労働人口の日本49%、米国47%、英国35%がAI・ロボットに取って代わられる?

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職業のAI・ロボット代替可能性

2015年12月に野村総合研究所が、あくまで技術的な代替可能性としながらも、10年から20年後に、今、日本で働いている人の約半数の49%の職業が、機械や人工知能によって代替することが可能だとする分析結果を発表しました。これは、野村総合研究所とオックスフォード大学のオズボーン准教授らとの共同研究によるものです。職業の数は2012年3月に独立行政法人労働政策研究・研修機構から出された「労働政策研究報告書職務構造に関する研究 ―職業の数値解析と職業移動からの検討―」に基づいて601種類で、それぞれについて、技術の進歩によって将来、機械や人工知能が代替できる確率を計算しました。

オズボーン準教授と言えば、2014年に『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文を発表し、米国労働省が定めた702の職業をクリエイティビティ、社会性、知覚、細かい動きといった項目ごとに分析し、10年後の消滅率を仔細に試算したことで有名です。その論文では、702の職業のうち47%が、10〜20年後には機械によって代わられるとしていましたが、今回の49%はそれと非常に近い数値になっています。オズボーン准教授の先の研究では、前述のようにアメリカでは労働人口の47%、イギリスでは35%が、現在の仕事が機械に取って代わられる可能性が高いとしています。

日本とアメリカが、イギリスよりも高い原因をについて野村総合研究所は、「ホワイトカラーの労働生産性の低さ」と「AIやロボットで代替できる仕事をしている人が多い」ことを挙げています。

ところで、このようなロボット・AIが将来、人間の仕事を奪うという話はよく話題になります。それらは、どちらかというと人間の将来への悲観的な見方で議論されることが多いように思います。マスコミの中にも「奪われる」といった表現で報道していることもあります。

今回の発表は、ニュース報道を見ると、「将来の人手不足をテクノロジーで解決する可能性を示したもの」「将来、人は創造性やコミュニケーションがより求められる仕事を担うようになる」と、むしろ人とロボット・AIとの共存の可能性を示したものという捉え方をしているようです。

なくなる可能性の高い職業

報告書では、10年から20年後には235種類の職業が代替できる確率が高いとしています。身近なところでは、一般(医療)事務員、駅務員、会計監査係員、学校事務員、給食調理人、行政事務員、銀行窓口係、金属研磨工、警備員、自動車組立工、自動車塗装工、スーパー店員、測量士、タクシー運転者、宅配便配達員、電気通信技術者、電子部品製造工、道路パトロール隊員、ビル施設管理技術者、ホテル客室係、レジ係、路線バス運転者などです。これらの仕事には現在約2500万人が働いています。その割合は49%になります。

なくなる可能性の低い職業

一方、残ると予想される職業は、抽象的な概念を創出したり、他者との協調や説得が必要になったりする仕事で、具体的には、アナウンサー、犬訓練士、医療ソーシャルワーカー、インテリアコーディネーター、インテリアデザイナー、映画カメラマン、映画監督、エコノミスト、音楽教室講師、学芸員、学校カウンセラー、観光バスガイド、クラシック演奏家、グラフィックデザイナー、ケアマネージャー、経営コンサルタント、ゲームクリエーター、外科医、広告ディレクター、コピーライター、作業療法士、作詞家・作曲家、産婦人科医、歯科医師、社会福祉施設介護職員、小学校教員、スタイリスト、ネイル・アーティスト、俳優、はり師・きゅう師、美容師、舞台演出家、保育士、放送記者、ミュージシャン、レストラン支配人などをあげています。

将来も残っている可能性の高い職業に就いている人は一安心かもしれませんが、なくなる職業とされた人は、ローンのこと、老後の子と、子供の教育のことを考えると少々不安になってきます。専門家の中には、今後なくなる仕事が出てきたとしても、日本の場合は比較的ゆっくり進むだろうが、人に残された仕事は高度化してくるとして、そうした機械化の波に乗り遅れないようにしなければならないと働く人の意識改革を求める人もいます。一方で、こうした論調は短期的で静学的な分析に基づいたものであると批判し、旧来の仕事がなくなっても、全く新しい産業が生まれて新たな仕事が生まれ、準備さえ怠らなければ恐れる必要はないとする識者も多くいます。

Humans Need Not Apply(人間は採用しない)

AI・ロボットと雇用の将来について取り上げ、話題になったビデオがあります。「Humans Need Not Apply」というタイトルで、日本語では「人間は採用しない」というビデオです。自動車の登場で馬が「職」を失ったように、人工知能の進化で今度は人間が「職」を失う危機にさらされているという内容です。ビデオでは馬と自動車の関係に言及し、「馬が物の移動を担ってきた仕事を自動車に取って代わられたとき、馬には別の仕事があると思っていた。しかし、この予測は外れ、馬の数は激減した。ロボットの登場で、これが人間に起ころうとしている。人間がこれに備えをしないと、馬の二の舞になる」と警告しています。ビデオでは、AI・ロボットによって失業率は25%に達し、それは必然の成り行きだとしています。とても悲観的な結論であったため、アメリカではかなり議論をよんだようです。

(https://youtu.be/7Pq-S557XQU より)

小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就く

総務省から2015年6月に出された「インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する研究会 報告書2015」では、「ICTインテリジェント化が社会、経済に及ぼす影響」という章の中で、AI・ロボットなどの雇用への影響について言及しています。

「アメリカの小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就く(Cathy N. Davidsonの言葉、New York Times (August 7, 2011))を引用して、新たに出現する仕事は出現して初めてわかるものであり、事前予測が困難であるとしています。一方、代替可能な仕事はある程度見通しが立つとして、事務処理、開発、プロジェクトマネジメントといった定型的な管理業務が代替可能としています。そして15年程度先になると、判断や意思決定、創造的活動等といった領域でも代替できる部分が増え、人間の仕事は生命にかかわるもの、インターフェイスとして重要な営業・接客等、そもそも人間が行うことに価値があるスポーツやアートなどが中心になると予測しています。

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(インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する研究会 報告書2015 より)

 

1件のコメント

  1. こんな仕事がなくなるなんて、とても残念です。10年後・20年後・・・と考えたらね。
    もう私なんか今は51歳ですが、61歳 71歳となると、どうなっているんでしょうか?

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