流通・物流分野における情報の利活用

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流通・物流分野における情報の利活用に関する報告書

経済産業省は2015年10月に、「流通・物流分野における情報の利活用に関する研究会」を設置し、流通業・物流業におけるビッグデータの活用を通じた活性化や新たな産業モデルの在り方に検討を重ねてきましたが、2016年5月にその報告書を取りまとめ発表しました。
報告書は「これまでの流通業の変遷」「現在の流通・物流業の動向や特徴、データの利活用」について述べた後、2030年における流通・物流業の姿を次の視点で述べています。

1) 少子高齢化に伴う人口減少による変化
2) 消費者理解の深化とサービスへの反映
3) 企業と消費者の適切な関係構築・消費者起点の情報流通
4) インバウンドの拡大・海外需要の獲得
5) 製・配・販連携によるサプライチェーンの高度化
6) 物流分野における変革

(流通・物流分野における情報の利活用等に関する研究会 調査報告書 平成28 年5 月 経済産業省商務流通保安グループ より)

例えば「物流分野における変革」では、ドライバー不足の解消として自動走行技術を活用した隊列走行、ドローンによる物資輸送、3Dプリンターを使って商品を配送中のトラックで製造し届けるサービス、物流センターの自動化(倉庫ロボット、ロボット台車など)、トラック運送分野におけるテレマックス情報活用による物流の効率化、シェアリングサービスの浸透とそれによるレビューの経済取引における指標化などが示されています。

報告書の概要

報告書では、こうした2030 年の流通・物流業の姿を踏まえ、今後政府や企業等が対応すべき課題とアクションプランを現状を詳しく分析しながら整理しています。また、流通・物流業に直接的に関係し、喫緊に取り組むべき課題について、「需要面に関する取組」と「供給面に関する取組」に分けて、2016年度。2017年度の工程表を示しています。前者については「消費者の満足度・利便性の向上/洗剤需要の喚起」と「外国人需要の獲得」を、後者については「生産性向上/ムダ削減」を課題として挙げています。

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(流通・物流分野における情報の利活用等に関する研究会 調査報告書 平成28 年5 月 経済産業省商務流通保安グループ 別添資料 より)

政府等が取り組むべきアクションプランについては、課題として「企業におけるデータ利活用の障壁」「消費者との関係で生じるデータ利活用の障壁」「新しいデータ利活用サービスに対応できない法律・制度」の3つを挙げて、それぞれへの対応を以下のように示しています。

(1) 課題:企業におけるデータ利活用の障壁

「企業の連携による合理化が進まない」「各企業の保有するデータのフォーマットが統一されていない」の2つの面から対応が示されています。
「企業の連携による合理化が進まない」ことについては、さらに「製・配・販の連携によるサプライチェーンの高度化に向けた取組」「物流分野の変革に向けた取組」「新陳代謝の円滑化」「データ利活用にかかるインフラ整備・企業によるセキュリティ対策の支援」から具体的取り組みが示されています。
例えば、「製・配・販を通じたRFIDの活用に向けた課題の整理を実施。あわせて、コンビニ等で実証実験を実施する」「ビッグデータ・AI を利活用した需要予測の精緻化の実証を実施し、爾後事業化する」「IoT/ロボット等の活用による物流の更なる高度化・効率化に向けて、最先端技術等を活用した新たなビジネスモデルの構築に向けた複数の実証事業等を実施する」といったことが挙げられています。
「各企業の保有するデータのフォーマットが統一されていない」ということについては、「デジタルレシート等のフォーマットの公表・普及」と「商品情報多言語対応に向けた標準の策定」という点から示されており、「デジタルレシート等のフォーマットの公表・普及」では、デジタルレシートの業界標準を報告書と一緒に公表していますが、今後は必要に応じて内容の改正やJIS 化、ISO 化を実施し、普及を図るとしています。「商品情報多言語対応に向けた標準の策定」では、「商品情報を多言語で提供するための標準ガイドラインを策定・公表し、多言語対応ガイドラインの普及を進めるとしています。

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(流通・物流分野における情報の利活用等に関する研究会 調査報告書 平成28 年5 月 経済産業省商務流通保安グループ より抜粋)

(2)課題:消費者との関係で生じるデータ利活用の障壁

「データ利活用に関する企業・消費者間のミスコミュニケーション」と「IT リテラシーやリスク許容度に関する消費者の個人差」という視点から述べられています。
「データ利活用に関する企業・消費者間のミスコミュニケーション」では、「企業のデータ活用に対して消費者の安心・信頼を得るための環境整備」を挙げ、具体的には、本報告書の別紙「消費者向けサー
ビスにおける通知と同意・選択のあり方検討WG 報告書」をもとに流通業が対応すべきガイドラインを策定して公表するとしています。
「IT リテラシーやリスク許容度に関する消費者の個人差」では、「消費者を起点とするデータ活用の環境整備」を挙げ、デジタルレシート等の標準フォーマットを活用し、消費者が持つ購買情報を集約・管理したうえで、自らの意思に基づいて多様な形で利活用する先進的なビジネスモデルについて検討を進めるとしています。

(3)課題:新しいデータ利活用サービスに対応できない法律・制度

「新サービスに対応できない法律・制度」と「個人情報の利活用に関する課題」の2つの視点から述べられています。
「新サービスに対応できない法律・制度」では、「企業が新規サービスを実施する際の支援」として、新しくスタートする事業が規制の適用の対象となるかどうかを規制所管大臣に照会することができるグレーゾーン解消制度の活用等により、企業が持つニーズに対応した流通・物流業の高度化・簡素化を進めるための先進的な取組を支援するとしています。
「個人情報の利活用に関する課題」では、「改正個人情報保護法に基づく「匿名加工情報」の検討」を挙げ、流通業界における匿名加工情報の規定を決定するための取組を支援するとしています。

(※以上、流通・物流分野における情報の利活用等に関する研究会 調査報告書 平成28 年5 月 経済産業省商務流通保安グループ より要約)

今後はこのアクションプランに沿って、データ利活用が進んでいくことが期待されます。

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