OMO

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OMO

最近、OMO(Online Merges with Offline、Online Merge Offline)という言葉を聞くことが多くなってきました。Mergeは融合するとか一つに結合するといった意味で、オンラインとオフラインの融合といった言い方がなされます。オンラインとオフラインを分けるのではなく、一体として捉えるマーケティングの新たな概念です。

2017年頃から聞かれるようになった言葉で、中国のベンチャーキャピタル会社である創新工場 (Sinovation Ventures)を創業した李開復(Kai-Fu Lee)氏が提唱した言葉だそうです。李開復氏は、マイクロソフトアジア研究所を設立後、グーグル副社長、アジア地域社長などを努めてきた人物で、2009年に創新工場を創立しています。

日本では、ようやく耳にするようになってきた言葉ですが、中国では、OMOが当たり前のことになりつつあり、あえてOMOと言わなくなってきているということです。

ところで、オンラインとオフラインの利点を組み合わせ、両者の欠点を補うことで新たな価値を生み出す、もう少し簡単に言えば、オンラインでの顧客行動をリアル店舗でも活かし相乗効果を高めるO2Oというマーケティング施策があります。OMOはWebサイトから実店舗へ誘導し、商品の購買に結び付けるというものでも、オンラインとオフラインの利点を組み合わせるというものでもなく、オンライン・オフラインといったこだわり・境目がないという点でデジタルとリアルの境界線は非常に曖昧でO2Oの発展形とも言えそうです。

まだ、日本ではなじみのないOMOですが、これを可能にしているものは何なのでしょうか?OMOの提唱者である李開復氏は、「スマートフォンの普及」「モバイル決済の普及」「安価で優れたセンサー」「AIの進化」を挙げているようです。 Competition Policy International(CPI)のアジアコラム、「Understanding the Driving Forces Behind OMO and M&A Wave(OMOとM&Aの波の背後にある原動力を理解する)」というHongjun Zhong(上海財政経済大学グローバル経済グループ、LLC)氏の小論に次のように記されています。

2017年のもう1つのビジネストレンドは、Online Merger Offline(OMO)です。 Sinovation VenturesのCEOであるKai-Fu Lee博士は、・・・・。彼は、OMOの到来を可能にする4つの要因があると述べた:急速なスマートフォンの採用、モバイル決済システムの普及、より安価で優れたセンサー、そしてAIの進歩・・・。中国は非常に速く動いており、最初にOMOの未来を見る準備ができています。

(https://www.competitionpolicyinternational.com/understanding-the-driving-forces-behind-omo-and-ma-wave/ より)

OMOの事例

盒馬鲜生

アリババが2016年末から展開する「ニューリテール戦略」のOMO型スーパーです。2018年末現在で約100店舗が展開されているそうです。

支払いは「盒馬鮮生」のアプリからQRコードで行います。パネル式のセルフレジに商品のバーコードとアプリ内のQRコードをかざして支払う方法と、売り場の商品のバーコードを読み取ってその場で直接支払う方法があります。決済にはアリペイを用います。WeChatPayには対応していません。

自分で持ち帰らず自宅まで配達してもらうことも可能で、その場合、アプリでバーコードを読み取り、アプリのカゴに入れてオンライン決済すれば、最短30分以内に自宅に配達してくれるそうです。

お店に直接来なくてももちろん家からアプリで注文することもできます。アプリから注文すると、店のスタッフの端末に注文情報が入ります。スタッフは専用バックに商品をピッキングして、天井にあるベルトコンベアーに吊るすと自動で配送スタッフまで運ばれ、自宅へ配達するという仕組みです。

売り場で食材の調理の依頼ができます。そして、フードコートで食事することもできるそうです。さらに、その料理を自宅で作りたいというときには、スマホで調理の動画を見ることができ、料理に必要な食材や調味料まで一括して注文することもできるそうです。食材は産地から店舗に届くまでの全履歴が確認でき安全性にも配慮されています。

超級物種

スーパーマーケットチェーンの永輝超市が展開するOMO店舗で、テンセントが出資しています。アリババの盒馬鲜生とよく似た店舗です。

買った海鮮物を希望すればその場で調理してくれてその場で食べることができます。商品のラベルから産地などの情報を得ることができます。スマホのアプリまたはWeChatミニプログラム(※1)から商品を購入し、30分以内に自宅まで配達してくれるというのも盒馬鲜生と同じサービスです。

QRコードをスキャンして自動決済されますが、WeChat payだけでなくアリペイにも対応しているようです。店舗によっては、顔認証での会計も行えるところがあるそうです。

超級物種の44店目となる広州店では、ドローンの億航(EHANG)と協同で、ドローンによる配送を開始したそうです。スマホアプリもしくはWeChatミニプログラムから注文をすると、店舗から配送ハブまで商品をドローンで配送し、そのあとは配達員によってバイクで届け先までは配送する仕組みです。

(※1)ミニプログラム(小程序)は、2017年1月にリリースされたWeChat の新しい機能で、WeChat 内のアプリをインストールせずに、アプリを利用できるアプリ内アプリです。

その他OMO型生鮮スーパー

盒馬鲜生や超級物種の他にも、OMO型スーパーとしては京東の「7フレッシュ」、美団の「小象生鮮」、歩歩高の「好爸爸」などがあります。いずれも、3km以内30分配送、商品ラベルのQRコードから産地などの情報表示など、盒馬鲜生や超級物種とよく似たコンセプトです。

7フレッシュの場合、特長的なのはスマートカートです、専用アプリで、自走式のカートが買い物客の跡をついてきて、さらに、買い物客の代わりにレジに並んで自動決済してくれるというものです。情報では、機械の不調のためか現在は使われていないようですが、次世代のカートを開発中とのことです。支払い方式はWechat pay と京东支付で、Alipayはできません。

小象生鮮は、世界中の店舗情報と消費者によるレビューを掲載する中国最大の生活情報アプリ「大衆点評」やデリバリサービス「美団外売」などを展開する美団が始めたOMO型スーパーです。サービスの内容は前述のスーパーとほとんど同じです。

歩歩高(BUBUGAO)は、同名の中国の大手電子機器メーカーがありますが、こちらは中国の西南地区を主に約600店舗の商業施設を運営しています。

ラッキンコーヒー(Luckin Coffee)

正式オープンは2018年5月だそうですが、2018年10月の時点で全国21都市で約1400店舗展開しているというのですから、大変な急成長を遂げています。

注文はスマホからのみで、支払いはモバイル決済だけとなっており、ピックアップとデリバリーに特化しています。スマホのアプリから注文すると出来上がりの予想時間が提示され、その時間に合わせて店へ取りに行き、購入時に発行されるQRコードを見せることで受け取ることができます。このQRコードは友人などとシェアすることができ、友人が代わりに取り入ったり、友人へのプレゼントとして使うこともできるそうです。配達サービスも行っています。配達料金は日本円で約100円、約560円以上の注文だと無料になるそうです。

また、いろいろな割引サービスがあるそうです。アプリをインストールすると1杯無料、友人紹介で1杯無料、2杯注文するとさらに1杯無料、5杯注文するとさらに5杯無料などです。その他に、コーヒーを入れる様子のライブ配信もあるそうです。

 

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