IRENA報告書から

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国際再生可能エネルギー機関(IRENA)

再生可能エネルギー(太陽,風力,バイオマス,地熱,水力,海洋利用等)の普及及び持続可能な利用の促進を目的として2011年4月に発足した国際機関に「国際再生可能エネルギー機関(IRENA)」があります。現在、本部はアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビにあり、ドイツのボンにイノベーション・テクノロジー・センター(IITC)が開設されています。再生可能エネルギー利用の分析・検証・体系化、政策上の助言の提供、加盟国の能力開発支援等を主な活動としています。現在175カ国が加盟しています

2015年1月16~17日、エジプトが議長国となって第6回の総会が行われました。ちなみに前回(第5回)の総会の議長国は日本でした。

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、この総会に合わせて再生可能エネルギーの普及がマクロ経済に及ぼす影響をGDP、Welfare、Employment 、Tradeの観点から世界規模で分析した約90ページからなる「報告書(RENEWABLE ENERGY BENEFITS: MEASURING THE ECONOMICS)」を発表しました。

IRENAのアミン事務局長は、報告書の初めにおいて「This report provides the latest evidence that mitigating climate change through the deployment of renewable energy and achieving other socio-economic objectives are mutually beneficial.」と記し、再生可能エネルギーの導入が気候変動を緩和するだけでなく、経済効果にも寄与するのだということを強調しています。

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(出典:IRENA 2016「RENEWABLE ENERGY BENEFITS:MEASURING THE ECONOMICS」より)

再生可能エネルギーの導入量とGDP

報告書は、Reference case、REmap case、REmap Electrification case(REmapE)の3通りで予測しています。Reference caseとは、2010年から2030年までの再生可能エネルギーの導入量の増加を従来の見通しに基づいたものです。REmap caseは全世界のエネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの比率を2倍に増やした場合です。REmap Electrification case は、electrification of heating and transportとあるように空調機器や輸送機器の電化を促進したうえで再生可能エネルギーの比率を2倍に増やした場合です。

予測では、REmap caseでGDPが0.6%上昇し、REmap Electrification caseでは1.1%の上昇と予測しています。金額ではそれぞれ7060億米ドル、1兆3000億米ドルとなっています。1ドル120円とすれば、日本円でそれぞれ約85億円と156兆円というところでしょうか。2015年の一般会計予算が約90兆円ですからREmap caseでも日本の国家予算規模に匹敵することなります。

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(出典:IRENA 2016「RENEWABLE ENERGY BENEFITS:MEASURING THE ECONOMICS」より)

報告書で国別の経済効果も公表しています。下図を見ると分かるように、REmap caseでは、何と日本が最もGDPの伸びが高いのです。2.3%の伸びが期待できるとしています。REmap Electrification caseだと3.6%の伸びで、ウクライナに次いで2番目となっています。

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(出典:IRENA 2016「RENEWABLE ENERGY BENEFITS:MEASURING THE ECONOMICS」より)

再生可能エネルギーの導入量とEmployment (雇用)

2014年での再生可能エネルギー分野の雇用者数は全世界で770万人、日本は21万8000人となっています。

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(出典:IRENA 2016「RENEWABLE ENERGY BENEFITS:MEASURING THE ECONOMICS」より)

従来の見通しで行けば、2030年に全世界の雇用者数は1350万人、REmap case(再生可能エネルギーの比率を倍増)なら2440万人、REmap Electrification case なら2290万人と予想しています。日本の場合はReference caseが50万人、REmap caseが110万人、REmap Electrification caseが130万人と予想し、再生可能エネルギーの積極的な活用促進が、GDPはもとより雇用面でも大きな効果のあることが示されています。

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(出典:IRENA 2016「RENEWABLE ENERGY BENEFITS:MEASURING THE ECONOMICS」より)

再生可能エネルギーの普及

日本では、再生可能エネルギーはコストが高く、これを普及させることは産業の競争力を損なわせ経済的損失につながるという見方をする向きがあります。

一方ドイツでは再生可能エネルギーを推進しています。ドイツでは2030年までの期間、再生可能エネルギーを拡大していった場合と再生可能エネルギーの促進を行わなかった場合の経済成長や雇用に関する調査を行い報告書にまとめています。それによれば、今回の国際再生可能エネルギー機関(IRENA)のレポートと同じように、再生可能エネルギーの促進した場合のドイツの実質GDPは、何もしなかった場合と比較して2.9%高くなると予測しています。こうした研究結果をもとに、ドイツでは長期的戦略を定めて再生可能エネルギーを促進しているようです。

日本でも徐々に再生可能エネルギーの普及が進んでいますが、電力自由化になれば、環境負荷の少ない電力への需要も起きてくると予想されます。しかしながら再生可能エネルギーは気象条件などによって影響を受けやすいという難点があります。電力の需要と供給を安定させて発電を行うために、これまで以上にIoT(Internet of Things)の技術が注目されてくるように思われます。

 

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