先進テクノロジーのハイプ・サイクル:2016

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先進テクノロジーのハイプ・サイクル

Gartner社が毎年発表している「先進テクノロジーのハイプ・サイクル(Hype Cycle for Emerging Technologies)」の2016年版(2015年版はこちら)を先ごろ発表しました。和訳されたものはガートナー ジャパン株式会社の2016年8月25日のプレスリリースに掲載されています。(https://www.gartner.co.jp/press/html/pr20160825-01.html)

ハイプ・サイクル(hype cycle)のhypeは誇大広告というような意味があるようで、ある技術の成熟度やビジネスへの貢献度、今後の方向性などを分析してグラフィカルに表現した図との説明がなされます。ガートナーのハイプ・サイクルは2000を超えるテクノロジーを119の分野にグループ化し、前述のようにその成熟度、企業にもたらすメリット、今後の方向性に関する分析情報を図で表しています。そして、先進的な技術が「大きな期待」「幻滅」「最終的な安定普及」といった共通のパターンで定着することから、それぞれの技術がこのハイプ・サイクルのどこに位置するのかを示し、おもに、新技術に対して投資を行うタイミングを判断するための指標として利用されているようです。
ガートナーのハイプ・サイクルが考案されたのは1995年で、以後毎年発表されています。Gartner社の2009年のプレスリリースには、ハイプ・サイクルの指標の見方について日本語で表した図が公開されており、ある段階のテクノロジーがどのような状況にあるのかが具体的にイメージしやすいものとなっています。

hype_cycle_001_R(http://www.gartner.co.jp/press/html/pr20090908-01.html 参照)

また、1995年に初めて発表されたハイプ・サイクル(hype cycle)は下図のように非常にシンプルなもので、10個のテクノロジーしか取り上げてありません。5年後の2000年にはおよそ20個ほどに増えています。

1995年のハイプ・サイクル

hype_cycle_1995_R(出典:ガートナー)

2000年のハイプ・サイクル

hype_cycle_2000_R(出典:ガートナー)

20年以上も続く有名なハイプ・サイクルですが、サイクルと言いながらカーブではないかという批判から、技術発展の速度に基づく時間経過における変化を反映していない、「幻滅」「啓蒙」「期待」といった主観的な用語では技術が実際に今どの状態にあるのかを客観的示すことはできないなど、様々な批判があるようです。他にも、技術が次の段階に移行するための行動展望が提供されない、新技術の開発やマーケティングに実利益をもたらさないといった批判もあるようです。

Hype Cycle for Emerging Technologies, 2016

今年の発表では、テクノロジートレンドとして、透過的で没入感のある体験(没入型の体験)、知覚的なスマートマシン時代、プラットフォーム革命という3つを挙げています。
透過的で没入感のある体験(没入型の体験)での検討すべきテクノロジーとしては、4Dプリンティング、ブレイン・コンピュータ・インタフェース、ヒューマン・オーグメンテーション、立体ホログラフィック・ディスプレイ、アフェクティブ・コンピューティング、コネクテッド・ホーム、ナノチューブ・エレクトロニクス、拡張現実、仮想現実、ジェスチャ・コントロール・デバイスを挙げています。

知覚的なスマート・マシンの時代での検討すべきテクノロジーとしては、スマート・ダスト、機械学習、仮想パーソナル・アシスタント、コグニティブ・エキスパート・アドバイザ、スマート・データ・ディスカバリ、スマート・ワークスペース、会話型ユーザー・インタフェース、スマート・ロボット、商用無人航空機 (ドローン)、自律走行車、自然言語による質疑応答システム、パーソナル・アナリティクス、エンタプライズ・タクソノミ/オントロジ管理、データ・ブローカPaaS (dbrPaaS)、コンテキスト・ブローカリングが挙げられています。

プラットフォームの変革では、人と技術をつなぐまったく新しいビジネスモデルの基盤が構築されつつあるととして、プラットフォーム・ベースのビジネスモデルの作成や、価値創出のための内部と外部のアルゴリズムの活用を目指さなければならないと指摘しています。プラットフォームを実現する主要なテクノロジーとしては、ニューロモーフィック・ハードウェア、量子コンピューティング、ブロックチェーン、IoTプラットフォーム、ソフトウェア・デファインド・セキュリティ、ソフトウェアで定義された何か(SDx)が挙げられています。(https://www.gartner.co.jp/press/html/pr20160825-01.html 参照)

先進テクノロジのハイプ・サイクル:2015年

hype_cycle_2015_R(ガートナー:https://www.gartner.co.jp/press/html/pr20150827-01.html より)

先進テクノロジのハイプ・サイクル:2016年

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(ガートナー:https://www.gartner.co.jp/press/html/pr20160825-01.html より)

2015年と比べて今年の特徴としては、昨年「過度の期待のピーク期」の頂点にあった「モノのインターネット」が消えるとともに、その頂点に「機械学習」「コグニティブ・エキスパート・アドバイザー」などの人工知能関連技術が来たことが一つ上げられそうです。

「モノのインターネット」が登場したのは2011年の発表が最初のようで、そのときは、「黎明期」と「過度の期待のピーク期」の境目当たりでした。

また昨年は黎明期であった「コネクテッドホーム」や「スマートロボット」、今年初めて登場した「ドローン」や「ブロックチェーン」などが「過度の期待のピーク期」に入りつつあるということも特徴として挙がられそうです。

さらに、「3Dプリンティング」の文字が消え、代わりに黎明期として「4Dプリンティング」が登場したことも昨年との違いの一つと言えます。3Dprintingという言葉が登場したのは2007年のようで、その時は「過度の期待のピーク期」に入ったばかりぐらいのところでした。新たに登場した4Dプリンティングは、3Dプリンティングで作る形状が時間や条件などに合わせて変化するという新たな製造技術で、3次元に時間軸が加わって「4D」と表現しています。

 

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