ATAP(Advanced Technology and Projects)

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先進技術研究ユニットATAP

ATAP とは、Advanced Technology and Projectsの略で、Googleの先進技術研究ユニットのことです。通常ならば開発に10年はかかるであろうものを数か月で作っていくという非常にスピーディな取り組みをしているテクノロジー集団です。

このチームの責任者を務めるのはレジーナ・デューガン(Regina Dugan)女史です。彼女は DARPA(Defense Advanced Research Projects Agency:アメリカ国防高等研究計画局)の局長を務めた後、2012年にMotorola Mobility内で設立した組織です。モトローラは Lenovo に売却されましたが、グーグルはMotorola Mobilityの事業のうち、研究開発部門のATAPは手放ささず、研究開発を続けています。

ATAPのプロジェクトの特徴は、外部の技術者と協力しながら研究開発を進めることです。大学、NPO、研究機関、企業、国などのパートナーと協力してパラレルに開発を進めています。例えば、実用化が間近の「Project Ara」では、米NewDealDesignや米NK Labs、米X5 Systemsなど複数の企業と協力して要素技術を開発しています。現在は11個のプロジェクトに取り組んでいるようで、一時的にだけプリントする「デジタル・タトゥー」、パスワードに替わる米食品医薬品局(FDA)から承認を受けたとされる「セキュリティトークン錠剤」など、近未来的・SF的な取り組みが真剣に行われているのは、極めてハイリスクであるがインパクトの大きい研究開発に資金支援し、ハイリスクであると割り切り、明らかに成功する研究は採択しないというDARPAの研究体制に近いところがあります。

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(http://www.modularmania.com/wordpress/?p=1267 より)

ATAPのプロジェクト

Project Tango

モバイル端末に人間と同じような空間・運動把握能力を持たせるもので、特別なカメラやセンサー、アプリを搭載した端末を使い、モーショントラッキングと同時にデバイスの周囲のスキャンを行って、3次元のマップをリアルタイムに生成させます。用途としては、拡張現実(AR)ゲームやインドアマップの他、例えば「購入予定の家具が自分の部屋におさまるかどうかの確認」「障害をもった方が歩いていく先の様子をあらかじめ検知する」「実空間と融合したバーチャルリアリティゲーム」「進行方向に目的地への道案内の矢印を表示する(暗闇での案内など)」「実空間とバーチャルの世界の組み合わせて、例えば、模様替えした部屋のシミュレーション」「地図の作成をユーザのスマホデータつくる」などが考えられます。

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(http://www.cnet.com/uk/news/googles-project-tango-prototype-phone-maps-your-world/ より)

Project Soli

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(http://www.androidauthority.com/google-atap-project-soli-interact-with-wearables-612563/ より)

「Project Soli」は手や指などの動きを感知する小型のモーションセンサーに関するものです。よく似たジェスチャーコントロールには、米MicrosoftのKinectのようにカメラを使うものなどがありますが、Soliはレーダーチップを使って手の動きを感知します。

例えば、スマートウォッチの時刻を合わせるとき、何もない空間上で指をひねると、まるで竜頭を操作しているかのように時計の時刻合わせができたり、親指と人差し指でくるくる動かすと画面がスクロールしたり、つまみをひねるように動きをするとボリュームを変更できたりします。

レーダーはカメラと比べると、非常に感度が高く、小さな運動でも読み取ることが可能だそうです。そこで、対象に向かって電波を送り、跳ね返ってきたレーダー波を用いて、どんなジェスチャが行われたのかを抽出しています。開発者の一人Poupyrev氏の話では、むき出しにしなくても(内蔵できる)高い精度を保てること、さらにスマートウィッチに内蔵できるぐらいに小型化できること、太陽のもとでも使えるといった条件ではレーダーがベストだとのことです。確かにカメラはむき出しにしなければ使えません。逆光では使用も制約されるかもしれません。

Project Jacquard

Project Jacquardは、布地や生地の中にセンサーを織り込むことで、布の表面を触ったりこすったりすることで、スマホを操作するというものです。衣服の一部をタッチスクリーンのようにタップしたりスワイプしたりすると、衣服に触れる指の動きや圧力を感知し、糸とつながっている小型通信機からスマホに信号が送られ、例えば、ジャケットの袖口をさっとなでてテキストメッセージを送信するといった操作が可能となります。当面はスマホの操作に使われそうですが、その用途はいろいろ考えられそうです。例えば、テーブルクロスをタップしてスマート電球を操作すると言ったことも可能になるかもしれません。開発をしているATAPは、1枚のシャツ全体をこの素材で作り、そこに加速度計、ジャイロスコープ、圧力センサー、心拍数計などいろいろなセンサーを付けてマイクロコントローラーとして使うことも考えているようです。

仕様されている素材は、米ジーンズ大手のLevi’sとの協業により開発されたもので、綿、ポリエステル、絹などの自然素材、あるいは合成素材を利用し、強度を兼ね備えた導電性のある糸を利用したものです。Jacquardを構成する部品の製造は低コストで、糸や素材は標準的な手法で製造できるとのことです。が、製品の登場時期については不明です。

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(ITmedia ニュース http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1505/31/news009.html#l_yu_jac.jpg より)

Project Ara

atap_003_Rレゴブロックのようにモジュール(部品)を組み替えて、自分の好きな仕様のスマホを作ることができるようにしようというプロジェクトです。

endoskeleton(エンドスケルトン)と呼ばれる枠付きの筐体にユーザーの好みに合わせて液晶パネルやアプリケーションプロセッサー、ストレージ、カメラ、電池などの各種機能を搭載した「モジュール」を差し込んでスマホをつくります。モジュールは用途や状況に応じて自由に交換することができ、例えば、ゲームソフトメーカーが、自社が提供するゲームをプレーできるようにする専用モジュールを提供すれば、スマホが専用ゲーム機になり、生体センサーを搭載したモジュールを装着すればヘルスケア端末に、RFIDリーダーを搭載したモジュールを装着すれば店舗管理用端末になります。さらに、スマホ以外の活用、例えばロボットやウエアラブル端末向けの部品としてモジュールが使われたり、状況に応じて、スマホから特定のモジュールを取り外し、他の機器に取り付けて利用したりということも可能になってくるかもしれません。

Project Araには東芝が積極的に参画しており、すでにカメラモジュールの仕様や実物、さらに今後のモジュールロードマップを公開しています。また、endoskleletonとモジュール両方に必須となるLSIを開発中とのことです。eodoskeletonとモジュールを接続するインターフェースの詳細は非公表のため、これらのLSIは実質的に東芝以外が設計・製造できない状況のようです。

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(東芝http://toshiba.semicon-storage.com/content/dam/toshiba-ss/shared/docs/application/project_ara/Ara%20reference%20design.pdf より)

 

 

 

 

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