デジタル・カタパルト

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Digital Catapult(デジタル・カタパルト)

イギリスのIoT関連のニュースを見ていると、Digital Catapult(デジタル・カタパルト)という言葉が時々出てきます。新しいところでは、2018年1月25日の「intenet of business」に、Digital CatapultがMachine Intelligence Garageに参加するスタートアップに、デジタル健康のスタートアップCambridge Bio-Augmentation Systemsや自然言語処理のBloomsbury AIなどを選んだことが掲載されていました。。また、2017年12月の「intenet of business」には、Digital Catapultが、現地パートナーの協力を得て、英国に3つのLPWANを設立する計画を発表したと報道していました。

Digital Catapult(デジタル・カタパルト)とは何なのでしょうか?

カタパルト

2010年3月に、ケンブリッジの著名起業家であるハーマン・ハウザーが労働党の委託を受けてまとめた報告書“The Current and Future Role of Technology & Innovation Centres in the UK”及び、掃除機で有名なジェームス・ダイソン氏が保守党の委託を受けてまとめた報告書 “Ingenious Britain: Making the UK the Leading High Tech Exporter in Europe”において、イギリスは世界でもトップクラスの科学研究基盤を有するにもかかわらず、大学における基礎研究と企業における商業化の間の橋渡し機能が不在であり、両社を繋ぐイノベーション機関のネットワークを構築する必要性が指摘されました。こうした指摘を受けて、イノベーション創出の枠組みとして出されたのがドイツのフラウンホーファー研究機構をモデルとした「カタパルト構想」で、Innorate UK(当時はTSB)によって、全国に産学連携の研究拠点となる「カタパルト」の設置が進められています。

当初は高付加価値製造、細胞治療、洋上再生エネルギー、人口衛星応用、デジタル、未来都市、輸送システムの7分野が設立されました。平成28年度版情報通信白書では、2016年5月現在で11分野のカタパルトが設立されているようです。2030年までには30分野にまで広げるようです。ちなみにカタパルトとは、航空母艦から航空機を射出するための機械や宇宙船やロボットなどを射出する装置、動力付き発射台などで、日本語では射出機とも呼ばれるものです。

デジタル・カタパルト(Digital Catapult)はそうしたいくつもあるカタパルトの中のデジタル分野のカタパルトで、カタパルトの中では最も規模が大きいそうです。2014年11月にロンドンのキングスクロス地区に事務所が開設されました。

catapult_001_R(JST 海外調査報告「英国の科学技術情勢」https://www.jst.go.jp/crds/report/report10/GB20151101.html より)

デジタル・カタパルトの技術分野

デジタル・カタパルトには①Data-Driven(ブロックチェーンとスマートコントラクトのアプリケーション、サイバーセキュリティを含むビッグデータ、パーソナル・データ、クローズド・データなど)、②Connected(IoTと低電力の広域ネットワーク、5Gなど)、③Intelligent(人工知能と機械学習)、④Immersive(AR/VR、ハプティクス、新たなヒューマンマシンインターフェース)などの4つの技術分野があります。

そしてこれらの技術を、2つのコア市場分野と1つの開発分野で応用し、イノベーションを生み出す戦略的セグメントとして、①Digital Manufacturing(デジタル製造:デジタル技術の採用を加速して生産性を向上させ、英国製造における新しい価値の創造。生産プロセス、サプライチェーンおよび製品のライフサイクルにおけるデジタル技術の採用)②Creative Industries(クリエイティブ産業:特に、没入型の体験のためのコンテンツとアプリケーションを作成、ブロックチェーンやスマートコントラクトなど)、③Digital Health and Care(デジタルヘルスケア:デジタル技術を通じて人々がより長く、より幸せで健康的な生活を送ることを可能にする)の3 つの分野を挙げています

catapult_002_R(DRIVING THE UK ECONOMY THROUGH DIGITAL INNOVATION FEBRUARY 2017  https://www.digitalcatapultcentre.org.uk/wp-content/uploads/2017/03/Digital-Catapult-Full-Strategy-feb-2017-1.pdf 参照)

デジタル・カタパルトのWebサイトの「Get Involved」を見ると、「Pit stop」とあります。これは大企業向けスタートアップのスカウティング・マッチング支援です。それから「Business Briefings」とあります。ロンドンの本部のビジネスブリーフィングに参加して、Digital Catapultの詳細を知り、同じ考えを持つ人々に会い、自分たちが何をしているのかを知り、関わっていく方法を見つけ出すスタートアップ支援です。助成金や支援制度窓の情報、The Copyright Hubに参画する組織や企業の知的財産権や著作権の無償利用などのサービスを受けることができるそうです。

(DRIVING THE UK ECONOMY THROUGH DIGITAL INNOVATION FEBRUARY 2017  https://www.digitalcatapultcentre.org.uk/wp-content/uploads/2017/03/Digital-Catapult-Full-Strategy-feb-2017-1.pdf 参照)

(オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC:Japan Open Innovation Council)オープンイノベーションに関する調査レポート1 主要国のイノベーション・エコシステムの概要 https://www.joic.jp/files/report_4-2_london_UK.pdf 参照)

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