AIPプロジェクト

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AIPプロジェクト

平成28年度に向けた各省庁の概算要求が8月末に出されました。科学技術関係で特に注目されたのは、文部科学省が新規に要望した「AIPプロジェクト」でした。AIPプロジェクトは、「Advanced Integrated Intelligence Platform Project」の略称で、文部科学省の要望書には

世界最先端の成果を創出するため、「オールジャパン」に留まらずグローバルな規模で研究者が参画し、革新的な人工知能技術を中核として、ビッグデータ・IoT・サイバーセキュリティを統合した次世代プラットフォームを整備する。また、新しいアイデアの可能性を模索し新たなイノベーションを切り開く独創的な研究者等を支援する

とあり、革新的技術開発を目指すもので、特に概算要求額が100億円という巨額であることから注目されました。

要望書の補足説明資料では、人工知能/ビッグデータ・IoT/サイバーセキュリティの現状について、各分野でのビッグデータの集積、センサーの量的・質的拡大(Internet of Things)や人工知能分野で起きている技術的ブレークスルーなど情報技術が急速に進展している一方で、ますます巧妙化し、高度化している脅威に対するサイバーセキュリティの確保のための人材育成が必須と捉えています。その上で、こうした技術は、「インターネット」が登場した時のように、誰も予想し得ないような社会システムや産業・経済の構造に対する想像を超える大変革をもたらし、我が国が直面している労働力の減少、高齢化社会における医療・介護、エネルギー・資源制約等の様々な課題に対する抜本的な解決をもたらす可能性があるとして、このようn国家的課題に対して戦略的な対応が必要であるとしています。

本プロジェクトは具体的には、「オールジャパン」を超越したグローバルな体制による研究開発拠点を整備するとして、理化学研究所にAIP(Advanced Integrated Intelligence Platform Projec)センターを設置し、革新的な人工知能技術を中核とした研究や実証・実用化のための次世代の基礎技術を大学等と連携しながら研究開発を行うとともに、様々な人工知能・機械学習・ビッグデータ解析等の技術を組み合わせ、革新的で高度な「統合プラットフォーム」を実現するとしています。そして、様々な応用分野と緊密に連携し、科学技術の振興と社会の発展に具体的に貢献していくとしています。さらに、科学技術振興機構において、情報科学技術分野の新しいアイデアの可能性を模索し新たなイノベーションを切り開く独創的な研究者等を支援していくとしています。

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(出典:平成28年度科学技術関係概算要求の概要 平成27年8月 文部科学省 科学技術・学術政策局 研究振興局 研究開発局 より)

科学技術関連の中のAIPプロジェクトの位置づけ

文部科学省の科学技術概算要求は、大きく次の11の項目からなります。

1.未来社会を見据えた先端基盤技術の強化

2.科学技術イノベーション・システムの構築

3.基礎研究力強化と世界最高水準の研究拠点の形成

4.科学技術イノベーション人材の育成・確保

5.最先端大型研究施設の整備・共用の促進

6.科学技術イノベーションの戦略的国際展開

7.社会とともに創り進める科学技術イノベーション政策の展開

8.ライフサイエンスによるイノベーション創出

9.クリーンで経済的なエネルギーシステムの実現

10.自然災害に対する強靱な社会に向けた研究開発の推進

11.人類のフロンティアの開拓及び国家安全保障・基幹技術の強化

AIPプロジェクトは「未来社会を見据えた先端基盤技術の強化」の中の一つで、他には「統合型材料開発プロジェクト」「元素戦略プロジェクト」「ナノテクノロジープラットフォーム」「光・量子科学研究拠点形成に向けた基盤技術開発」などがありますが、AIPプロジェクトのみ新規事業で他は継続事業となっています。

文部科学省の科学技術関連の予算要望は総額で1兆1445億円です。平成27年度の予算が9,680億円ですので18.2%増ということになります。これは、「『日本再興戦略』改訂2015」及び「科学技術イノベーション総合戦略2015」を踏まえて、科学技術イノベーション創出を推進するために成長の「鍵」となるものに重点を置いた予算配当した要望となったためだろうと思います。予算要望書の項目に「イノベーション」という言葉がやたらと使われていることからも想像されます。

各省庁の「IoT、ロボット、人工知能」等の新規概算要求

総務省

〇 自律型モビリティシステム(自動走行技術、自動制御技術等)の開発・実証 として17億円(新規)

自動走行に必要な高度地図データベースの更新・配信のための通信技術の開発や、自動走行、自動制御技術や人工知能技術等を活用した安全・安心な自律型モビリティシステム(電気自動車、電動車いす等)の開発及び利活用実証を推進し、ITS(高度道路交通システム)の高度化等にも寄与するとしています。

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(平成28年度 総務省ICT関係重点政策 平成27年8月 総務省 より)

経済産業省

〇 IoT 推進のための新産業モデル創出基盤整備事業等(新規) 60.3 億円

あらゆる産業のビジネスモデルの革新を推進すべく、産学官の様々な主体が参画した「IoT 推進ラボ(仮称)」を創設など

〇 IoT 推進のための横断技術開発プロジェクト(新規)  37.3 億円

データ処理技術を始めデータの収集・蓄積・解析といった分野横断的に活用可能な共通基盤技術について、産学官の連携体制による研究開発など

〇 ロボット活用の推進:ロボット導入実証事業(新規) 30.0 億円

ロボット未活用領域におけるロボット導入やシステムインテグレートに係る費用の補助及び実証事業など

〇 イノベーション・コースト構想(ロボットテストフィールド・研究開発拠点等整備事業) (新規)

〇 福島イノベーション・コースト構想推進施設整備等補助金(共同利用施設(ロボット技術開発等関連)) (新規)

国土交通省

〇 次世代社会インフラ用ロボット開発・導入の推進(新規) 1.89億円

現場検証で一定の性能が確認されたロボットを使い、実際の点検と同等の環境の下、必要な機能や効果を発揮できるか検証(試行的導入)

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(平成28年度総合政策局関係予算概算要求概要 平成27年8月 国土交通省総合政策局 より)

〇 自動車の技術基準の国際標準化等の推進(新規)  3.37億円

グローバル化が進展する国際自動車市場における安全・環境性能に優れた自動車の普及を促進するとともに、技術力を有する我が国自動車メーカー等が活躍できる環境を整備

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(平成28年度自動車局関係予算概算要求概要 平成27年8月 国土交通省自動車局 より)

厚生労働省

〇 介護ロボット開発加速化事業(新規)  5億円

製造業者等へのアドバイス、臨床評価、製品の活用・普及などに必要とされる支援を一体的に行う拠点施設を位置づけと取組を加速化

〇 障害者自立支援機器の開発の促進(一部新規) 1.6億円

筋電義手などのロボット技術を活用した障害者向けの支援機器などの開発(実用的製品化)の促進

農林水産省

〇 農林水産業におけるロボット技術導入実証事業(新規)9.0億円

農林水産分野において新たに開発された ロボット技術の導入実証やロボット技術・ICTと栽培技術を組み合わせた技術体系の確立などを支援するとともに、農業機械の自動走行やドローン等を活用した農薬散布等の安全性確保のルー ルづくりなど、生産現場へのロボット導入促進に向けた基盤づくりを支援

〇 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(ロボット研究開発型)(新規)6.0億円

農林水産業・食品 産業現場で直面する課題解決に役立つロボットの研究開発を推進

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(平成28年度予算概算要求の概要 36 先端ロボットなど革新的技術の開発・普及 より)

各省庁のロボット関連の概算要求

ロボット関連の28年度概算要求

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(ロボット革命イニシアティブ協議会https://www.jmfrri.gr.jp/content/files/Open/2015/20150916/20150916_H28gaisann_zentai.pdf より)

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