官民戦略プロジェクト10(仮称)

gdp_002_R

官民戦略プロジェクト10(仮称)

官民戦略プロジェクト10は、産業競争力会議(※1)が、名目GDP600兆円に向けて、昨年度までの日本再興戦略を刷新し、これまで議論されてきたさまざまな政策を10項目にまとめたもので、大きく「あらたな有望成長市場の創出(5つ)」「ローカルアベノミクスの深化(4つ)」「国内消費マインドの喚起(1)」からなります。これによって総額100兆円を超える経済拡大を目指しています。今の日本の名目GDPは約500兆億円にも達していませんので、この目標を達成するのはかなり高いハードルと言えそうです。そのため、先日の産業競争力会議の発表では、改革を加速するために、いつまでにどのような技術を社会に実装したいのか、そこから逆算して具体的な制度改革の工程を設計する『ロードマップ方式』を導入するとしています。

名目GDPの推移

gdp_001_R

(世界経済のネタ帳 http://ecodb.net/country/JP/imf_gdp.html より)

(※1)日本経済再生本部の下、我が国産業の競争力強化や国際展開に向けた成長戦略の具現化と推進について調査審議するために設けられた会議体です。首相が議長を務め、経済閣僚、企業経営者、学識経験者らが参加しています。

官民戦略プロジェクト10「あらたな有望成長市場の創出」

「あらたな有望成長市場の創出」は、①第4次産業⾰命(Society5.0)、②世界最先端の健康⽴国へ、③環境エネルギー制約の克服と投資拡⼤、④スポーツの成⻑産業化、⑤既存住宅流通・リフォーム市場の活性化の5つからなります。
① 第4次産業⾰命(Society5.0)では2020年までに付加価値創出30兆円を見込んでいます。そのための具体的な施策としては、「人工知能技術戦略本部」を年度内に設置すること、自動走行、ドローン、FinTechなどの環境整備や制度・規制改革を進めること、データ利活用プラットフォームの創出、シェアリングエコノミーの推進、⼩型汎⽤ロボの導⼊コスト2割減、2020年までの5Gの実用化などを挙げています。
② 世界最先端の健康⽴国へでは、2020年までに2011年に16兆円だった市場規模を26兆円にすることを目標としています。具体的施策としては、健康・予防に向けた保険外サービスの促進、IoT等の活⽤による医療診断・個別化医療・個別化健康サービス、ロボットやセンサーを活⽤した介護の負担軽減等を挙げています。
③ 環境エネルギー制約の克服と投資拡⼤では、現在18兆円である投資を2030年には30兆円に増やすことを目標としています。具体的な施策としてネット・ゼロエル ギービ(ZEB )/ネット・ゼロエルギーハウス (ZEH )の普及、節電量取引市場の創設、燃料電池⾃動⾞の本格的普及など⽔素社会の実現等を挙げています。
その他、④ スポーツの成⻑産業化では、スポーツ施設の多機能化、スポーツとIT・健康・観光・ファッション等との融合・拡⼤等によって現在の5.5兆円の市場規模を2025年には15兆円に、また、⑤ 既存住宅流通・リフォーム市場の活性化では資産価値を評価する流通・⾦融等の仕組み構築、インスペクション・瑕疵保険普及等によって現在の11兆円の市場規模を2025年には20兆円にすることを目標としています。

官民戦略プロジェクト10「ローカルアベノミクスの深化」

「ローカルアベノミクスの深化」は、⑥サービス産業の生産性向上、⑦農業改革・輸出促進、⑧観光立国、⑨2020年オリンピック・パラリンピック競技⼤会に向けた⾒える化プロジェクトの4つからなります。
⑥サービス産業の⽣産性向上では、⽣産性伸び率を2020年までに2%となることを目指すとしていす。そして具体的にはIT 投資促進、サービスの質を見える化する新たな規格認証の策定・普及等の施策を挙げています。⑦農業改⾰・輸出促進では、スマート農業(2020年遠隔監視・無⼈⾃動⾛⾏)の推進、A-FIVEの機能強化などを施策として挙げています。その他、⑧ 観光⽴国では広域観光周遊ルートの世界⽔準への改善や国⽴公園のブランド化などを、⑨ 2020年オリンピック・パラリンピック競技⼤会に向けた⾒える化プロジェクトでは、PPP/PFI等による公的サービス・資産の⺠間開放拡⼤を施策として挙げています。

名⽬GDP600兆円に向けた成⻑戦略のその他の特徴とし、産業構造の転換を支える人材創出について詳しく述べられていることが挙げられます。中でも、第四次産業革命を担う優秀な人材を海外から呼び込むことを狙いとして、外国人の永住権取得までの在留期間を世界最短とする『日本版高度外国人材グリーンカード』の導入は、単に人材獲得だけでなく、閉鎖的ともいわれがちな日本の社会構造の様相に変化を与えることにもつながっていくかもしれません。
また、世界で広がりつつある子どものプログラミング教育について、産業競争力会議でも、初等中等教育段階でプログラミング教育を必修化することを掲げています。ただ、現在、イギリス、オーストラリア、フィンランド、エストニア、などでは小学校段階でプログラミング教育が行われているようですし、韓国は現在中学校で必修化されていますが、これを2017年からは小学校へも導入するとのことですから、産業競争力会議で示している2020年以降の導入は少々遅いのではと気になるところでもあります。

(第26回 産業競争力会議 配布資料 平成28年4月19日「参考資料1 成長戦略プロジェクトに係る検討課題」https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai26/sankou1.pdf より)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です