高速で遠くまで電波が届き、低消費電力(電池で5~10年稼働)
「IP500 Alliance」は、低コスト低消費電力で大規模ネットワークを構築できるインターネット回線センサーネットワークの無線通信規格で、EUを中心にASSA ABLOY、BOSCH、GEZE、Honeywell、Siemensなど377社が参加しています。国内からはオムロン、豊田通商が参加しています。
アドホック通信(※2)に対応したIoT機器によるメッシュネットワークが特徴で、相互接続性を重視。国際スタンダードである「IEEE802.15.4-2006」「IPv6」「6LoWPAN」「UDP」「BACnet」など、他規格にも対応しています。
またひとつのネットワークに数千のセンサーを接続でき、機器間については、IPsecによる接続が可能。使用する周波数帯域は、EUでは「868MHz」、米国では「915MHz」で、日本では「915MHz」および「928MHz」でいずれもサブ1GHz周波数帯となっています。
セキュリティやセーフティ分野での利用
EUの防火防犯認定規則であるVdS(※1)の認定を受けており、HEMSやビルセキュリティなど、信頼性が高い分野などへの活用できるとし、プラント、制御分野、医療などへ広く普及させることを目指しています。
具体的には、HEMSやセキュリティ(防犯防火)設備の一元遠隔制御、公共施設に設置されたセンサー網で収集されたデータの一括管理システムなどでの利用を想定しており、中でもビルの火災警報器での活用を促進していくようです。IP500をビルに導入した場合、火災時にモバイル端末所持者の位置を瞬時に捉え、即座に避難方向を指示できるほか、避難扉などの防火設備の動作を細かく操作したり、消防署への通報も行うことができるようになります。すでにEUでは、ビルに到着した消防隊がIP500を介してドアを制御し、ロックされたドアの破壊作業の必要なしに、迅速に火元にアクセス可能にできるようにするプロジェクトも進行中だそうです。
(Security NEXT http://www.security-next.com/056230 より)
(Businessnetwork http://businessnetwork.jp/Detail/tabid/65/artid/3837/Default.aspx より)
2015年春に国内で評価キットを発表する計画で、現在2チップ構成のモジュールについても、シングルチップのモジュール設計を行い、2015年末に完成する予定です。
主な特徴
1.Interoperability(相互接続性):
IP500はメッシュネットワークが基本です。すべてのデバイス間および他メッシュ以外の既存ネットワークとの完全相互接続が可能。
2.Standard conformance(国際スタンダードに対応):
IEEE802.15.4-2006、IPv6、6LoWPAN、UDPおよびBACnetTMに対応。これによりネットワークコストの低減を実現します。およびVdS(上記のとおり)に認定されたことで無線通信の信頼の高さが証明されています。
3.Data Security(セキュリティーの高さ):
AES-128 機器間暗号化、IPsec エンドツーエンド暗号化で高いセキュリティーを実現しています。※AES(Advanced Encryption Standard)は米国の新暗号規格
4.Data Rate 500kbps(高速データレート):
高速データレートによりセンサー動作時間が瞬時で済み、その分スリープが長くなります。この結果、センサー電池の持ちが向上して、さらに多くのセンサーを設置できます。
5.Scalability(拡張性):
1つのIP500ネットワーク当たり、数千個までのセンサー網を構築可能。
6.Low Power consumption(低消費電力):
近距離無線では最高効率の低消費電力を実現。電池動作で5~10年。ソーラーでも稼働可能。
7.Mobility(モビリティの実現):
IP500をモバイル端末で利用可能。
8.Location Based Service(位置情報サービス):
IP500モバイル所持者の位置情報把握が可能。
(PR TIMES http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000012835.html より)
(※1)EUの防火防犯認定規則で、この認定は無線通信の信頼の高さを証明になっており、セキュリティー(防犯防火)に対応することを大きな特色にしています。
(※2)IEEE 802.11無線LANの動作モードのひとつで、それぞれの端末に設置された無線LANのアダプタが、互いに直接通信をする形態のことです。