インシュアテック(Insurtech)

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Insurtechとは

インシュアテックは保険(Insurance)とTechを合わせた造語で、データ解析やAIなど先進テクノロジーを活用した新しい保険ビジネスモデルです。PwCは「インシェアテックとは、フィンテックのサブセグメントの一つであり、保険業界の既存の課題や機会にこたえていくものである」と述べています。また、経済産業省の「FinTech の課題と今後の⽅向性に関する検討会合 報告」では「保険分野における FinTech」というように説明しています。もっと具体的に、「運転技術、生活習慣等の条件の変化に応じた、保険料の細分化・柔軟化」といった説明もあります。

Fintech100

Insurtechは、海外では2014年ぐらいから注目されてきたようです。
KPMGと豪ベンチャー・キャピタルのH2 Venturesが発表した2015年の「Fintech100」において、中国の衆安保険(Zhong An)が首位となりましたが、衆安保険は、2013 年に設立された、中国初のネット専業の損害保険会社です。2 位のOscarも保険事業です。2015年のFintech100には7社の保険会社が選出されていますが、2014年には保険が社は全く選出されていませんでした。

2016年の「Fintech100」ではOscarが3位に、衆安保険は5位にランクインしています。また10位のJDファイナンス(中国)は、保険サービスも取り扱っています。

その他に2016年の報告書の中のInsurtech関連の企業は、22位に「Collective Health(アメリカ)」、36位に「League(カナダ)」、39位に「PINTEC(中国)」、44位に「Policybazaar(インド)」、48位に「Knip(スイス)」、50位以下には「Anivo(スイス)」「Bluzelle(シンガポール)」「Compara Online(チリ)」「Doreming(イギリス)」「Fluo(フランス)」「Lemonade.com(アメリカ)」「North Side(カナダ)」「OSeven Telematics(イギリス)」「PAIR Finance(フランス)」などが入っています。

カテゴリーがInsurtechとされている企業は17社あります。2014年は0社。2015年は7社ですから、ここ数年で急に成長している分野といえるかもしれません。
ちなみに2015年及び2016年のFintech100の上位10社は次の通りです。

〇 2015年

1 ZhongAn 中国、2 Oscar アメリカ、3 Wealthfront アメリカ、4 Qufenqi 中国、5 Funding Circle イギリス、6 Kreditech ドイツ、7 Avant アメリカ、8 Atom Bank イギリス、9 Klarna スウェーデン、10 OurCrowd イスラエル

〇 2016年

1 Ant Financial中国、2 Qudian中国、3 Oscarアメリカ、4 Lufax中国、5 ZhongAn中国、6 Atom Bank イギリス、7 Kreditech ドイツ、8 Avantアメリカ、8 Sofiアメリカ、9 JD Finance 中国
(「2016 FINTECH100」「2015 FINTECH100」KPMG 参照)

Insurtechの事例

〇 テレマック保険

現在Insurtechで最も進んでいるのは自動車保険で、自動車運転技術の計測結果をもとにしたいわゆるテレマティクス保険です。

ソニー損保の「やさしい運転キャッシュバック型」では、車に取り付けた測定器のデータ(ブレーキを踏む回数やタイミング、前の車との車間距離や、一時停止後の再発進のタイミング、交通標識を認識するタイミングなど)により、走行の安全性を運転のスムーズさで数値化し、例えば急ブレーキ・急発進が少ないといった場合にスコアが高くなり、保険料が安くなるというものです。

〇 レモネード社の家財保険

家財保険は、日本では火災保険や地震保険の枠の中で定着していますが、レモネード社の家財を対象とした損害保険は、通常の保険で行われている建築士などの専門家の診断に基づく壊れ方の判定から保険金を確定するということが、人工知能を使ってスマートフォンで行うというものです。保険金の支給が早く、人的コストが少ないため保険料が安く、手続きも簡単というスピーディな保険となっています。

〇 マイクロ保険

自分の所有物に一定の期間だけ保険を掛けるというもので、通常の保険でも旅行の期間だけやレクリエーションの間だけを対象とした医療保険はありますが、それをカメラやパソコン、宝石、スポーツ用具などの家財に拡張したものです。
例えば、車を借りる2時間だけの車を保険に登録する、あるいは旅行の間だけのスーツケースを保険に登録して、使用頻度等に応じて保険料を産出するというものです。加入手続きはスマホアプリを使って数分で完了するようです。

Trov社の場合、保険をかけたい商品のメーカー名や型番、ユーザーの情報を入力し、保険をかけたい期間を選択するだけで完了し、保険をかけた商品が盗難にあったり破損した場合の手続きはチャットボットでやり取りをすれば完了するというものです。

将来的には、IoTデバイスによって商品の状態が自動的に把握されて、外出している時間帯だけ自動的に保険に入るなどといったことが可能になるかもしれません。

〇 コミュニティ型保険サービス

Bought by Manyは、保険商品案をサイト上に提示し、ユーザが加入意思を表明して一定数以上の賛同者が集まると保険会社に商品化を交渉するというものです。既存の保険商品ではカバーされないリスクヘッジニーズに対応したもので、ペット保険、旅行保険、車・バイク保険、ガジェット保険、健康保険、ビジネス保険、スポーツ保険、家庭保険と8つのカテゴリーがあります。同社のそうした保険で有名なものに他の犬と比べて風邪を引きやすいバグ犬のためのペット保険があります。

〇 その他

Oscar Healthは契約者にリストバンド型のウェアラブルデバイスを無料で配布し、病気予防のための運動の達成上記に応じて報奨金が支払われる保険を商品化しています。

住友生命保険は腕時計型のウエアラブル端末などを使い、健康状態が良くなったり、体に良い取り組み(スポーツジムに通う、スーパーで野菜を買うなど)をしたりすると保険料が安くなる保険の商品化をめざしています。

第一生命は「ワトソン」を使い、糖尿病患者向けに、治療プログラムと合わせた保険商品の開発などをめざしています。カルテや健康診断の結果などのビッグデータを、AIで分析し、症状の段階に応じて保険に加入できるようにしようというものです。

こうしたInsurtechについては、例えば、遺伝子解析技術の向上により、先天的に罹患しやすい疾患を持つ人は保険料が割高になったり、運転技術の衰えた高齢者などの保険料が今まで以上に高くなったり、場合によってはそうした人たちが保険そのものに加入できないということが生じるのではないかとかということを危惧する声もあります。

 

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