服づくり4.0

faac111b620f23ab386cf7fb721dad53_s_R

服づくり4.0

服づくり4.0とは、経済産業省の「平成28年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(ファッションデザイナーと繊維産地との連携促進に資するITプラットフォームの有効性に係る実証事業)」のプロジェクト名称です。このプロジェクトは、簡単に言えば、複雑に分かれている服の製造工程をITを使って結び付けていこうというものです。いわば、アパレル産業におけるインダストリー4.0といったところです。

経済産業省の「服づくり4.0プロジェクト」の事業概要には、日本のデザイナーのクリエイション能力、川上・川中の繊維企業の技術力は共に高いものの繊維・ファッション産業のサプライチェーンが非常に複雑で、そのことで、高品質なファッション製品をスピーディーかつスムーズに製作することが難しいと現状を分析しています。

その上で、このプロジェクトについて、ITプラットフォームを活用し、デザイナーと川上・川中の繊維企業との連携を進めた新作コレクションの製作を行って、服づくりのプロセスにおけるITプラットフォームの活用の有効性と課題を検証するとしています。
(経済産業省ニュースリリース「ITプラットフォーム活用による「服づくり4.0」プロジェクトを実施します~Amazon Fashion Week TOKYOにて成果を発表~」http://www.meti.go.jp/press/2016/02/20170222001/20170222001.html 参照)

アパレル産業の課題

日本のアパレル産業は、コスト削減のため生産の海外移転が進み、現在の国産化比率3%程度といわれています。1990年ごろの国産化比率は約50%で事業者も現在の4倍はあったと言われてます。
経済産業省の「アパレル・サプライチェーン研究会」では、日本のアパレル産業について、次のように手厳しい指摘をしています。

・・・サプライチェーンを構成する企業の結びつきが弱く、迅速な対応や企業連携による取組が十分でない。また、他の産業では見られないような合理的でない商取引慣行が残存。デフレ経済下のコスト削減の中で、素材メーカーとの結びつきも含め、国内のサプライチェーンの脆弱化が進展。
(「アパレル・サプライチェーン研究会」の報告書骨子(案)  http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/seizou/apparel_supply/pdf/005_04_00.pdf より)

そして、サプライチェーンに関しては、製造・卸・小売と産業構造・サプライチェーンが分断されているだけでなく、製造の中においても各段階が分業構造となっており、また、各工程間で地理的にも離れていて、それによって日本の強みを生かした商品づくりを困難にしていると指摘しています。

fuku_003_R(アパレル・サプライチェーン研究会報告書 参考資料集 http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/seizou/apparel_supply/pdf/005_05_00.pdf より)

一方で、日本のアパレル産業の品質・技術・開発力は高く、そして海外生産コストの上昇や国内の消費者の嗜好の変化などから、今は反転攻勢のチャンスでもあるとしています。そのためには、ものづくりの強みを活かせるようなサプライチェーンの再構築が必要であると述べています。

こうした上で、将来に向けたビジョンと政策の方向性生について、「生産から消費者までの距離を短くする」「多種小ロットのニーズに対し、品質を維持しつつ、低コスト化をめざ」「企業間の商取引慣行やシステムの標準化も含めたオープンプラットフォームの整備」「J∞QUALITY(※1)企業認証を取得したアパレル製造事業者のデータベース化と検索システムの開発導入」などを挙げています。

※1「J∞QUALITY」は①織り・編み②染色整理加工③縫製、の生産3工程すべて日本国内で行った純正の日本製アパレルであることを示すものです。

「服づくり4.0」の具体

「服づくり4.0」は、デザイナーと繊維産地・工場とのコラボレーションをITプラットフォームを通じて行うというものですが、具体的には、株式会社ローランド・ベルガーがコーディネートを行い、デザイナーズブランド「junhashimoto」のコレクションを全国の製造工場がどんな技術を持っているのかをデータベース化しているITサービス提供事業者「sitateru」の衣服生産プラットフォームを活用して、これまで取引のなかった工場と連携して短期間で作品を製作するというものです。

デザイナーが作りたい服のデザイン、記事、パターン、縫製仕様などを「siteteru」に伝えます。「sitateru」は250箇所以上の事業者からアイテム毎に最適な国内の生地・縫製工場をマッチングします。全体の方向性などの打合せは「sitateru」ですり合わせを行い、具体的なやり取りはチャット上で行うというものです。

ITプラットフォームを通じて川上と川下の最適なマッチングとコラボレーションが進むことで、デザイナーにとっては、これまでは作りたい商品があっても、対応できる工場とのコネクションがなくて商品化をあきらめていたものが可能となり、よりクリエイティブ・こだわりを追求でき、さらにコミュニケーションの効率化、生産コストの最適化、納期の短縮が可能となります。工場にとっては、稼働率の平準化、仲介を少なくすることで利益の改善にもつながるようです。

fuku_002_R(概要資料 http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/creative/fashion/file/fuku-zukuri4_0.pdf より)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です