ハイプ・サイクル(Hype Cycle)2015

hype_cycle_003_R

ハイプ・サイクル(Hype Cycle)

2015年8月、Gartnerは、2015年版の「Hype Cycle for Emerging Technologies, 2015」(新興技術ハイプ・サイクル2015年版)を公開しました。

ハイプ・サイクルとは、主にIT関連で話題となる新技術の認知度や期待度が、時間経過と共にどのように変化していくかを表した図で、調査会社ガートナーによって考案され、1995年から毎年公表されています。このハイプ・サイクルは、主に、新技術に対して投資を行うタイミングを判断するために指標として利用されています。ガートナー社のリサーチメソドによれば、「ハイプ・サイクルを通じて、新しいテクノロジーをいち早く取り入れるか、中庸なアプローチをとるべきか、テクノロジーが成熟するまで待つべきかといったリスク選好度といった観点から、新しいテクノロジーが持つ可能性を知ることができる」としています。

hype_cycle_002

(https://www.gartner.co.jp/research/methodologies/research_hype.php より)

ハイプ・サイクルの特徴

ハイプ・サイクルは、横軸に時間、縦軸に期待度を示し、時間の経過とともにテクノロジーのライフサイクルを次の5つのフェーズに分けています。

黎明期(Innovation Trigger)

画期的な新しいテクノロジとしての潜在的な可能性への期待から、初期の概念実証 (POC) やメディアの関心によって世間から大きく注目されるようになります。実際に利用できる製品が存在していないことが多く、ビジネス面での真の存続性は証明されていません。

「過度な期待」のピーク期(Peak of Inflated Expectations)

初期の宣伝では、多数の成功事例が報じられますが、多くの失敗事例もあります。この段階で一部の企業は行動を起こしますが、ほとんどの企業は静観しています。

幻滅期(Trough of Disillusionment)

実際の導入が行われないなど、結果が出せないと興味が失われていきます。この段階で、ベンダーの淘汰や消滅が進みます。生き残ったベンダーが製品を改善し、早期採用企業がそれに満足を示した場合にのみ投資が継続されます。

啓蒙活動期(Slope of Enlightenment)

新しいテクノロジが企業にもたらすメリットについての実例が増え、具体化していくとともに理解が広がっていきます。ベンダーから第2世代、第3世代の製品がリリースされます。パイロットに投資する企業の数は増えますが、保守的な企業は依然として静観しています。

生産性の安定期(Plateau of Productivity)

主流の採用が始まり、ベンダーの実行能力を評価する基準がより明確に定義されます。市場に対するテクノロジの広範な適用性と関連性が、明確な見返りをもたらします。

(https://www.gartner.co.jp/research/methodologies/research_hype.php より)

ハイプ・サイクル2015年版(Hype Cycle for Emerging Technologies, 2015)から

2015年版では、112の分野別ハイプ・サイクルを作成し、2000を超える技術を評価しています。

2015年版

 hype_cycle_001

(http://www.gartner.com/newsroom/id/3114217より)

2015年版(訳:キビテク)

 hype_cycle_011

(http://www.gartner.com/newsroom/id/3114217 参照)

2014年版

 hype_cycle_2014_1

(http://www.gartner.co.jp/press/html/pr20130903-01.html より)

2014年版と比較して変わった点としては、昨年まで「過度な期待」のピークより前の段階にあった自律走行車がピークに達し、幻滅期に進もうとしていることが一つ挙げられます。そして、自律走行車が生産性の安定期に入るのは、5~10年後と予測しています。

ガートナーが今回の公表に当たって注目したテクノロジーとして、この自律走行車ともう一つ黎明期を抜けて流行期に入りつつあるコネクテッドホームを挙げています。コネクテッドホームは、昨年からさらに「過度な期待」のピーク期に近づいています。技術的にも、まったく新しいソリューションとプラットフォームが実現されつつあるとし、生産性の安定期に入るのは、5年から10年後と見込んでいます。

今回のハイプ・サイクルに初めて登場したものがいくつもあります。Machine Learning(機械学習)もその一つです。しかし、すでに「過度な期待」のピークをやや過ぎて幻滅期に向かおうとしているとしています。その他に今回加えられたテクノロジとしては、マイクロデータセンター(Micro Data Centers)、ソフトウェアデファインドセキュリティ(Software-Defined Security)、市民向けデータサイエンス(Citizen Data Science)、IoTプラットフォーム(IoT Platform)、self-servide Delivery of Data Analystics(セルフサービス型で結果を取得可能な先進分析)などがあり、昨年は幻滅期であった「ビッグデータ」がなくなったかわりに(?)、Citizen Data Scienceや elf-servide Delivery of Data Analysticsが「過度な期待」のピーク期あるいはそれに近い位置でいきなり登場しています。

また。IOT(モノのインターネット)は、昨年は「過度な期待」のピーク期のピークに向かう途中にあり、生産安定期に入るには10年以上とされていました。今年は、正にピークに達し、生産安定期まで5~10年と縮まっています。今回初めて登場した「IoTプラットフォーム」は黎明期の中間に位置しており、IoTビジネスがさらに加速していくのではないと想像されます。

変わったところでは「暗号通貨」と「暗号通貨取引所」かもしれません。「暗号通貨」は昨年とほぼ同じ位置づけですが、「暗号通貨取引所」は今回初めて登場し、今後2年から5年の間に安定期に入ると予想されています。「暗号通貨」は仮想通貨の一種で日本では“危険な通貨”というイメージで語られることが多いようですが、VISAなどの大手金融機関も独自に研究開発をしているとの話もあります。

2014年版の公表の際のプレス・リリースで、デジタル・ビジネスの発展過程を次のようにステージ1から6に分け、ハイプ・サイクルでは、より新しいテクノロジに焦点を当てているため後半の3つのステージすなわちデジタル・マーケティング、デジタル・ビジネス、オートノマスのステージに属するものと説明していました。

ステージ 1: アナログ

ステージ 2: Web

ステージ 3: E-Business

ステージ 4: デジタル・マーケティング

ステージ 5: デジタル・ビジネス

ステージ 6: オートノマス (自律型)

中でも、人間と同様 (ヒューマンライク) な能力または完全に人間に代わる能力を提供するテクノロジを利用した究極のビジネスであるオートノマスに属するものとして、昨年は仮想パーソナル・アシスタント、ヒューマン・オーグメンテーション、ブレイン・コンピュータ・インタフェース、量子コンピューティング、スマート・ロボット、バイオチップ、スマート・アドバイザ、自律走行車、自然言語による質疑応答システムなどを挙げていました。今年は自律走行車(Autonomous Vehicles)、生物音響センシング(Bioacoustic Sensing)、バイオチップス(Biochips)、ブレインコンピュータインターフェース(Brain-Computer Interface)、デジタル デクステラティ(Digital Dexterity)、ヒューマンオーグメンテーション(Human Augmentation)、機械学習(Machine Learning)、ニューロビジネス(Neurobusiness)、量子コンピューティング(Quantum Computing)、スマートアドバイザー(Smart Advisors)、スマートロボット(Smart Robots)、仮想パーソナルアシスタント(Virtual Personal Assistants)などのテクノロジーが挙げられるのではないでしょうか。

こうしたオートノマス(自律型)でのテクノロジの中には、機械学習のように一部企業の活動に使われつつあるものもあり、とりわけ労働人口の減少が進む日本においては、将来を見越した新たなビジネスの創造に結び付ける積極的な取組みが求められるように思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です