レギュラトリー・サンドボックス

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・新産業構造ビジョンと未来投資戦略2017

2017年5月30日に経済産業省から「新産業構造ビジョン」が発表されました。ニュースリリースには

「IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボットに代表される技術革新によって、あらゆる構造的課題にチャレンジし、解決していく、そしてそれを経済成長にも繋げ、一人ひとりにとって、より豊かな社会を実現することを目的に策定したもの」

とあり、第4次産業革命における日本の新しい産業ビジョンを示したものといえそうです。
この資料には、イノベーションの成果を新たな付加価値の創出に繋げるためには、試⾏錯誤のための社会実証を積み重ねることが不可⽋であるとして⽇本版レギュラトリーサンドボックス等の必要性が示されています。

同じ日、未来投資会議が開かれ、新たな日本の成長戦略である「未来投資戦略2017」の素案が提示されましたが、そこにも「規制のサンドボックス」の創設とあります。ちなみに、規制は英語でRegulatory(レギュラトリー)で、第8回の未来投資会議の資料では、「日本版レギュラトリー・サンドボックス」(参加者や期間を限定することにより、「まずはやってみる」試行錯誤を許容する制度の導入)とあります。

レギュラトリー・サンドボックス(Regulatory sandbox)

最近耳にするようになったレギュラトリー・サンドボックス、日本語では「規制の砂場」ですが、公園で無邪気に何も気にせず遊ぶ子供の様子から、規制やルールを気にとらわれずに試験事業などができる仕組みを指します。英国の金融行為規制機構(FCA)が2014年10月に始めた「Project Innovate」の一環として導入されたのが最初とも言われています。小さな失敗を許容しながら試行錯誤をして革新的なサービスや製品を立ち上げていく仕組みで、「トライアル特例」ということもあるようです。

今では、シンガポール、アブダビ、香港、オーストラリア、マレーシア、台湾などでレギュラトリー・サンドボックスが採用されているそうです。

このレギュラトリー・サンドボックスを日本でも成長戦略の一環として導入しようというようです。政府の考えでは、この制度の実証中は、国は企業に個別指導をする代わりに各業法で定める手続きや規格を満たさなくても罰則は科さず、実証結果は検証されて政策の立案や規制の見直しなどに生かしていこうということのようです。また、特区と違ってレギュラトリー・サンドボックスは対象地域を設けるものではありませんので、企業の展開によっては全国で実証が行われることもあるようです。

先行する事例として「新産業構造ビジョン」では、2016年に⽇⽴と三菱東京UFJがシンガポールにおいて開始した「⼩切⼿の電⼦化」を対象とした技術活⽤の実証実験の事例やイギリスのブロックチェーン技術を活⽤し、⺠間企業の株式を電⼦的に表⽰するプラットフォームを提供し、保有株式の管理、オンライン取引、株式名義変更等を可能する実証などを挙げています。

レギュラトリー・サンドボックスの想定事例

日本で想定されるレギュラトリーサンドボックスの対象としては、次のような事例が「新産業構造ビジョン」に示されています。

① 水素タンクの新材料開発

対象となる制度は対象制度は水素タンクの試作毎に容器検査が必要とする高圧ガス保安法で、この検査を受けることなく、自動車メーカーのテストコース等において、リスクアセスメントを実施し、影響が及ぶプロジェクト参加者や隣接住民等の合意を得た上で、安価な材料を使用した新型水素タンクの試作品についてテスト走行を実施しようというものです。

② つながる家電

対象となる制度は、家電に通信器機を組み込む際の電波障害防止を義務付ける電気用品安全法で、家電にPLCモデム等の通信機器を組み込み、利用者の同意やプライバシーの保護等を確保した上で、宅内データを活用した新サービス創出に繋げるつながる家電の製品化に向けた実証を行おうというものです。高速PLCの屋外・屋内利用を制限している電波法と電気用品安全法が対象として、家電のネットワーク化などを行いやすくするものです。

regulatory_sandbox_001_R(第4次産業革命の推進に向けた経済産業省の取組 平成29年5月12日 世耕大臣提出資料並びに「新産業構造ビジョン」⼀⼈ひとりの、世界の課題を解決する⽇本の未来 平成29年5⽉30⽇ 産業構造審議会 新産業構造部会事務局 より)

この他に。第8回の未来投資会議では、「高速PLCの野外使用により、カメラやセンサー等を利用した安価な防犯・見守りサービス等の新ビジネスの創出」「中小企業の工場において、工場内の既存の電力線を用いることで、生産設備の当のIoTによる生産性向上を低コストで実現」「ブロックチェーンを利用した電子的な記録で再建の発生・譲渡を行うことで、中小企業等の資金調達の円滑化・低コスト化」「政府調達等において、企業の入札参加に必要な登記情報や契約情報などをブロックチェーンにおいて管理することにより、情報を効率化」といったタイトルの事例が示されています。

 

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