マインドフルネスとIoT

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グーグルとマインドフルネス

グーグル、インテル、フェイスブック、ナイキ、ゴールマンサックス・・・など欧米の有名企業で、「マインドフルネス」と呼ばれる一種の瞑想法が研修として取り入れられ、生産性向上の向上や創造性の発揮に効果をあげていることから、最近日本でもこの「マインドフルネス」が注目されつつあるようです。

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グーグルが「マインドフルネス」を取り入れたのは2007年で、「サーチ・インサイド・ユアセルフ」というプログラムを立ち上げています。このグーグルの取組みを紹介した本も「グーグルのマインドフルネス革命」(出版社: サンガ)など、数多く出版されています。今ではグーグル社員5万人の10人に1人に当たる5000人以上のグーグラーが瞑想を実践するという規模にまで成長しているとのことです。

サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)はGoogle社が、最新の脳科学に基づいて多忙なマネージャークラスのエンジニアのパフォーマンス向上のために開発したプログラムです。マインドフルネスに基づく新しいプログラムで心の知能指数における「5つの要素」mindfulness_001_r(自己認識・自己制御・モチベーション・共感・コミュニケーション)に着目した「心と思考力」を科学的アプローチで強化するプログラムとのことです。サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)を紹介した本も多数出版されています。

(著者:チャディー・メン・タン
訳者:柴田裕之 監修等:一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート出版社: 英治出版)

 

 

マインドフルネス

「マインドフルネス」は、自分の身体や気持ちの状態に気づく力を育むことで、いわば「こころのエクササイズ」とも言えます。もともとは仏教における瞑想を基本としたものでが、宗教性は排除されており、人種や宗教を選ばず実践することができます。そのことで世界中に広まっているようです。前述のIT企業だけでなく、教育や医療の現場でも実践されつつあります。

マインドフルネスの実践によって、ストレスな場面においてもしなやかに対処し、否定的な感情や物事にとらわれ、それに飲み込まれることなく、いつでも自分を取り戻すことができるようになります。

マインドフルネスの第一人者である早稲田大学の熊野宏昭教授によれば、

マインドフルネスとは、「今の瞬間」の現実に常に気づきを向け、その現実をあるがままに知覚し、それに対する思考や感情にとらわれないでいる心の持ち方

と述べておられます。実際のやり方としては次のような順序で行っていくそうです。

(1)背筋を伸ばして、両肩を結ぶ線がまっすぐになるように座り、目を閉じる
(2)呼吸をあるがままに感じる
(3)わいてくる雑念や感情にとらわれない
(4)身体全体で呼吸するようにする
(5)身体の外にまで注意のフォーカスを広げていく
(6)瞑想を終了する
(http://www.nhk.or.jp/special/stress/02.html より)

マインドフルネスと脳

カーネギーメロン大学のデイビッド・クレスウェル准教授の研究によれば、ただリラックスしているだけだと人の脳の前頭葉にあるdlPFCと呼ばれる部位の活動が低下し、脳がデフォルトモードネットワークと呼ばれる状態になっているが、マインドフルネスを行っていると前頭葉のdlPFCの活動が向上し、デフォルトモードネットワークをコントロールするのだそうです。

dlPFCとは、前頭葉にあって大脳全体の司令塔のような役割を果たす部位です。デフォルトモードネットワークとは、クルマのアイドリングに相当し、いざという時にすぐに動けるようにスタンバイしている脳の状態です。

このデフォルトモードネットワークが人にいろいろな雑念を浮かばせ、気を滅入らせたり不安にさせたりします。マインドフルネスによってdlPFCを活性化させると、雑念を浮かばせるデフォルトモードネットワークをうまくコントロールすることができ、結果として心を安定化させるというわけです。

また、ハーバード大学のサラ・ラザー准教授は、1日45分間のマインドフルネスを8週間行って脳の変化を調べたところ、海馬が5%大きくなり、扁桃体は5%小さくなったそうです。海馬はストレスが加わると小さくなりうつ病を発症すると言われています。また、扁桃体は大きくなると不安や恐怖に過剰に反応すると言われており、サラ・ラザー准教授の研究の結果は、マインドフルネスによって脳の構造に変化を生じさせ、人にストレス耐性を獲得させることができることを示しているとも言えそうです。
(NHKサイエンスゼロ「新・瞑(めい)想法 “マインドフルネス”で脳を改善!」参照)

マインドフル・ビジネス

欧米では、マインドフルネスな状態を個人や企業に提供するビジネス「マインドフル・ビジネス」が立ち上がってきているそうです。その範囲はIoT、ヘルスケア、教育からアート、金融、観光など幅広いようです。

IoTに関しては、すでに「MUSE」という人間の体のバイタル情報をセンサーでキャッチし、それをフィードバックさせて瞑想をアシストする製品が登場しています。

mindfulness_003(http://www.choosemuse.com/# より)

また、AppleのIOS10ではヘルスケアアプリに、アクティビティ(活動量)、栄養、睡眠に加えてマインドフルネスが追加されました。watchOS 3に搭載されたBreathe機能での計測となります。

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(http://www.apple.com/jp/ios/health/ より)

瞑想アプリもいろいろ出ているようです。ほとんどのものがまだ英語のようですが、例えば、1日5分間、瞑想の時間を取り入れて習慣化することを目的にハーバード大学の心理学者や瞑想の専門家の監修のもと設計された「Simple Habit」という瞑想アプリや、指先をゆっくり動かすことで精神の集中を保ち瞑想する「Pause」というアプリなどがあります。
Sonaというリストバンドは、心拍数の変化や心拍のタイミングの差を測定することで自律神経の調整を手助けしようというものです。

mindfulness_006_r(http://www.caeden.com/sona/ より)

今後はAIのマインドフルネスへの応用も進みそうです。

 

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