iotと今後のビジネス市場(ベライゾン、HBR報告書から)

hbr_005_R

「モノのインターネット:科学フィクションか、それともビジネスで起こりうる事実か」

ベライゾン(Verizon:米国の電気通信事業者)がスポンサーとなって実施した経営学誌ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)アナリティックサービスによる調査報告書「モノのインターネット:科学フィクションか、それともビジネスで起こりうる事実か」の日本語版(12ページ)が公開されています。

調査は、2014年9月に実施されたもので、およそ270名の回答をまとめたものです。回答者の役職は、経営管理30%、上級管理者/上級ディレクターが32%、マネジャー/スーパーバイザーが18%、その他が20%で、地域は、北米、アジア太平洋、欧州、中東、アフリカ、中南米と世界中にまたがっています。

〇 IOTのメリット

IoTのメリットとして、下図のように回答の割合の多い順にカスタマーサービスの強化、サービスおよび/または製品の収益増大、現場での資産の有効活用、ビッグデータ/アナリティクスの取り組みを支える情報の獲得などとなっています。さらに、IoTによって「顧客の反応性が多少、あるいは大幅に向上した」と答えた回答者が62%、「社員の生産性が高まった」と答えた回答者が54%と報告されています。IOTが企業の収益増加や組織の合理化、社員の管理のみならず、新しいビジネスモデルの創出にいたるまで、様々な面で変革を実現させる可能性があることが予見できます。

hbr_001_R

(http://www.verizonenterprise.com/resources/reports/rp_hbr-internet-of-things-science-fiction-or-business-fact_ja_xg.pdfより)

新しいビジネスモデルとして報告書では、フォレスターリサーチ主席アナリストMichele Pelinoの「企業の今後の大きな変化の1つとして、製品中心だった組織がサービス中心の組織に転換する」という言葉とともに下記のような可能性を紹介しています。

1)顧客やビジネスパートナーとのコラボレーションを今までにないレベルにまで発展させることができる。

2)収集した大量の情報から価値を見いだすことができるようになり、例えば、社員の安全性向上などにも活用できるようになる。

3)今まで企業が知り得なかったプロセスに関する情報が驚異的なほどに明らかになり、効率性向上の大きなチャンスとなる。

〇 IOTの懸念

IoTの懸念材料としては下記の図のように、プライバシーの確保と規制の順守、生み出される大量のデータを行動につながる情報に変換するスキルの獲得、増加するデータの管理が挙げられています。この結果は、他の調査とも同様のものであり、改めてプライバシーやセキュリティへの経営者の懸念の大きいことが確認されたといえるでしょう。

hbr_002_R

(http://www.verizonenterprise.com/resources/reports/rp_hbr-internet-of-things-science-fiction-or-business-fact_ja_xg.pdfより)

この報告書の調査された同時期(2014年9月)に、TechTargetジャパンとMONOistも同様の調査を行っています。そこにおいてもIOTの懸念として、「個人情報の取り扱いや情報漏えいなどのリスクに対する不安が大きい」という回答が一番多く、「IoTの活用目的が明確ではない」「IoTのためのシステム構築、データ整備に必要な予算がない」と続いています。HBRの報告書とよく似た回答となっているのです。

hbr_004_R

(TechTarget ジャパンhttp://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1411/17/news03.html より)

ところで、報告書ではこの章を「克服すべきチャレンジ」しており、そのタイトルが示すようにこうした懸念を踏まえつつ、組織がIoTのメリットをフル活用するためには、製品開発の手法や顧客とのインタラクションのあり方を変える必要があるとしています。そして、克服すべき様々な課題が生じるが、そのような課題の一部は、製品警告システムを通して自動的に解決することができるという前述のMichele Pelinoの言葉を紹介しています。

〇 活用されているIOT

IoTの先駆者の例も紹介されています。以下は報告書からの引用です。

  • 医療分野では、医療機器メーカーのバリアン・メディカル・システムズが、コネクテッドデバイスの平均修理時間を50%短縮することに成功しています。バリアンはIoTを活用し、問題を遠隔地で解決することにより、派遣する技術者数を世界で20%減らし、カスタマーサービス費用を2,000ドル削減しました。

  • タイヤメーカーのピレリは、IoTを活用して、自社製品の性能に関する有益な知見をほぼリアルタイムで獲得しています。同社は「サイバータイヤ」シリーズの製品に搭載したセンサーから直接もたらされる膨大なデータを管理するために、アナリティクスプラットフォームを使用しています。このシステムではタイヤ1本1本の空気圧、温度、走行距離を遠隔地で監視することができます。フリート運行管理者はこれらの要素を正常範囲に保つことで、燃料の経済性や安全性の面で大きな成果を挙げられます。1,000万マイル近くの走行試験の結果、サイバータイヤによってトラック1台当たり年間1,500ドル相当のコストが削減されました。

  • フォード・モーター・カンパニーのコネクテッドカー・ダッシュボード・プログラムは、運転パターンや車両性能に関する知見を得るために、車両のデータを収集・分析します。分析したデータはビッグデータプラットフォームを用いてグラフで可視化されます。この取り組みでは、より良い車両設計や乗員の安全性の向上などを目標にしています。

  • 公共サービス分野では、ボストン警察署が、街頭のカメラをはじめ市内全域にあるセンサーから情報を受け取る「リアルタイム犯罪センター」を運用しています。研究者はこうして取得したデータを用い、事件映像の分析・照合による容疑者の特定、人員の動員、さらには緊急時の避難ルートの計画ができるようになります。(http://www.verizonenterprise.com/resources/reports/rp_hbr-internet-of-things-science-fiction-or-business-fact_ja_xg.pdfより)

〇 今後の変化

報告書の最後には、Turnerの「IoTのメリットを受けない業界は1つもないと確信しています」と言う言葉を引用して、IoTは様々な分野で変革を起こすことは間違いないと言い切っています。

一方で、適切なスキルや専門知識の獲得と、情報のセキュリティやプライバシーの確保といった課題を企業にもたらすが、困難は変革を伴なうプロジェクトにはつきものであり、困難があるからといって、テクノロジーの探究や導入をやめるべきではないと述べています。

 

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です