STiR

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STiR

STiRはStartup in Residenceの略で、「Residence」は「市庁舎」を意味します。サンフランシスコ市が2014年から始めているベンチャーや市民等の力を活用した街づくりのためのプログラムです。市が抱える様々な課題とその課題解決のための技術やノウハウ等を有するベンチャー企業からアイディアを募集し、マッチングした企業は4カ月(16週間)で商品やサービスの開発・改善を行います。そして市とスタートアップ企業が合意した場合に市のシステムとして採用されるというものです。2015年からはサンフランシスコを中心に、オークランド、サンレアンドロ、ウェストサクラメントの4都市共同で実施され、2018年からはCity Innovate Foundationと提携して国内11都市で展開されているとのことです。

政府の補助金プロジェクトではありませんが、各専門家(公共セクターの需要理解、製品開発、マーケティング、提携経営、オフィスの貸し出しなど)のアドバイスや事業パートナーの紹介が受けられます。

STiRの利点としては、自治体からは、住民のニーズを満たすベンチャー企業が有する優れたICT ソリューションを利用することで素早く問題を解決できるということ、雇用や産業の創出、リスクの軽減などがあります。また、自治体の職員がアジャイル開発を実戦で学ぶ機会が得られるということもあげられています。企業にとっては、現実のユーザーのニーズに基づいているので合理的に商品やサービスが開発でき、自治体の協力が得られる。さらには契約につながる可能性や他企業からの出資も期待できることがあります。

総務省の「ICT街づくり推進会議」の資料では、実際に採用されたものとして下記のアイディアが挙げられています。

・地域ボランティアについての情報管理プラットフォームの構築

・公共車両の調達向上、発注提案の電子化による効率化

・市民の娯楽施設の予約ソフトウェアの構築

・公共職員用の産業地域の地番のマッピングや変更追跡のためのソフトウェア構築

・フォスターペアレント用の携帯ウェブアプリ

・警察署の問い合わせやサービスの効率化分析ソリューション

・市の予算やパフォーマンスを分析するアプリケーションの構築

・地方の向上や物流チェーンに特化した調達プラットフォームの構築

・職員がホームレスの市民を見守り、社会サービス施設と連携するためのシステム

・消防署の緊急対応プラットフォームの構築

(総務省 ICT街づくり推進会議(第14回会合)【資料14-5】 日本版「STiR」のトライアルの実施概要www.soumu.go.jp/main_content/000491574.pdf より)

事例

上記の事例に「職員がホームレスの市民を見守り、社会サービス施設と連携するためのシステム」があります。これは、Appledoreというスタートアップが「Outreach Grid」というホームレスの情報を収集・管理するモバイルプラットフォームを開発し、これにより、警察がホームレスの情報収集に要する時間を削減し、さらにソーシャルワーカー・警察・公的支援機関・市役所などで情報を円滑に共有し、それぞれの連携の効率化が図られたというものです。

Appledoreというのは、フードデリバリサービス Instacart のソフトウェアエンジニアだった Tiffany Pang 氏と、P2P カーシェアリングサービスGetaround のソフトウェアエンジニアだった John Cadengo 氏が設立した企業です。

また、「フォスターペアレント用の携帯ウェブアプリ」という事例があります。フォスターペアレント(foster parent)は里親です。モバイル用の養子先探しアプリで、養子を迎える手続きを簡便に済ませることができるというアプリをBintiというスタートアップが開発したものです。このツールによって社会福祉従事者の書類の処理を減らし、手続き時間を50%も短縮されたそうです。さあに手続きの簡略化によって里親への応募数がそれまでの3倍となったということです。このシステムは他の自治体にも広がり、現在は40の自治体で導入されているとのことです。

日本版「STiR」

STiR(Startup in Residence)に似た取り組みとしては、ロンドンの「CognicityChallenge」があります。続可能な建物、建物の自動管理、コネクテッドホーム、交通統合、リソース統合管理、バーチャル設計および建設の6つのテーマで、スマートシティに関するアイデアを募集し、選定されたスタートアップ企業は実際に市のシステムとしての利用が検討されるというものです。

日本では「StartupXAct」(スタートアップエグザクト)という地方公共団体が抱える課題と課題解決のためのICTソリューション等を有するベンチャー企業とをマッチングプログラムがあります。総務省と総務省情報流通行政局より受託したNRIが共同で取り組むもので、2017年度(トライアル)から始まりました。ちなみに「Act」は、Applications for Cities and Townsの略です。

STiRと同じように、地方公共団体が抱える課題の解決のため、短期間で地方公共団体とベンチャー企業が協働し課題解決に取組むというものです。STEP1では課題を抱える地方公共団体を選定し、STEP2でベンチャー企業を公募、STEP3で地方公共団体とベンチャーとのマッチング、STEP4でプロトタイプ構築と進みます。プロトタイプ構築では、国からメンターを派遣しベンチャー企業へアドバイス等の支援を行います。

2017年度は2017年11月に企業の公募とマッチング、3月には成果の発表というスケージュールでした。北海道天塩町、京都府京丹後市、香川県高松市、熊本県熊本市の4つの地方公共団体がこのプログラムに参加しました。

 

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