Virtual Power Plant

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電力自由化

2016年4月から電気の小売業への参入が全面自由化されることにより、家庭や商店も含む全ての消費者が、電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになります。電力自由化は2003年から段階的に進められてきており、はじめは、「特別高圧」区分の大規模工場やデパート、オフィスビルが電力会社を自由に選ぶことができるようになり、さらに2004年及び2005年に自由化領域が「高圧」区分の中小規模工場や中小ビルに拡大されました。今回は、「低圧」区分の家庭や商店などにおいても電力会社が選べるようになったわけです。

電力は、電気をつくる「発電」、電気を運ぶ「送配電」、電気を売る「販売」に分けられますが、「発電」はすでに自由化されており、今回の自由化は電気を売る「販売」の部分です。「送配電」については、極めて公共性が高いとして2020年を目途に一般電気事業者から分社化され第三者機関として運営されていくので自由化されません。

いずれにしても、電力の全面自由化によって顕在化する市場は7.5兆円にもなると予想され、大きな市場が生まれることに期待感があるようです。

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(日経テクノロジー http://techon.nikkeibp.co.jp/article/MAG/20141008/381363/?SS=imgview&FD=680163765 より)

Virtual Power Plant

電力の自由化に伴って「Virtual Power Plant(VPP)」が注目されています。Virtual Power Plant (VPP)とは、常用・非常用を問わず、複数の分散電源(小規模な自家発電設備、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー発電、燃料電池や蓄電池など)を通信ネットワークでまとめて統御、及び管理するシステムで、電力の需給バランスを機動的に実施することによって、あたかも一つの発電所のように(仮想的(Virtual))に機能させるソリューションです。

発電事業者はネット上のバーチャルな電力会社と契約することになります。バーチャルな電力会社は設備投資がほとんど必要としません。また、消費者が分散電源を持つと、需要プレイヤーでもあり、時には電力供給する供給プレイヤーにもなるということが可能になります。

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(http://www.mdpi.com/1996-1073/8/3/2268 より)

エネルギー革新戦略とVirtual Power Plant

現在、政府は「エネルギー革新戦略」を策定中で、3月には公表されるとのことです。エネルギー革新戦略には「エネルギー投資の拡大」「GDP600兆円達成の一翼を担う」「エネルギー効率を向上させ、CO2排出抑制」の3つの目的があります。そして、これらの目的を達成するために「徹底した省エネ」「再エネの拡大」「新たなエネルギーシステムの構築」の3つのテーマで、革新戦略の中に具体的な対策を盛り込む作業を進めています。

この3つのテーマの中の「新しいエネルギーシステムの構築」は、さらに「新ビジネスの創出」「新規参入とCO2排出抑制の両立」「水素社会の実現」からなり、「新ビジネスの創出」の中で、『需要家側の創エネ・蓄エネ・省エネリソース(太陽光、蓄電池、ディマンドリスポンス等)を、IoTを活用して統合制御し、あたかも一つの発電所のように機能させる(「エネルギー革新戦略」の検討状況:資源エネルギー庁:平成27年12月より)』として「バーチャルパワープラント」の技術実証を進めることが挙げられています。技術実証の主要課題としては、「蓄電池の大規模群制御技術の実証」「気象観測・予測データを活用した再エネ電源の出力予測の精緻化」「創エネ・蓄エネ・省エネリソースの統合制御のための通信規格の整備」「需要家側設備からの逆潮流電力の計量方法の整理」などが挙げられています。この事業のために、28年度予算では「バーチャルパワープラント構築実証事業費補助金」として約40億円が計上されているようです。

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(「エネルギー革新戦略」の検討状況:資源エネルギー庁:平成27年12月より)

電力自由化を見越して、Virtual Power Plantビジネスの動きが日本でも見られるようです。例えば、「みんな電力」は、バーチャルパワープラントの概念を採用し、独自のアーキテクチャにより設計した地方自治体・中小事業者向けの家庭用電力小売りソリューション「enection(エネクション)」を2016年3月より提供を開始すると2015年5月に発表しています。これにより『地元で作った発電所を選んで電力を購入する地産地消モデル、東京都内の電力利用者が福島の復興に資する発電所を選んで電力料金を支払う地域間連携モデルなど、距離を超え、地域の特色を活かした、これまでにない電力流通を実現できるようになる』と同社のプレスリリースの中で述べています。

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(みんな電力 http://corp.minden.co.jp/ より)

電力の自由化は、あらゆるプレーヤーに事業参入の機会が生まれると言われています。前述のような電力データなどを収集する情報基盤や、データを解析・加工してサービスに利活用するためのアプリケーション基盤の提供・開発といったビジネスはもちろんですが、その他にも様々なサービスを付帯した事業が生まれてくるだろうと予想されています。すでに携帯電話やインターネットなどと合わせたサービスが提案されていますが、HEMSデータから一人暮らし高齢者の異常を知らせたり、住宅内への侵入者を検知したりするサービスが考えられます。家電業界なら、家電の異常を検知するサービス、自治体や小売業の場合は例えば、節電に応じてクーポン券を発行するサービスなどが考えられます。どんなビジネスが生まれてくるのか興味あるところです。

 

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