IVI(Industrial Value Chain Initiative)

ivi_003_R

IVI(Industrial Value Chain Initiative)

IVIは「Industrial Value Chain Initiative」の頭文字をとったもので、2015年6月18日に、 IoTを活用し、企業の壁を越えたゆるやかな標準による新たな連携を実現することを目的に設立されたコンソーシアムです。日本機械学会生産システム部門の「つながる工場」分科会が母体となっています。同団体には、IHI、NEC、オムロン、川崎重工業、神戸製作所、小島プレス工業、今野製作所、東芝、ニコン、パナソニック、日立製作所、富士通、マツダ、三菱電機、安川電機など30社以上が参加しています。

IVI設立の背景

あらゆるモノをインターネットでつなぐ「IoT」を製造業に活用し、大幅に生産効率を上げようとする試みが各国で活発になってきています。ドイツが第4次産業革命を意味する「インダストリー4.0」を掲げ、米国は「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)」、中国は「中国製造(メード・イン・チャイナ)2025」などの構想を掲げてモノづくりの革新、つまり、IoTによる「つながる工場(スマートファクトリー)」の実現を目指しています。そして、この「つながる」を実現するための「標準化」活動にしのぎを削っています。

日本では、各社が相互に競い合い、技術やシステムを磨く中で競争力を身に付け、ロボットの積極的な導入などによって工場の自動化も進めてきました。しかし、効率化の動きは工場内に留まらず、部品の共通化や汎用化、規格の国際標準化など、「つながる」をキーワードにクローズからオープンへと加速しています。

しかし、日本はそうした各国の活発な動きに比べると鈍く、出遅れてしまっているのが現状です。ドイツではすでに自国製の通信機器やセンサー、制御機器を発表しています。規格を制すれば大きくビジネス環境が動きます。規格に対応するためのコストが企業の競争力に影響し、業界秩序が変化する可能性もあります。このままでは日本企業のモノづくりの優位性が失われる危険があります。さらには、少子高齢化や産業の空洞化、モノづくりの価値がハードからソフトへ変化していることに対応しきれない日本企業の状況など、今手を打たなければ、日本の製造業がガラパゴス化し、「つくるだけ」の存在になるという危機感がIVI設立の背景にあるのではないかと捉えています。

IVIが目指すもの

IVIの「提言1」において、「・・我が国は、我が国がもつ技術力、開発力、現場力、そして過去から培ってきた日本的なモノづくり文化を踏まえ、我が国なりのやり方で「つながる工場」を定義し、それを実現すべきである。」としています。

国や地域を越えて企業間をモノや情報が頻繁に行き交う「つながる工場」「つながるものづくり」を支えるためには、企業の業種を超えて、さまざまなアクティビティが、データを介して情報システム上で連携しなければなりません。その際、同じ形式のデータであることが求められ、標準化技術が欠かせません。IVIが目指すものは、型にはまった形式を強要する厳密な標準ではなく、ゆるやかな標準、つまりリファレンスモデルです。中心メンバーの法政大学の西岡氏は、ドイツや米国の「スマートファクトリー」の動きはFA(ファクトリーオートメーション)領域やIT領域などに偏ったものが多く、必ずしも日本の製造業にとってはメリットにならない場合があるとして、日本には、日本の強みを生かせる日本独自のリファレンスモデル(参考となるモデル)が必要になると述べています。

また、2014年6月の日本機械学会生産システム部門「日本的な「つながる工場」実現へ向けて製造プロセスイノベーションの提言」の冒頭で次のようにも述べられています。

・・・・次世代工場のためのキーコンセプトを明らかにし、我が国のモノづくりの基本政策として取り組むべき課題と、その解決へむけた方策について提言する。ドイツの例を見るまでもなく、もはや製造業の世界においてもICT化、オープン化、ネットワーク化は避けてとおることができない。ただし、我が国は、我が国がもつ技術力、開発力、現場力、そして過去から培ってきた日本的なモノづくり文化を踏まえ、我が国なりのやり方で「つながる工場」を定義し、それを実現すべきである。

また、IVI設立の報道発表では次のように述べています。

IVI では、ゆるやかな標準というコンセプトによって、・・・相互につながるための共通のルールやデータ項目などを、ワーキング・グループの活動の中で決めていきます。こうして得られた情報は、IVI リファレンス(参照)モデルとして蓄積し、・・・異なる企業間のデータ連携が可能となる環境を提供します。・・・また、・・・現在の常識にとらわれない新たな業務シナリオ、わくわくする業務シナリオを定義し、新しいビジネスモデルの構築や、一企業ではなし得ない新たなイノベーションを側面から支援します。

ここでいう「つながる」は、工場の内部での工程間や担当業務間のつながりや外部の工場の工程や担当業務とのつながりまでも含まれています。

IVIの活動

IoTによって、工場内部の機器やシステムが外部へとつながるようになることへのためらいは、グローバルなモノづくりの中では孤立を招く恐れがあります。確かに他社には見せられない部分があります。そこで、緩やかな連携を模索し、競争と協調を両立した「つながる工場」が日本の製造業に適しているととらえているようです。そして、西岡氏は、「日本の製造業が実際に困っている点を競争領域と協調領域に分け、協調領域の話し合いの場を作っていくということが重要」、IVIの活動としては、「企業が抱える問題に対し、活動ベースに落としたリファレンスモデル「活動モデル」をより多く作り、共有できるようにしていくということが活動の中心となる。」と述べています。

具体的にIVIでは、「つながる工場」で実現するポイントを「データ形式」に絞り込み、次の4つの場面で「データ形式をそろえることによるメリット」を追求していくといいます。

「設備間のデータ連携」

「工程間のデータ連携」

「工場間のデータ連携」

「利用者間のデータ連携」

そしてこの4つの連携に取り組み「メリットの生まれる形」を「リファレンスモデル」として公開していくそうです。

IVIの提言

IVIの設立に当たって、IVIのホームページにはIVIの母体となった日本機械学会生産システム部門の提言及び活動の中間のとりまとめが、「提言1」「提言2」として掲載されています。

「提言1」では、我が国の製造業がグローバル化の進展によってその基盤が大きく揺らいでいるとらえ、オープン&クローズ化、製造のサービス化、そしてICTによる“日本的な”「つながる工場」をキーワードに10年後、20年後を見据えた変革が必要だとしています。そして、中堅、中小製造業も含めた次世代工場のためのキーコンセプトを明らかにし、我が国のモノづくりの基本政策として取り組むべき課題と、その解決へむけた方策について提言しています。

〇提言1「つながる工場」の内容

1 はじめに

2 つながる工場とは

3 製造業の連携モデルと標準化の課題

4 連携プラットフォームとICT利活用

5 技術イネ―ブラ―と学会の役割

6 ゲームのルールを変える

 ivi_001

企業内、企業間の連携モデル(http://www.iv-i.org/ より)

「提言2」では、日本の製造業が、他にさきがけてリーダーシップを発揮し、あたらしいものづくりの世界でイニシアチブをとっていくべきではないかと投げかけ、その際、何をどうすればよいのか? 日本の製造業はどう変わればよいのか?ということに対して、「つながる工場」というキーワードを手掛かりに議論してきた「つながる工場」研究分科会(略称)成果から具体的なアクッションを提案しています。

〇 提言2「『イニシアチブ』の勧め」の内容

1 はじめに

2 現状認識とものづくりの課題

3 人、道具、機械、ロボット、そしてシステム

4 日本的な工場のパラダイムシフト

5 ゆるやかな標準としてのリファレンスモデル

6 リファレンスモデルの国際標準

7 工場のモデルをめぐる最新の動向

8 連携がもたらすメリットとは

9 サプライチェーンからエンジニアリングチェーンへ

10生産技術と生産管理の統合モデル

11サプライチェーンからエンジニアリングチェーンへ

ivi_002

情報連携のレベルの違い(http://www.iv-i.org/ より)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です