用する部分、第2優先度はオークションで優先的利用を認めるPAL(Priority Access Licenses)と言われる部分、第3優先度は基地局をFCCに登録しさえすれば、他の優先ユーザーに干渉しない限り、誰でもライセンスなしに利用できるGAA (General Authorized Access)と呼ばれる部分です。OpenGが用いるのはこのGAAです。

ちなみに日本での3.5GHz帯は携帯電話3社に割り当てられています。3480~3600MHzの120MHz幅を「Low」「Middle」「High」の3枠に分け、NTTドコモに「Low」、ソフトバンクモバイルに「High」、KDDI/沖縄セルラー電話に「Middle」バンドが割り当てられています。3.5GHz帯を使ったサービスの開始日は、各社とも2016年度中となっており、報道ではNTTドコモでは6月から始まるようです。

3.5GHz帯の特徴として、高い周波数なので直進性が強く、また遠くに届きにくいということがあります。従って、広いエリアをカバーするには不向きです。トラフィックの多いところを中心に使うというスポット的な利用が向いているようです。また、割り当てられる帯域幅が広いので、高速化しやすいという特徴があります。

ところで、OpenGを推進するラッカスワイヤレスですが、2016年4月にブロケード・コミュニケーションズ・システムズに買収されることで最終合意がなされました。報道やブロケードのプレスリリースで述べられているブロケード CEO ロイド・カーニー氏やラッカス社長兼CEO セリーナ・ロー氏の談などから、ブロケードは5Gモバイル・サービス、IoT、スマートシティー、OpenG技術、およびLTEとWi-Fiの融合に向けた新しい市場を強化する狙いがあるようです。また、ラッカスワイヤレス側には

・無線と有線を包括したソリューションを求める顧客の増加
・無線と有線をカバーする競合社の存在
・ラッカスとブロケードは相互補完的であり、クロスセル(※3)を進めることで、ネットワーク製品事業の拡大が望める

といったことがあるようです。

(※3)マーケティングの手法の一つで、ある商品を購入したり購入しようとしている顧客に対して別の商品の追加購入を勧めて販売するものです。家電店でデジタルカメラのコーナーのそばにプリンタやメモリカードを並べて一緒に買ってもらうとか、ハンバーガーチェーン店でポテトも一緒に買ってもらうというような販売です。

 

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