Civic Tech

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シビックテック(Civic Tech)

シビックテックの明確な定義はないとのことですが、一般にはITなどのテクノロジーを活用しながら地域やコミュニティの身近な課題を自分たちで解決していこうという活動やテクノロジーを指しているようです。そうした活動のもとになっているのが「Government 2.0」という概念です。

「Government 2.0」は2009年にオライリー・メディア社の創設者Tim O’Reilly氏が提唱したもので、「政府はプラットフォーム化しなければならない」というものです。

Google社やApple社など、テクノロジー産業の勝者はプラットフォーム企業であり、そうしたプラットフォーム企業は第三者に新たな挑戦の場を与えたことによって成功している。行政も保有しているデータを再利用しやすい形で公開して、個人や企業などの民間が利用し、市民の英知を行政サービスに取り込んだり、市民が政策決定に参加したりできる新たな挑戦の場を与えるためにプラットフォーム化しなければならないという考えです。そのプラットフォームで市民が主にIT技術を活用して、コミュニティの課題を解決しようとする取り組みがシビックテックあるいはシビックテクノロジーとよばれるものととらえることができそうです。

シビックテックの分類

シビックテックの主体としては、個人やボランティア、NPOの他、社会的企業やベンチャー企業なども含まれます。ですので、Airbnbなどもシビックテックに含まれているようですが、これには公共性という観点からシビックテックに含めるべきではないという意見もあるようです。

シビックテックの活動が盛んになる契機となったのは、2009年にアメリカが行政の透明化と公共データのオープン化を進めるため、「透明性」(transparent)、「国民参加」(participatory)、「協業」(collaborative)の3つの原則を示して「オープンガバメント」を推進したことにあるようです。

この年には、行政組織に1年間という期間限定で優秀なエンジニアを職員として派遣し、地域の問題を解決するWEBサービスやアプリを開発する「コード・フォー・アメリカ(Code for America)」がサンフランシスコで設立されています。日本では2013年にCode for Japanが設立されています。そして日本の場合、ブリゲイドと呼ばれるコミュニティが2016年11月現在で、公認が40団体となっています。公認準備中も32団体あり、全国に広がりつつあります。

ところで、シビックテックの分野ですが、2013年2月に出されたナイト財団(Knight Foundation)の「The Emergence of Civic Tech:Investments in a Growing Field」という報告書では、「Open Government Innovation Clusters(開かれた政府)」と「Community Action Innovation Clusters(地域社会活動)」に大きく2つに分けています。2016年6月に出された日本総研のリサーチフォーカス「注目されるシビックテックの動向」では、もう少し分かりやすく「行政サービスの改善・透明性の向上(オープンガバメント)に関連する分野」と「地域社会における活動や課題の解決に関連する分野」と表現しています。
そして、それらはさらに次のように6つと5つのカテゴリーに分けています。

(1)オープンガバメント

①「 Data Access & Transparency(データアクセスと透明性)」
②「 Data Utility(行政データの分析・可視化)」
③「 Public Decision Making(住民による意思決定)」
④「 Resident Feedback(住民からのフィードバック)」
⑤「 Visualization & Mapping(可視化・マッピング)」
⑥「 Voting(投票)」

(2) コミュニティ・アクション

⑦「 Civic Crowdfunding(公共分野のクラウドファンディング)」
⑧「 Community Organizing(コミュニティ組織)」
⑨「 Information Crowdsourcing」(情報のクラウドソーシング)」
⑩「 Neighborhood Forums」(近隣住民のためのフォーラム)」
⑪「 Peer-to-Peer Sharing」(生活者同士のシェアサービス)」

(参考文献:Knight Foundation「The Emergence of Civic Tech:Investments in a Growing Field」December 2013)
(参考文献:日本総研Research Focus≪イノベーションの新潮流 No.1≫2016 年6 月7 日注目されるシビックテックの動向― 金沢市におけるオープンデータの活用事例と示唆 ―調査部 主任研究員 野村敦子)
(参考文献:行政&情報システム 2014年4月号 テクノロジーを活用した行政サービス効率化と市民参画のイノベーション ─米国における「Civic Technology(シビックテック)」と呼ばれる新潮流─ 株式会社 ソーシャルカンパニー代表取締役 市川 裕康)

シビックテックの事例

SeeClickFix

シビックテックサービスでよく紹介されるのは、「SeeClickFix」です。落書きや公共設備の破損、あるいは急病人を市民が発見したとき、スマートフォンのカメラで撮影して行政機関に送るというものです。写真だけでなく位置情報も同時に送られるため、迅速な対応ができます。似たようなものではイギリスの「FixMyStreet」や千葉市の「ちばレポ」があります。

Nextdoor

地域コミュニティに特化したプライベートSNSで、地域内のサービス情報や防犯情報を提供します。
「ベビーシッターを教えて欲しい」「ペットが迷子になった」「街灯が壊れていている」といった情報がやりとりされます。行政と連携し、事件の発生や停電などの緊急時にアラートが出る仕組みを用意しています。2010年にサンフランシスコでスタートとしましたが、現在、人口の60%以上がNextdoorに参加しているとのことです。

Link NYC

Googleが発足させたプロジェクトから始まった会社であるSidewalk Labsが手がけているプロジェクトです。Sidewalk Labsは、テクノロジーを用いて都市問題を解決することを目指しており、「Link NYC」は、ニューヨークの使われなくなった公衆電話網を活用した市営の無料Wi-Fiスポットネットワークです。古い電話ボックスの代わりに小さなキオスクを設置し、無料のWi-Fi利用、充電サービス、国内への無料通話を提供するほか、周辺の人の動きや雑音、大気の状況といったデータを集めて都市計画に生かすそうです。

FixMyStreet Japan

市民と行政が協力し、道路の破損、落書き、街灯の故障、不法投棄などの課題をスマホを使って解決・共有していく仕組みで、現在、愛知県半田市、大分県別府市、福島県郡山市、奈良県生駒市、福島県いわき市で運用されています。生駒市では「ナラ枯れ対策」にも活用されています。

ちばレポ

道路が傷んでいる、公園の遊具が壊れているといったことを市民がレポートし、行政と課題を共有するとともに、市民と行政がともに課題を解決していこうというものです。市民が主体的に住みよいまちづくりにかかわっていくよう市民にも課題解決に向けて自らができることについて考え、行動することを求めています。

あいあい自動車

三重県菰野町の「社会福祉協議会|が事業主体となり、リクルートがシステムベンダーとして参加して進めている実証実験です。
地域住民の共同所有の車を使って行う送迎サービスです。運転のできなくなった高齢者にとって買い物や病院への移動は非常に経済的負担が伴います。そこで、そうした高齢者と運転手をマッチングして安い費用で高齢者の移動を助け、一方で運転手の車の維持費を軽減しようというものです。

のとノットアローン

子育てを奥能登で経験した母親たちが、エンジニアと一緒になって開発した子育て応援ウェブアプリです。2016年4月から正式運用がはじまりました。特に他の地区から引っ越してきた母親は、「地域のイベントや施設の情報」「子育ての相談ができるところ」などを知りたいしりたいと感じています。そうした要望に応え、地域で孤立してるかもしれない子育て世代に向けた情報発信を行うのが「のとノットアローン」です。

PM2.5 ダイヤル

最新のPM2.5測定値と当日の予測情報を自動音声で知らせするサービスです。冬になると問題となるPM2.5ですが、福岡市は特に大陸に近いこともあってか市民の関心が高いようです。そこで、福岡市では当初インターネット上でPM2.5の情報を公開していたそうですが、電話で情報を得たいとの要望が多くあり、電話の音声通話を通しリアルタイムで情報を提供しるサービスを導入しました。
ています。、福岡市と地域の企業と共同で開発し、広告枠を提供して協賛をえることで税金を使わずにサービスを運用しているそうです。

 

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