EdTech

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X-Tech

最近、〇〇テック(X-Tech)という言葉をよく耳にするようになりました。様々な産業分野においてテクノロジーとの融合によって新たなイノベーションを創出しようという試みを指す造語です。代表的なのは金融とIT(情報技術)を融合したフィンテック(FinTech)です。他にも、農業分野のアグリテック(AgriTech)や公的分野のガブテック(GovTech)、医療分野のメドテック(MedTech)など、その対象は様々な分野に広がっています。

エドテック(EdTech)もそうしたX-Techの一つで、欧米や中国ではFinTechと並んでEdTechの起業が増えていると言います。

EdTech(エドテック)

EdTechは、Education×Technology(教育×テクノロジー)の造語ですが、教育とテクノロジーを融合させ、学びの仕組みに新しいイノベーションを起こそうというビジネス領域です。アメリカでは2008年ぐらいから活発になってきた動きです。

きっかけは「カーンアカデミー」と言われています。2006年にサルマン・カーン氏が立ち上げた教育ウェブサイトです。サイマル・カーン氏は、遠くにいる小学生の従兄妹に算数を教えるためにウェブソフトやYouTubeによる映像を作り始めたらしいのですが、いつの間にか利用者が増え、本人の想像以上にコンテンツが拡散していったようです。そして2010年にゲイツ財団(150万ドル)やグーグル(200万ドル)などから巨額の寄付や出資があり、俄然注目されるようになりました。そして、サイマル・カーン氏の取組に刺激を受け、2011年~2012年にかけて、「Coursera」、「edX」、「UDACITY」などが立ち上げられ、MOOC(※1)ムーブメントともいうべき現象が起きてきました。

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(https://www.cbinsights.com/blog/ed-tech-funding-record-2014/ より)

(※1)MOOC(ムーク)は、Massive Open Online Courseの略です。Massive(たくさんの)、Open(開かれた)、Online(インターネット上の)、Course(講座)という意味になります。

EdTechの背景

なぜ、アメリカでEdTechが注目されるようになったのでしょうか?様々な要因があると思いますが、キーワードとして「格差」を挙げる人が多いようです。一つは貧困による教育格差です。日本でもそうですが、貧困によって十分な教育環境が提供されないという問題です。国際的な学力調査では、アメリカはいつも下位にあります。それは貧困層によるもので、貧困層を除くと世界のトップレベルと言われています。そうしたことから貧困層への教育の機会均等・教育の平等を提供するものとしてEdTech が有効な手段になりうるということがあるようです。2つ目は若者の就職難・失業率の高さからくる格差です。アメリカでは、大学を出ても半数は大学卒業を必要としない仕事についていると言われています。大学を出たのちもスキルアップできる生涯教育・職業教育の提供が求められており、そう意味からもEdTechが注目されているようです。3つ目は格差と言えるか分かりませんが、教師の不足と教師の力量の問題です。スウェーデンのような学力の高い国では、教師は修士以上の学歴をもち優秀なものでなければなることはできません。それ故、社会的にも尊敬されています。アメリカは教師の地位が相対的に低く優秀な人材が集まらないとも言われています。教師・教育の質の格差ともいえるかもしれません。そうした教師への支援としてのEdTech です。

EdTechのサービス

EdTechのサービスはとしては、「MOOCs」「学習管理システム(Learning ManagementSystem:LMS)」「教育マーケットプレイス」など様々なものがあります。MOOCsは有名ですので改めて説明の必要もないかもしれません。

学習管理システム(LMS)は、教育機関や各種組織を対象にしたオンライン授業を管理するためのプラットフォームです。テストの採点、生徒とのコミュニケーション、学力分析など機能があります。

教育マーケットプレイスは、専門技術や知識を持つ個人がオンライン授業を提供できるプラットフォームで、個人間で教育サービスのやり取りができる機会を提供しています。

(ニューヨークだより2015 年12 月米国における教育とIT に関する取り組みの現状:八山 幸司より)

EdTechの市場

米調査会社Markets and Markets 社は、同社のWebで下記のように記しています。

MarketsandMarkets forecasts the global smart education & learning market to grow from $105.23 Billion in 2015 to $446.85 Billion in 2020, at a Compound Annual Growth Rate (CAGR) of 24.4%.

(http://www.marketsandmarkets.com/PressReleases/smart-digital-education.asp より)

年24.4%の成長で、教育IT 市場の世界全体の規模は2020 年には2015 年の1,052.3 億ドルから4,468.5 億ドルに拡大すると見ています。

日本では、2015年4月に矢野経済研究所が「e ラーニング市場に関する調査結果 2015」で下図のような結果を発表しています。

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(https://www.yano.co.jp/press/press.php/001374 より)

EdTechと人工知能

人工知能を用いて、生徒の解答から個々の理解度を判断し、一人一人の習熟に合わせて理解を高めるという仕組みが活用されるようになってきています。単に問題を出すだけではなく、問題を解くまでにかかった時間や解答の内容などを人工知能が分析し、学習の進行を管理するというわけです。IBMの世界ベスト7スタートアップ、Wired誌のグローバルイノベーターなどを受賞したブラジルのGeekie社は、そうした企業として注目されているようです。ちなみに最高経営責任者(CEO)は日系ブラジル人のクラウディオ・ササキ氏です。

日本ではCOMPASS社のタブレット向け人工知能型教材Qubena(キュビナ)(旧名:TreasureBox(トレジャーボックス))があります。同社の発表では、各生徒の解答、解答プロセス、スピード、集中度、理解度などを収集、蓄積、解析して個人に適応させる教材とのことです。 使えば使うほどQubenaは適応を続けていきます。COMPASS直営の学習塾での導入実験で、通常、14週間かけて行う1学期の授業が2週間で終わり、受講者全員が学校平均点を上回ったということです。

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(http://compass-e.com/#/ より)

 

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