IT企業とエシカル

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エシカル

最近、「エシカル消費」「エシカルファッション」といった「エシカル○○〇」という表現を見かけるようになりました。エシカル(ethical)とは、「倫理的な」「道徳上の」という意味ですが、例えば「エシカル消費」という言葉は、消費者基本計画(平成27年3月24日閣議決定)の中にも「倫理的消費(エシカル消費)」としてつかわれており、そこでは、環境、開発途上国の労働者の生活改善等の社会的課題に配慮した商品・サービスを選択して消費することとしています。また、「持続可能な消費」とも表現しています。

また、児童労働の撤廃運動でノーベル平和賞を受賞したインドのサティヤルティ氏が日本で講演された際に「・・・エシカル消費、倫理的消費と呼ばれる活動は、商品が児童労働によって作られていないかを問うことから始まります。」(NHK解説委員室 解説アーカイブス2016年5月16日より)とエシカル消費に言及しておられます。

エシカルという言葉は消費者の立場で使われるばかりではありません。「エシカル企業」「エシカルビジネス」「エシカルな事業」「エシカル商品」といった言葉もあります。企業もエシカルということを考えた企業活動が求められてきているということだろうと思います。

生産コストを下げて、安い商品を大量に売るビジネスモデルではなく、原料となる川上から消費者の川下まで、人・社会・地球環境を考えた「倫理的」な商品・サービスをしていく企業ということです。

世界で最も倫理的な企業2016

アメリカのシンクタンク「Ethisphere Institute(エシスフィア・インスティチュート)」は、2007年から「World’s Most Ethical Companies(世界で最も倫理的な企業)」を毎年3月に発表しています。企業倫理および法令順守の取り組み、企業市民としての責任ある行動など5つのカテゴリーで調査が行われます。2016年には日本から花王、リコー、資生堂などが選ばれています。特に花王はこの憧が創設されて以来10年連続で選ばれています。

ethical_002_R(Ethisphere Institute http://worldsmostethicalcompanies.ethisphere.com/ より)

IT関連企業では、Intel Corporation 、CA Technologies、Cisco、Dell、Teradata Corporation、Microsoft Texas Instruments、Symantec Corporation、ON Semiconductorといった企業が入っています。

しかし、この中にはApple、Facebook、Amazon、Uber、Airbnbといった名だたるIT企業の名前は見当たりませんでした。Googleも2014年、2015年と選ばれていたのですが、今回は見当たりませんでした。しかし、こうした企業がエシカル経営に取り組んでいなというわけではありません。

例えばAppleの場合、商品を買うと梱包がとてもシンプルであることに気づきますが、Appleでは商品を梱包するための森林の購入だけでなく、森林の保護・造成に取り組んでいます。また、データセンターの電力のための水力発電プロジェクトやオフィスの電源を賄うためのソーラーパネルの建設、部品製造工場の廃水をリサイクルための取り組みなどを行っています。

Amazonは赤十字社と共同で自社の決済技術を活用した寄付や被災地へ迅速に物資を届けるプログラム、エコな商品を集めた「Amazon-Green」や寄付商品販売の「Smile Amazon」というコンテンツなどによって、消費者のエシカルなライフスタイルへの貢献を行っています。

最近Googleが日本語検索のアルゴリズムを変更し、キュレーションメディアが検索にヒットしにくくしたという報道がありましたが、これも企業としての倫理観の基づくものでエシカルな取り組みの一つかもしれません。

シチズンは「エシカルなモノづくりへの挑戦」という取り組みを行っています。具体的には、「時計を作る材料を化学物質まで明らかにすることで、透明性を確保する」「材料調達から生産、廃棄、リサイクルに至る時計1個におけるCO2排出量の表示」「DRCコンフリクトフリーを宣言(紛争地域や紛争とかかわりのない施設から供給された原料であること)」「取扱説明書のスリム化」「再利用可能なサスティナブルなパッケージ」「クラフトマンシップ」などです。

アムステルダムのベンチャー企業Fairphone社は、部品の材料となる鉱物調達から設計、組み立て、ライフスタイルまでエシカル(倫理的)であることを基準に「Fairphone」というスマートフォンを製造しています。

スマホに使われるタンタルという鉱物は、アフリカの紛争地域であるコンゴ民主共和国に大量にあり、武装勢力の資金源になっています。同社は、そうした地域に住む人びとへの人権侵害、環境破壊に加担せず、人々の生活をビジネスを通して支援していくことを理念としています。

現在のモデルは「Fairphone 2」で販売価格が 525 ユーロですが、製造コストはそのうち 340 ユーロで、Webサイトには製造コストの内訳や部品サプライヤ、組立工場の地図までも示してあります。なお、Fairphone社は2016年の「ヨーロッパ企業環境省」欧州委員会から受賞しています。

ethical_003_R(Fairphone https://www.fairphone.com/wp-content/uploads/2015/09/Fairphone2-Cost-Breakdown.pdf より)

エシカルとフェアトレード、CRS

エシカルとよく似た言葉に「フェアトレード」や「CSR」があります。
フェアトレード(Fair Trade)は、日本語では「公平貿易」で発展途上国の作物や製品を適正な価格で継続的に取引することで、生産者の生活向上をサポートしようという仕組みで、生産者と買い手は平等なビジネスパートナーです。
CSRはcorporate social responsibilityの頭文字をとったもので、経済産業省の説明では、次のように定義しています。

企業が社会や環境と共存し、持続可能な成長を図るため、その活動の影響について責任をとる企業行動であり、企業を取り巻く様々なステークホルダーからの信頼を得るための企業のあり方を指します。
(経済産業省 http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/ より)

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