IEEE802.15.3e

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TransferJet とIEEE802.15.3e

TransferJetコンソーシアム(※1)が、10Gbpsを超える超高速近接無線通信IEEE802.15.3eの国際標準規格化を完了したと2017年6月発表しました。ニュースリリースによれば、キャリア周波数は60GHz帯、最大転送速度は13.1Gbps、通信開始までの接続時間は2msecとなっています。

TransferJetコンソーシアムでは、中心周波数4.48 GHz帯、帯域幅560Mhz、最大560Mbps、実効スループットで375Mbpsのデータ転送が可能なTransferJetの規格を策定していますが、今回の規格化完了によりIEEE802.15.3eをベースにした次世代の高速近接通信技術「TransferJetX」の策定を進めるとしています。

transferjet_2017_002_Rhttps://www.transferjet.org/ja/tj/tj_nextgen.html より)

(※1)TransferJetコンソーシアムは、2008年7月にTransferJet技術を適用した幅広いアプリケーションを開発するという共通の目標の下、国内外の15社によって設立されました。コンソーシアムの会員は規格書の作成やコンソーシアム全体の運営活動を行うPromoterと、規格に準拠した製品の開発・製造・販売等をすることが出来るAdoptersからなっています。

新たなユースケース

TransferJetコンソーシアムや日本無線のニュースリリースには、新たなユースケースの創出として、改札ゲート通過時に歩きながら大容量コンテンツを瞬時にゲットする、イベント会場のKIOSK等で限定配布の大容量映像データを瞬時にゲットする、高速モバイルネットワークと連携し移動体設置のゲートで乗降時に大容量コンテンツをタッチで送受信する、個人の動画や画像データをタッチで高速アップロードしクラウド上のサーバーに転送するなどの例を挙げています。

60 GHzアンライセンス帯

60 GHzアンライセンス帯標準規格には、前述のIEEE802.15.3eの他に、WPAN方式であるIEEE802.15.3cやWLAN方式であるIEEE802.11ad(WiGig)、さらにその次期高速版であるIEEE802.11ayなどがあります。IEEE802.11adは2013年 1月に標準化されていますが。IEEE802.11ayは現在標準化作業中で、規格の完了は2019年が予定されています。

その他に、HDMIの無線化規格である「WirelessHD」もあります。WirelessHDは、インテルやSiBEAM、パナソニック、ソニー、NEC、東芝、韓国LGエレクトロニクス、韓国サムスン電子が中心となって策定した国際標準規格です。

transferjet_2017_006_R(先進的無線システムに係る人体防護に関する 国際規制動向等の調査調査概要及び進捗報告 2017年2月1日 三菱総合研究書社会ICT事業本部 http://www.soumu.go.jp/main_content/000462351.pdf より)

60 GHz帯のミリ波は、電波伝搬の自由空間損失が大きく電波通信距離は10m程度と短いことや直進性が強いこと、遮蔽物に弱いといった特性がありますが、それはチャネル間干渉を回避できる特性でもあります。

また、幅広い周波数帯域(2015年に技術基準の改正が行われ、従来の2.5GHZから9GHz占有幅の上限が拡大されています)によって高速データ通信が可能であるという特徴があります。

IEEE802.15.3eの場合は、無線伝送距離が10 cm程度とIEEE802.15.3cやIEEE802.11adよりもさらに短く(100分の1程度)、また P-P通信(※2)に限定し、Touch & Getを実現するための瞬時の接続確立、最大256QAMの多値変調の使用(※3)、Listen Before Talk (※4)の実装を必須としないなどの特徴があります。

transferjet_2017_004_Rhttp://www.transferjet.org/ja/news/press/PR-J-IEEE802153e_final.pdf より)

(※2)P-P通信はpoint to pointで、1対1接続です。
(※3)電波に信号を載せることを「変調」といい、QAM(カム:Quadrature Amplitude Modulation)は、電波の「振幅」と「位相」の両方を使用して変調を行う変調方式です。256QAMは、16×16の256値のシンボルを利用して一度に8ビットの情報を伝送するものです。
(※4)電波干渉を防ぐための仕組みのことで、周波数帯が他に使用されていないか事前に確認を取ってから送信を行う制御を指します。

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