IT人材白書2016

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IT人材白書2016

2016年4月27日にIPA(情報処理推進機構)から「IT人材白書2016」が出されました。今回は、グローバルでボーダレスな世界において異質な文化や人と交わっていかなければ、日本は蚊帳の外に置かれてしまうという危機感から、既存の組織や企業、国の壁や枠組みにとらわれない発想で物事を捉え、社会を変える高い志を持ったIT人材が求められるとして、「多様な文化へ踏み出す覚悟~デジタルトランスフォーメーションへの対応を急げ~」とのサブタイトルがつけられています。
本書は「IT人材白書2016」の概要、IT人材の現状と動向、ヨーロッパと日本のIT人材動向、2015年度調査結果、教育機関動向、IT人材育成(IT人材育成本部)の6部から構成されています。今回新たに掲載されたものとしては、「ネット企業およびネット部門」やITを活用した製品などの研究・開発を行う製造業などの「R&D部門」、ヨーロッパにおけるIT人材動向、特定の企業に属さないフリーランス、IoT関連技術を活用した新事業・新サービスの実施状況、情報系以外の学科におけるIT教育の動向などです。
「IT人材白書2016」の主なポイントには、以下の内容が述べられています。
1 戦略的なIT人材育成に挑むEU  目の前の人材不足対応に追われる日本
2 IoT、ビッグデータ時代に挑む姿勢が見えないIT企業
3 IoTに携わる技術者の新しい学び方
4 自らの技術力で生きるフリーランス

全体構成(2015年と2014年の比較)

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(「IT人材白書2016」概要及び「IT人材白書2015」概要 独立行政法人情報処理推進機構 IT人材育成本部 より)

気になる日本の現状

この中で少々気になるのは、「戦略的なIT人材育成に挑むEU 目の前の人材不足対応に追われる日本」と「IoT、ビッグデータ時代に挑む姿勢が見えないIT企業」ではないでしょうか。
調査ではIT人材の職種区分を「マネジメント、アーキテクチャおよび分析」、「コアITエンジニア」、「その他ITエンジニア」の3つに設定し、「コアITエンジニア」と「その他ITエンジニア」は上位の「プロフェッショナルレベル」と下位の「テクニシャンレベル」に分類しています。そうして2011年と2014年のヨーロッパ各国のIT人材の動向と日本の動向を比較しています。
それによれば、例えばヨーロッパ各国では、2011年と2014年の比較で「マネジメント、アーキテクチャおよび分析」が人数並びにIT人材に占める割合においても増えています。イギリスは21.4%から25.5%へ、ドイツは23.7%から35.2%へ、フランスは10.8%から19.9%になっています。それに対して日本は、「マネジメント、アーキテクチャおよび分析」が2011年から2013年までは増えているものの2014年、2015年と減っています。全体的にヨーロッパでは「マネジメント、アーキテクチャおよび分析」へと人材のシフト起きているようですが、日本の場合は2011年とほとんど変化がないように感じられます。また、日本で最も多いのは「コアITエンジニア」のテクニカルレベルで40%以上を占めています。それに対してイギリス、ドイツ、フランスなどでは10%台です。しかも、2011年と比べると各国はその割合が減っているのに日本は増えています。
また、IoT関連技術を活用した新事業・新サービスの実施状況について調査しています。それによると、「IoT関連サービスの開発・提供」を行っている企業が大企業に偏り、1000人以下の企業では10%程度であり、今後の実施予定も15%から23%程度でした。小・中規模の企業では受託開発を主業務とする企業が多いことから、本書はIoT関連の委託業務は活発に発注されているとは言えないと分析しています。
こうしたことなどから、「戦略的なIT人材育成に挑むEU 目の前の人材不足対応に追われる日本」「IoT、ビッグデータ時代に挑む姿勢が見えないIT企業」というタイトルがつけられているのかもしれません。

 

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