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スーパーシティ
スーパーシティで検索すると、「チェコを走る特急列車」と出てきますが、ここでは、国家戦略特区制度を活用し、人工知能(AI)やビッグデータなどの最先端技術を用いた街を指しています。
内閣府の国家戦略特区諮問会議の中の「『スーパーシティ』構想について検討するための有識者懇談会」においてその構想が議論されており、第1回の会合は10月29日に開催され、11月下旬に予定されている第3回の会合において中間とりまとめとして基本コンセプトが示されるとのことです。
懇談会開催の趣旨の中で、「・・暮らしやすさにおいても、ビジネスのしやすさにおいても世界最先端を行くまちづくりであって、第四次産業革命を先行的に体現する最先端都市となる「スーパーシティ」の構想を・・」とあります。第四次産業革命を体現する最先端都市が「スーパーシティ」ということになるようです。
また、10月10日に開催された内閣府の「大臣と民間議員・特区区域関係自治体との意見交換会」における資料には、もう少し具体的なイメージとして次のようなことが挙げられています。
・域内の交通:オンデマンド自動走行
・域内の支払い:キャッシュレス
・域内の行政手続:ワンスオンリー
・域内の医療:遠隔診療、医薬品配達
・域内の教育:遠隔教育
・域内のエネルギー:自立可能で最適な電力供給 など
(「スーパーシティ」構想について 平成30年10月10日http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/ikenkoukankai/shiryou1010_03.pdf より)
スマートシティとスマートコミュニティ
よく似た言葉に「スマートシティ」があります。日本では省エネや低炭素社会、あるいはBEMSやHEMSと関連付けて、例えば「IT等最新技術を駆使してエネルギー効率を高め、省資源化を徹底した環境配慮型の都市」といった解釈がされることが多いようです。日本総研Research Focus(2013年4月30日)には、統一的な定義はないとしたうえで、次のように述べています。
・・・本来的には「ICTを活用して基礎インフラと生活インフラの両方を効率的に運営(=スマート化)することによって、人々がより快適に暮らすことが可能になる都市・・
(https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/researchfocus/pdf/6743.pdf より)
また、経済産業省が推進するものに「スマートコミュニティ」があります。スマートコミュニティ(シティ)と書かれていることもあり、ほぼ同義語として扱われているようです。スマートメーター制度検討会(第2回)の資料である「スマートコミュニティフォーラムにおける論点と提案 ~新しい生活、新しい街づくりへの挑戦~(平成22年6月15日)では、スマートコミュニティを情報ネットワーク、エネルギーシステム、交通システム、街づくりの4つの観点で次のように説明しています。
〇 新しい情報ネットワーク
モノとモノ、モノとヒトをつなぐ新しい情報ネットワーク
エネルギー機器と情報ネットワークが融合化したシステム
〇 新しいエネルギーシステム
集中電源、分散電源、蓄電池を統合化したエネルギーシステム
太陽光発電の大量導入を支えるエネルギーシステム
エネルギー運用に需要家も参加可能なシステム
〇 新しい交通システム
蓄電技術をコアにエネルギーと交通が融合化したシステム
自動車がセンサーとしてネットワーク化されたシステム
利便性が高く、環境に優しい交通システムも誕生
〇 快適性向上と省エネを両立した新しい街づくり
自然との一体感を感じられる街並み
快適性向上と省エネを両立した生活空間
(http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9516313/www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g100615a01j.pdf より)
各国のスーパーシティの事例
〇 ET City Brain
アリババと杭州市が取り組むプロジェクトで、2016年9月に導入されました。道路ライブカメラによる車輌の運行状況、タクシーのドライバーの運転記録、乗客のICカードの利用記録などのデータをET City Brainに集約し、事故の発生をいち早く把握して警察に自動通報したり、交通状況に応じて信号機の点滅を調整して渋滞を緩和したりします。また、蓄積データは信号機や右折・左折レーンを設置にも生かされています。こうした取り組みの結果。旧急所の到達時間が半減され、走行速度が15%上昇、一部区間の通過時間が15%短縮といった効果が出ているそうです。2018年末までに1700台のカメラが設置されるとともに、他の都市への導入やクアラルンプールへの導入などが予定されているとのことです。
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/supercity/dai1/shiryou2.pdf より)
〇 サイドウォーク・トロント(Sidewalk Toronto)
Alphabet社の子会社であるSidewalk Labsとカナダ連邦政府、オンタリオ州政府、トロント市によって創設された開発機関ウォーターフロント・トロントが進めるウォーターフロントエリアの再開発のプロジェクトです。
Sidewalk Labsが提案しているのは「自動運転車」「ロボット・デリバリーシステム」「低コストのモジュラー式ビルディング」「再生可能エネルギーによる熱を建物同士で融通し合うサーマルグリッド」「ゴミ処理システム」などの先端技術で都市生活を向上させるというものです。
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/supercity/dai1/shiryou2.pdf より)
〇 ドバイ・スマート・シティ・イニシアチブ(Dubai Smart City initiative)
2014年3月開始された「世界一のスマートシティ」を目指す取組みで、特徴的なものとしては、スマートフォンなどのモバイル端末から休日や夜中でも可能な行政サービス、ブロックチェーンの導入による品物や各種代金及び学費などの仮想通貨での支払い、空飛ぶバイクや警察ロボ隊の導入などがあります。
政府関連の支払いが24時間可能な『ePayment』、政府へ直接提案ができる『eSuggest』、政府への苦情システム『eComplain』、政府各局への問い合わせができる『AskDubai』、政府のモバイル決済ポータル『mPay』などがすでに導入されています。
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/supercity/dai1/shiryou2.pdf より)
〇 アムステルダム・スマート・シティ・プロジェクト
2009年開始の比較的古いプロジェクトです。「生活」「視度と」「モビリティ」「公共施設」「オープンデータ」の5分野32の実証プロジェクトを実施しています。具体的には、一般家庭にスマートメータを設置しエネルギー使用量を見える化、住民向けサテライトオフィス、事前予約を可能としたシェア駐車のシステム、エネルギー使用量の見える化、データのマッピング化などです。
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/supercity/dai1/shiryou2.pdf より)