LTE over Wi-Fi/MulteFire

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LTE over Wi-Fi

LTE over Wi-Fi(LoW)は、米国のnCore Communications(エヌコアコミュニケーションズ)社が開発した技術で、Wi-Fi上でLTEのプロトコルによる通信を仮想的に動作させるものです。デバイスとアクセスポイント間の通信はWi-Fiですが、デバイスとアクセスポイントにエージェントソフトを搭載することで、仮想的に「LTE端末」と「基地局」として動作させるわけです。トンネリングと言われる技術を活用したものです。これによって、LTEネットワークの持つ機能、例えば、SIM認証やLTEがもつセキュリティ機能、管理機能などがWi-Fi環境で利用できるようになります。Wi-Fiアクセスポイントも安価で、エリア整備にかかるコストも抑えられるというメリットがあります。

日本では、nCore Communicationsに出資しているワイヤレスゲートとモバイル・インターネットキャピタルが設立した新会社LTE-Xが、LTE over Wi-Fi の国内独占ライセンスを持っており、工場、病院、セキュリティ、物流などの市場をターゲットにして、通信プラットフォームの提供を行っていくとのことです。なお、この技術はWi-Fiネットワーク上のみでなく、他のIPネットワーク上でも利用可能です。

トンネリング

トンネリング技術とは、仮想的なトンネルを作ることで違う通信方式でも送受信できるようにしようというものです。トンネリングについて、KDDIの用語集には次のように書かれています。

トンネリングとは、ある2点間のネットワークをインターネットの公衆回線を介し、パケットをカプセル化して通信を行うことである。通信を行うパケットを、別のプロトコルのパケットで丸ごと包み、目的地へと送信することで・・・。
(www.kddi.com/yogo/通信サービス/トンネリング.html より)

トンネルのような仮想の閉じられた通信回線を作り、カプセル化という技術で通信を行うもので、OSI参照モデルのネットワーク層以上のプロトコルを、データリンク層のプロトコルとみなして通信する技術になります。

NTTPCコミュニケーションズの「用語解説辞典」では、次のような例えでトンネリングを説明しています。

・・・ある商品をお客さんに送るとしよう。その商品の外箱に宅配便の送り状を付ければ、そのまま送ることができる。しかし事情があって、今回はゆうパックで送りたい。そこで、その商品を外箱ごと、ゆうパックの段ボール箱に入れて新しく宛名を書いた。これで、当初の予定とは違う方法で送ることができる。また、送り主が箱詰めしてから相手が取り出すまで、途中で中身を見ることができない。つまり、入口から出口まで内容が分からないことが、トンネルを通過している状態に例えられる。・・・
(NTTPCコミュニケーションズの「用語解説辞典」http://www.nttpc.co.jp/yougo/トンネリング.html より)

MulteFire

MulteFireは、アンライセンスバンド(Unlicensed Band)を使ってLTE通信を行うシステムで、米クアルコム社が開発した技術です。主に5GHz帯の電波を使用することが想定されています。免許が不要なため、病院やオフィスビル、事業所の構内だけでネットワークを構築するといった使用が考えられています。

2015年12月に、クアルコムとノキアがMulteFireの普及を目指して「MulteFire Alliance」を設立しました。ボードメンバーには、エリクソン、インテルなどが加わっています。団体では、MulteFireの仕様を策定したり、製品認証プログラムを確立したりといった活動を現在行っています。

ライセンスが不要な5GHz帯を使ったLTEは、MulteFire だけではありません。「LTE-U(LTE Unlicensed)」や「LAA(Licensed Assisted Access for LTE)」と呼ばれるものもあります。これらは通信事業者がキャリアアグリゲーション(carrier aggregation)(※1)で活用することを想定したもので、通信制御をライセンスバンド側で行うのに対して、MulteFireは、キャリア以外の事業者が単独で利用することを想定していて、通信制御を含むすべてのオペレーションを5GHz帯で行うそうです。

multefire_002_R(MulteFireTechnology Progress and Benefits, and How It Enables A New Breed of Neutral Hosts  https://www.qualcomm.com/documents/multefire-technology より)

MulteFireはIoT領域での活用も想定されているようで、ノキアが推奨しているようです。この分野には、BluetoothやZigBee、Wi-Fi、LoRaWANNB-IoTSIGFOXなどがありますが、MulteFireは免許不要帯域であることから様々なコストが低減でき、LTE規格をWi-Fiなどの帯域で活用する技術であるためLTE並みのキャリア品質が維持できるとして注目されているようです。

multefire_003_R(総務省 資料「AIネットワーク社会とエコシステム2017年11月9日 国際大学GLOCOM 客員研究員 林 雅之 http://www.soumu.go.jp/main_content/000520421.pdf より」

multefire_001_R(MulteFireTechnology Progress and Benefits, and How It Enables A New Breed of Neutral Hosts  https://www.qualcomm.com/documents/multefire-technology より)

(※1)キャリアアグリゲーション(carrier aggregation)は、キャリア(電波)をアグリゲーション(集約する)ということから、複数の周波数帯の電波を束ねて、データ通信をする技術です。

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