プラットフォームビジネス

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プラットフォームビジネス

「プラットフォームビジネス」は、「他のプレイヤー(企業、消費者等)が提供する製品・サービス・情報と一緒になって、はじめて価値を持つ製品・サービスを提供するビジネス」(「進化するプラットフォーム」角川学芸出版:根来達之「プラットフォームビジネスとは」より)のことです。もっと分かりやすく言えば、他人がビジネスを行なうための基盤を提供するビジネスともいえます。

NERAエコノミック コンサルティングから出ている「平成24年度我が国経済構造に関する競争政策的観点からの調査研究(プラットフォーム関連事業に関する理論分析)では、プラットフォームとは、プラットフォームを通じて人・物・情報など、有形・無形の対象物が流通取引される現象に関する語で、プラットフォームは、そうした流通取引に介在する場所という意味で用いられるとしています。そして、経済学では双方向性という概念を用いてプラットフォームが定義されているとして次のように定義しています。

プラットフォームとは以下の3つの条件を満たすもの
1. (2つの利用者グループ):2つの異なる利用者グループがいる。
2. (プラットフォームによる仲介):グループ間の商品、役務、情報等のやりとりのためにはプラットフォームが必要である。
3. (間接ネットワーク効果):各サイドの参加者がプラットフォームへの参加から得る便益は、相手サイドの参加者数に依存している。

(平成24年度我が国経済構造に関する競争政策的観点からの調査研究(プラットフォーム関連事業に関する理論分析)平成25年2月28日 より)

また、双方向性という概念からプラットフォームをその機能と、両側のプラットフォーム利用者のタイプによって、(1)取引仲介型、(2)メディア型、(3)ソフトウェア型及び(4) 決済手段型の4種類に分類しています。

platform_001_r(平成24年度我が国経済構造に関する競争政策的観点からの調査研究(プラットフォーム関連事業に関する理論分析)平成25年2月28日 より)

プラットフォームビジネスにおけるネットワーク効果

ネットワーク効果とは、同じ製品・サービスを利用するユーザーが増えると、それ自体の効用や価値が高まること指しており、その結果として他の同種の製品より優位に立つことができるようになります。プラットフォームビジネスにおいてはこうしたことが働きやすいと言われています。

日本では「楽天市場」がプラットフォームビジネスの例として取り上げられることが多いようでが、楽天自体はモノを売っているわけではなく、「楽天市場」という場に、モノを売りたい小売店をたくさん集め、クチコミを誘発し、その集客力を武器にさらに出店数を増やし、自社ビジネスにつなげるというビジネスです。
「LINE」は、LINEだけでは価値がなく、ユーザー数が多ければ多いほどコミュニケーションの可能性が広がり、LINEの価値が高まります。ユーザー数が増えると広告メディアとしての価値が上がり、「スポンサードスタンプ」などを提供する「広告主」というプレイヤーも増え、さらにコミュニケーションプラットフォームとしてのLINEの価値が上がっていきます。

このような同じ製品・サービスのユーザーが増えれば増えるほど、それぞれのユーザーがその製品・サービス自体から得られる効用や価値が大きくなる「ネットワーク効果」がプラットフォームビジネスには働きやすいといういうわけです。

ティッピング(tipping)

ティッピングとは、日本語では「傾く」という意味ですが、ちょっとしたきっかけや条件で雪崩を打つかのように状況が変わっていくことを指しています。ここでは、ネットワーク効果により、特定のプラットフォームが市場支配力を得る現象を指します。

わかりやすい例としては、ワード対一太郎の争いでワードが勝利したケースや、古いところではVHS対ベータマックスのビデオ規格などです。これらは性能・機能的には大差がなかったように思いますが、ちょっとしたきっかけで一人勝ちになってしまいました。これと同じようなことがプラットフォームビジネスでも起きやすいというわけです。
利用者の利便性が同等の複数のプラットフォーム事業者があった場合、例えば、わずかな宣伝力の差によって、全くプラットフォームの利便性とは違うことをきっかけとしてティッピングが起こることもありえるわけです。

WTA現象

プラットフォームビジネスではネットワーク効果が働き、プラットフォームの価値が高まり、特定の製品・サービスのシェアが高まる現象が起きやすくなると言われています。このことを英語のWinner-Take-Allの頭文字をとってWTA現象(一人勝ち)と呼んでいます。「一人勝ち」とはいうものの、「1社独占」の場合だけでなく、「少数製品の寡占」の場合も含めてとらえる考え方もあるようです。
WTA現象が形成されるメカニズムには、最初に始めたサービスほど優位であるとか、収益モデルの確立したサービスはユーザーを獲得しやすいとか、スイッチングコスト(※1)が低いとWTAメカニズムは弱くなるとか、いろいろ複雑な力が働いているようです。

オープン化

Amazon、Apple、ソニーなどのデジタルコンテンツ端末をプラットフォームとして提供する企業を対象にした早稲田大学 田村泰一 氏の「プラットフォーム戦略とビジネスモデルに関する分析視角─デジタルコンテンツ端末を中心に─」という研究では、プラットフォーム・ビジネスモデルにおいて成功する要件として次の3つを挙げています。

①コンテンツの充実
②状況に応じたビジネスモデルの調整・変革
③オープン化(自前主義からの脱却)

特に3つ目の自前主義からの脱却では、「自前主義に固執していては、グローバル市場におけるスピードについていけず、重要な機会損失を被る危険性が高い」「プラットフォームビジネスで継続的に市場シェアを確保するには、Amazon やApple のように自社の立ち位置を明確にしたオープンなビジネスモデルの構築が求められよう」と述べています。

(※1)スイッチングコストとは、顧客が現在利用している製品・サービスから別会社の製品・サービスに乗り換える際に負担しなければならないコストのことです。

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