マイクロ・モーメント

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マイクロ・モーメント

最近、マイクロ・モーメント(Micro-Moments)という言葉を耳にする機会が増えてきました。グーグルが2015年の春ごろから使いだした言葉のようです。GoogleはMicro-Momentsについて考えるサイトも立ち上げ、Google AdWordsでは「Google と考える Micro-Moments」をシリーズで解説するなど、そのコンセプトの普及を図っているようです。

Micro-Moments – Think with Google(https://www.thinkwithgoogle.com/collections/micromoments.html より)

「~したい」と思う瞬間

マイクロモーメント(Micro-Moments)とは、大雑把に言えば、スマホなどの普及による生活者の行動の変化を表した言葉と言えるかもしれません。一昔前だったら、何か「知りたい」と思うと図書館へ行ったり詳しい人に尋ねたりしました。また、どこかへ「行きたい」と思ったら、旅行雑誌を買って調べたり、旅行代理店に頼んでいろいろ提案してもらったりしました。電気製品がほしいと思えば、電気店をいくつも回って品定めをしました。しかし、そうした行動は、「知りたい」「行きたい」「買いたい」という欲求と直結しているわけではなく、欲求と行動との間には熟慮という時間差がありました。ですから、よく考えたすえ欲求が行動に結びつかなかったり、時と共に欲求が消失するということも多かったように思います。
しかし、スマホの普及によって、こうした行動に変化が起きています。それは、人々が「〜したい」と思った瞬間(moment)、手元ですぐに情報を検索・収集し、直ちにアクションにつながることが増えています。電気製品を買うのに店を回って半日費やすなどということはなく、ほしいと思った瞬間にショッピングサイトへ直行するわけです。
これまでの購買プロセスに大きな影響を与えたこのような人々の行動の変化、つまり、人々が「〜したい」と思った瞬間に、スマートフォンで検索・直ちに行動・購入という変化を「マイクロ・モーメント」という概念で表しているようです。
Googleはマイクロ・モーメントの中でも、特に重要だと考える「~したい」という瞬間は、I want to know(知りたい)、I want to go(行きたい)、I want to do(したい)、I want to buy(買いたい)の4つのモーメントです。

モバイルの普及による変化

内閣府の消費動向調査(2015年3月公表)によれば、スマートフォンの一般世帯普及率は60.6%、タブレット型端末は28.3%です。また、総務省の情報通信白書(平成27年度版)では、平成26年度のスマートフォンの普及率は64.2%、タブレットは26.3%で、インターネット利用端末の種類(平成26年末)は、自宅のパソコンが53.5%に対してスマートフォンは47.1%、タブレット型端末は14.8%となっています。スマートフォンとタブレットの両方を合わせると、Webへのアクセスはすでにモバイル端末の方が多いわけです。

 情報通信端末の世帯保有率の推移

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インターネット利用端末の種類(平成26年末)

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(平成27年度版総務省情報通信白書http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc372110.html より)

 

Google Inside AdWordsにも、次のような報告が載っています。
In fact, more Google searches take place on mobile devices than on computers in 10 countries including the US and Japan.
(実際には、日本とアメリカを含む10カ国において、モバイルデバイスでのGoogle検索が、パソコンでの検索を上回っている。)
(http://adwords.blogspot.jp/2015/05/building-for-next-moment.html より)

こうしたスマホなどの普及によって、次のような変化が起きているとGoogle Inside AdWordsは指摘しています。

 •We’ve seen a 20% increase in mobile’s share of online sessions across the web in the past year.
(ここ1年、Web上においてモバイルによるセッションが20%増加)
•Over the same time period, we’ve seen an 18% decrease in time spent per visit across the web.
(webの訪問の一回あたりの滞在時間は18%減少)
•In the past year, mobile conversion rates have also increased by 29%.
(モバイルでのコンバージョン率が29%増加)
(http://adwords.blogspot.jp/2015/06/new-insights-launched-to-help-marketers.html より)

コンバージョン(※1)の割合が増加するのは当然ではありますが、注目されるのは、セッション数が増加した(高頻度)にもかかわらず、「モバイルでの検索がより短い(滞在時間の減少)」していることです。
このことは、人が「~したい」と思ったとき、すぐにオンライン行動するものの、検索結果と期待するサイトが一致しない場合はすぐにそのサイトから退去する、あるいは、深くサイトを見ないということを意味しているように思われます。

(※1)コンバージョンとは、Webサイトを訪問した人が、サイトのオーナーが設定した「Webサイトの目標」(商品を購入する、会員登録をする、資料を請求する、メールマガジンに登録するなど)を満たす行動をとったことを指す。

直帰率増加と滞在時間減少

こうした人々の行動の変化(マイクロ・モーメント)はWeb担当にとっても悩ましい問題となっています。
マイクロ・モーメントというユーザー行動の変化は、期待と異なるページであれば、すぐに他のサイトへ移動し、期待したサイトであればそのページで満足してすぐに離脱します。満足しようとせまいと滞在時間は短く、直帰率が増加するのです。いつでも、どこでも、思いついたときに検索でき、ほしい情報にたどり着けるため、深くコンテンツを見ないという現象が起きていると想像されるのです。
またECサイトでは、カート放棄率が上昇しているそうです。下図はStatistics Portalに掲載されている「Why do online shoppers leave without paying?(なぜオンライン買い物客が支払うことなく離れていくのか?)」という調査の結果です。一番多いのは「予期していなかったコストが提示された」次が「元々見ていただけ」つぎが「もっと安いものを他の場所で見つけた」となっています。
スマホは消費者の購買意欲を瞬時に満足させるのですが、一方で、短い時間で購買を放棄させるケースも多いのです。
これからは、Web担当者やマーケティング戦略立案者には、こうしたマイクロ・モーメントが偏在する状況にどのように対処すべきかが大きな課題となってくるようです。

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(http://www.statista.com/statistics/232285/reasons-for-online-shopping-cart-abandonment/ より)

(参考)
Google と考える Micro-Moments(http://adwords-ja.blogspot.jp/2015/08/micro-moments1.html)
Micro-Moments – Think with Google(https://www.thinkwithgoogle.com/collections/micromoments.html)

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