セルラー系LPWA

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LPWAの市場予測

エリクソン社が2016年11月に公表した「ERICSSON MOBILITY REPORT NOVEMBER 2016」によれば、2022年までに約290億のモバイル通信を使った接続デバイスが予測され、そのうち約180億がIoT関連と予測しています。2018年にはIoTデバイスが携帯電話の数を上回り、2016年から2022年の間、IoTデバイスは年平均成長率21%で増加すると見ています。

下図を見ると、2022年にはShort-range IoT(短距離IoT)が160億、Wide-area IoT(広域IoT)が21億となっています。短距離IoTとはWi-Fi、Bluetooth、ZigBeeなど近距離通信デバイスで、広域IoTはNB-IoT、SIGFOX、LoRaWANなどの通信距離が数kmから数十kmと長距離なデバイスです。
さらに、広域IoTのうちセルラー系のデバイスは、2016年の4億から2022年には15億になりと予測しています。広域IoT全体が21億ですから約70%がセルラー系ということになります。

llpwan2017_001_R(ERICSSON MOBILITY REPORT NOVEMBER 2016  https://www.ericsson.com/assets/local/mobility-report/documents/2016/ericsson-mobility-report-november-2016.pdf より)

また、GSMAの予測では、LPWA接続の数が次第に増加し、2018年ごろから急増し2018年末までに10億以上、2022年末までには50億以上になると予測しています。

llpwan2017_006_R(Mobile internet of things low Power wide area connectivity GSMA INDUSTRY PAPER
http://www.gsma.com/connectedliving/wp-content/uploads/2016/03/Mobile-IoT-Low-Power-Wide-Area-Connectivity-GSMA-Industry-Paper.pdf より)

セルラー系LPWAと非セルラー系LPWA

LPWA(Low Power Wide Area)は「省電力」「長距離通信」を実現する無線通信技術の総称で、特定の技術や規格を表すものではありません。
LPWAは大きく「セルラー系」と「非セルラー系」に分けられます。

セルラー系では、LTEをベースに標準化されたNB-IoTやLTE-M(eMTC)などがよく知られています。EC-GSM-IoTというGSM帯域を使用する方式もあります。

非セルラー系ではSIGFOX、LoRaWAN、RPMA (Ingenu)などがよく知られ、商用も進んでいます。日本では京セラコミュニケーションシステム(KCCS)が2017年2月からSIGFOXのサービスを立ち上げました。ソラコムも2月にLoRaWANのサービスをそれまでの実証実験から正式にスタートさせると発表していますし、ソフトバンクは前に2016年度中にLoRaWANのサービスを提供すると発表しています。KDDIも2017年中には本サービスを開始するようです。また、RPMA (Ingenu)は電力会社から高圧電力を一括購入し、変電設備で低圧に変換しマンションの各戸に供給する高圧一括受電サービスで採用されているところもあります。その他にはWi-FiアライアンスのIEEE 802.11ah(Wi-Fi HaLow)やアメリカのSensus社が開発したFlexNetなどがあります。FlexNetは神戸市水道局が水の流量や漏水管理に採用しています。

セルラー系の利用周波数はライセンスバンドですが、非セルラー系はFlexNetを除いてアンライセンスバンドです。前述のエリクソンのレポートでは、非セルラー系よりもセルラー系のLPWAが優位になると見ているようですが、アンライセンスバンドの場合、デバイスが増えたときにシステムの干渉が懸念されます。そのことがセルラー系が優位になると考える理由の一つかもしれません。

llpwan2017_005_R(「ロボット・IoTにおける電波利用の 高度化など最新の電波政策について」総合通信基盤局 電波部 移動通信課 平成28年6月17日 http://kiai.gr.jp/jigyou/h28/PDF/0617p1.pdf より)

NB-IoT とeMTC

セルラー系のLPWAの名称が少々分かりにくいのですが、携帯電話向け無線規格の標準化団体3GPPがIoT向けに定めたLPWA性能を持つLTEの規格が、「Cat.M1(LTE カテゴリM1)」や「Cat.NB1(LTE カテゴリ NB1)」です。
Cat.M1の仕様策定中はeMTC(enhanced Machine-Type Communications)と呼ばれていました。また、Cat.NB1は「NB-IoT(Narrow Band-IoT)」と一般には言われており、「Cat.M1」が「LTE-M(eMTC)」、「Cat.NB1」が「NB-IoT」で利用する端末の規格に相当することになります。

NB-IoTは固定通信向けでeMTCは移動通信(低・中速)向けです。ともに2016年6月に前述のように3GPPのリリース13において規格が取りまとめられました。通信方式の簡略化等により、低消費電力等を実現し、既存の携帯電話ネットワークを活用することで、面的なサービス提供が可能となっています。

eMTCは比較的通信速度が速く、全二重の場合上り1Mbpsです。チャンネル帯域幅は1.4MhzでLTEの約10分の1です。ウェアラブル機器 ヘルスケア、⾒守りなどの分野での活用が考えられています。

NB-IoTは半二重のみをサポートし、上り62Kbpsでチャンネル帯域幅はLTEの50分の1の200Khzとなっています。主にスマートメーター、機器管理、故障検知などでの活用が考えられています。

llpwan2017_004_R(総務省情報通信審議会 情報通信技術分科会 新世代モバイル通信システム委員会「eMTC及びNB-IoTの技術概要・共用検討」平成29年1月13日http://www.soumu.go.jp/main_content/000458171.pdf より作成)

llpwan2017_007_R(「ロボット・IoTにおける電波利用の 高度化など最新の電波政策について」総合通信基盤局 電波部 移動通信課 平成28年6月17日 http://kiai.gr.jp/jigyou/h28/PDF/0617p1.pdf より作成)

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