iotと今後のビジネス市場(アクセンチュアの報告書から)

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「IIoTによる成功(Winning with the Industrial Internet of Things)」)より

〇 アクセンチュア

この報告書は、アクセンチュアという世界120か国以上で経営コンサルティング、テクノロジー・サービス、アウトソーシング・サービスを提供する従業員約31万人の巨大なグローバル企業が作成したものです。

アクセンチュアは、2015年1月の末に「IIoTによる成功(Winning with the Industrial Internet of Things)」という調査報告を出しました。わずか12ページのものですが、今後のIoT市場の可能性と課題について、示唆に富んだ指摘をしています。

〇 2030年のGDP予測

同調査では、2030年までにIIoT(Industrial Internet of Things/産業向けのモノのインターネット)は世界で14兆2000億USドルもの巨大市場になりうることを指摘しています。米国の場合は、2030年までのGDP累積値は6兆1000億USドルに達し、IIoT関連の技術投資を50%上乗せするなら、さらに1兆USドル増えて7兆1000億USドルに達するとしています。また日本においては、2030年までのGDP累積値で9600億USドル。50%の追加投資で1兆1000億USドルに達すると予想しています。技術投資を50%追加した時の市場規模は、2030年のGDP予測を米国で2.3%、日本で1.8%押し上げることになります。

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同様に、中国では追加施策を行うと、2030年までのGDPの累積値は1兆8千億USドル増加し、ドイツの場合は7千億USドル、イギリスの場合は5千310億ドル増加します。しかし、調査したうちの73%の企業ではIIoTを活用する具体的な計画を作成しておらず、7%の企業しか投資戦略を持っていなかったという結果から、企業や政府の対策が十分とは言えずIIoTの持つ潜在的な利益を喪失する恐れがあるとしています。

〇 取り組みが進まない理由

IIoTへの取り組みが進まない理由は、57%の経営幹部が、IIoTが新たな収益機会を生み出す可能性を認めつつも、実際に収益を上げる見込みがあると回答した経営幹部がわずか13%しかいないというところにあるのかもしれません。

さらに、利益を上げる見込みがあるという13%の経営者にいても、IIoTの活用は、従業員の生産性向上や運営コストの削減といったことに留まっており、IIoTによって新たな市場や収益源を創造するといったところに着目していないということも課題のように思います。

〇 不十分な環境によって、整備の遅れている国

報告書では、多くの国でIIoTの活用を迅速に進めるための環境整備が不十分であると指摘しています。グラフから分かるように、米国やスイス、北欧諸国、オランダは環境整備が進んでいる国です。日本はドイツ、オーストラリアなどと並んで中位に位置しています。ヨーロッパでもスペインやイタリアは、は環境整備が不十分とされ、ロシアは調査した国で最下位に位置づいています。そして、報告書では、政府がIIoTへの投資を促進し、IIoTの活用を拡大できる環境づくりに向けて改善点を明確にできるように、企業は支援する必要があると提言しています。

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〇 将来の労働者には好影響(Good news for the workforce of the future)

調査によれば、ビジネスリーダーの87%が「IIoTにより雇用が創造される」と考えています。インテリジェントマシンは、人と機械の広いネットワークで新たな価値が創造され、労働者の業務内容を高度化し、既存のスキルを向上させていくとして、いくつかの例を紹介しています。

例えば、アクセンチュアとロイヤルフィリップスが、Googleグラス™ヘッドマウントディスプレイを使用した外科手術の有効性と効率性を改善するための概念実証デモやリアルタイムのデータ解析を迅速に3Dプリンタを使って製品の性能の改善に生かす試みなどが紹介されています。

〇 生産性と成長するために3つのアクセラレータ

IIoTの経済全体を加速させるために企業が対処すべき3つの分野を提言しています。

業界モデルの再考:Reimagine industry models

accenture_004組織や提携の関係、業務の内容などについて再設計する必要を指摘しています。例として、農薬ならば、ソフトウェアベンダー、気象データ企業などとの連携によって、地域と条件に応じた作物の収量を増加させたり、製造業ならば、3Dプリントの技術を使って、顧客に近いところで製造する必要が生じてくるとしています。

データ価値の活用:Capitalize on the value of data

accenture_005企業間でデータの共有を進めていくには、セキュリティ標準の確立が必要になり、さらに、そうしたサービスを提供するためには課金制度の創設などのこれまでにない財務モデルが必要になってきます。

 

新しい働き方への対応:Prepare for the future of work

accenture_006現場労働者の意思決定を支援するための分散型の作業環境が必要となり、新たな組織構造が求められてきます。

 

 

 

(http://www.accenture.com/SiteCollectionDocuments/PDF/Accenture-Industrial-Internet-of-Things-Positioning-Paper-Report-2015.PDF より)

 

アクセンチュアは、このように、IOTの市場規模が確実に拡大することを示し、それが労働の質や企業のモデルの変化をももたらすことを予想しています。一方で、IOTの可能性への展望に対して投資が追いついていない状況から、ビジネスリーダーや政府の意識が、こうした変化に対応していないことも指摘しています。

特に日本の動きは遅く、経営者や国のリーダーシップが発揮しきれていないとの指摘があります。それは一つに、時代の変化に対応しきれない法規制や公的機関による支援体制の不十分さがあると考えられますが、それ以上に、企業自身が新しいことへの挑戦意欲に欠けている(失敗への恐怖)という厳しい見方をする人もいます。持続的イノベーションだけでなく、潜在需要を掘り起こして新たな市場・産業を生み出す破壊的イノベーションへの挑戦が、日本がまた世界に躍り出るチャンスを生み出すのではないでしょうか。

 

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