ImPACT

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ImPACT

ImPACTは、内閣府の総合科学技術・ イノベーション会議により2014年に創設されたハイリスク・ハイインパクトな研究開発を促進し、持続的な発展性のあるイノベーションシステムの実現を目指した研究開発プログラムで「革新的研究開発推進プログラム(Impulsing PAradigm Change through disruptive Technologies)」とよばれるものです。予算は550億円となっています。実現すれば産業や社会のあり方に大きな変革をもたらすであろう挑戦的な研究開発です。

米国DARPA(国防高等研究計画局)の仕組みを参考とし、研究者に対してではなく、研究開発の企画・遂行・管理等の役割を担うPM(プログラム・マネージャー)に大規模な予算と強力な権限を与えています。発足時には12名のPM(プログラム・マネージャー)が決定され、その内訳を見ると30代の若い人材や、2人の女性、5人の企業人など、多彩な人材構成になっています。2015年6月には新たなPMの追加公募がありました。

具体的には、PM(プログラム・マネージャー)が掲げたビジョンをもとにプログラムをつくり込み、公募や指名によって研究チームを編成します。研究チームの中には、ステージゲート方式(※1)などの競争環境が導入されます。予算は固定されず、成果や進捗に応じて増減がされます。場合によってはプロジェクトが途中で廃止されることもあります。

(※1)ステージゲート法は研究開発を複数の活動(ステージ)に分割し、次のステージに移行する前に評価を行う場(ゲート)を設け、そこでの評価によってプロジェクトの続行又は廃止を決定する仕組みです。

(経団連タイムス https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2015/0528_06.html 参照)

研究開発プログラムは次の通りです。

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ImPACT目指すところ

ImPACTの目的は「イノベーションに最も適した国」「起業、創業の精神に満ちあふれた国」の実現です。そのための目標として、「非連続イノベーションの創出」と「イノベーション創出の行動モデルの提示」をあげています。非連続イノベーションとは、積み上げではない、技術の連続性がないイノベーションのことです。例えば、ガソリン車と燃料電池車などの関係は非連続イノベーションに当たります。

「イノベーション創出の行動モデルの提示」とは、研究開発における内向き志向を転換し、わが国にオープンな起業風土を培うことを目指しています。

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(http://www.jst.go.jp/impact/images/movie/ImPACT_p.pdf より)

ImPACTのテーマ

総合科学技術・イノベーション会議が設定したImPACTのテーマは次の5つです。

① 資源制約からの解放とものづくり力の革新

「新世紀日本型価値創造」

② 生活様式を変える革新的省エネ・エコ社会の実現

「地球との共生」

③ 情報ネットワーク社会を超える高度機能化社会の実現

「人と社会を結ぶスマートコミュニティ」

④ 少子高齢化社会における世界で最も快適な生活環境の提供

 「誰もが健やかで快適な生活を実現」

⑤ 人知を超える自然災害やハザードの影響を制御し、被害を最小化

「国民一人一人が実感するレジリエンスを実現」

これらのテーマは、次の2つの観点から設定されたものです。

① 非連続な変化でパラダイム転換をもたらす科学技術イノベーションによって、我が国の産業競争力を飛躍的に高め、豊かな国民生活に大きく貢献するもの

② 我が国が直面する深刻な社会的課題に対し、従来の常識を覆す革新的な科学技術イノベーションによってこれを克服するもの

求められる非連続イノベーションの例

総合科学技術・イノベーション会議の設定したテーマごとに求められる非連続イノベーションの例として次のものが挙げられています。

(1)資源制約からの解放とものづくり力の革新

〇 空気などありふれた資源や汚泥・廃棄物など価値の無いものを、有用資源や高付加価値材料など価値のあるものに、少ないエネルギーと労力で転換・改質

〇 元素を自在に配列させることによる高機能の発現やナノサイズものづくりといった革新的生産技術で、桁違いの性能向上やコスト低減を実現(性能>10倍、コスト<1/10等)

〇 機能性・薬効成分、アレルギー物質など、農林水産物の有効成分を自然環境の下でも、自在に生産をコントロール

(2)生活様式を変える革新的省エネ・エコ社会の実現

〇 消費電力1/100以下あるいは電気を用いない新たな発光技術による革新的省エネ照明の実現

〇 外部の環境変化に応じて、電力を用いずに温度を自動的に調節可能な窓・壁などによって、オフィスビル・住宅・車・農業ハウス等の光熱費削減だけでなく、停電時のリスクにも対応

〇 99%以上の部品が安価にリサイク・リユース可能で、かつ消費電力が1/100以下の革新テクエコ・電子デバイスの実現

(3)情報ネットワーク社会を超える高度機能化社会の実現

〇 スパコンでも解読されない、原理的に限りなく解読不可能な暗号といった堅牢性の高い情報セキュリティ環境の実現

〇 従来のインフラ拡充では実現できない情報通信技術そのものの進歩より、都市郊外、山中、離島、大深度地下、海上や高速移動体でも都市部同様の安定な高速情報通信を可能にする

〇 消費者が求める商品・サービスの嗜好や、カウンセリングなどでは表れないストレス感や快適感を計測・情報発信

(4)少子高齢化社会における世界で最も快適な生活環境の提供

〇 ビッグデータ等を活用した道路交通のトータルマネイジメントにより、交通事故ゼロ、渋滞の劇的緩和や、宅配時間を分単位に短縮できるオンディマンドショッピング

〇 手や音声を用いず、考えたことが瞬時に機械に反映される革新的インターフェースや、日常の健康管理から身の回りの世話まで行うオペレーションフリーシステム

〇 「光を通し、音を遮断する」シートによる自動車・電車等の騒音の遮断や、家・オフィスビルなどの窓をふさがずに防音するといった、生活に影響を及ぼす光・音・熱等を自在に制御

〇 生物の優れた機能に学び、身の回りの多用な極微料有害・危険物質を1度に、非破壊・非侵襲・超迅速・超高感度で検出・特定

(5)人知を超える自然災害やハザードの影響を制御し、被害を最小化

〇 ロケット・衛生の飛躍的性能向上(重量1/10以下、観測能力10倍以上など)による都市や町のサイズより詳細な局所的な天気予報や、自然災害の超高精度影響予測技術等による被害の最小化とエネルギー等の有効利用

〇 広範囲に拡散した有害化学物質、細菌、ウィルス等に対する迅速・簡便かつ人体に悪影響を及ぼさない除染

〇 基礎工事なしに、迅速に、かつ場所を問わず橋などの大型建造物を設置

〇 悪天候や夜間などの悪条件下やがれき等のきわめて狭い空間等でも使用できる観測・監視システムや、迅速な捜索・救命活動を自律協調し行うロボット

(革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)プログラム・マネージャー公募要領平成27年4月内閣府より)

 

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