フィルター・バブル(その2)

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フィルター・バブル(その2)

DuckDuckGo利用者の増加

2018年10月5日付けFoebesの記事に、検索エンジンの「DuckDuckGo(DDG)」の一日あたりの検索回数が、昨年から50%増加の3000万件に達したとありました。また、DuckDuckGoの2019年1月3日の公式Twitterには、昨年の検索回数が90億を突破したとあります。

DuckDuckGoは、アメリのペンシルベニア州パオリに本社を置くDuckDuckGo, Inc.が提供する検索エンジンで、プライバシーの保護とユーザーの情報を収集しないことを重視しています。広告のターゲティングのためにユーザーを追跡したり、好みなどを調べたりということはしません。ユーザーの情報を収集して、インターネット広告における広告流通などに活用するAdTech(アドテック)ビジネスに利用するということもしません。誰が使っても検索結果は同じ内容になるとしています。

DuckDuckGoは、主要な検索エンジンが、パーソナライズドフィルターにより、利用者の好みや行動特性にあった情報を表示することによる「フィルターバブル(filter bubble)」を回避することができるとしています。そうしたことから利用者が増えてきているのかもしれません。

フィルターバブル(filter bubble)とは、バイラルニュースサイト「アップワージー(Upworth)」のCEOであるイーライ・パリサー氏が2011年の著書『The Filter Bubble』で使った言葉で、情報の個人化技術(パーソナライズ)が過度に行われることで、情報の偏り(自分が賛同できる意見や考え)や範囲の縮小(一方的な視点による情報)が起こる現象で、それによって、ユーザーが多様な意見や視点に接する機会が失われ、情報のタコツボ化につながるとするものです。

filter_bubble2019_1_Rhttps://duckduckgo.com/traffic より)
https://twitter.com/duckduckgo より)

「DuckDuckGO」の調査

DuckDuckGOは、2018年6月に実施したフィルターバブルに関する調査の結果を2018年12月に発表しました。「Measuring the “Filter Bubble:・・・」という表題でWeb上に詳細が記されています。(https://spreadprivacy.com/google-filter-bubble-study/ 参照)

調査は、「Gun Control(銃規制)」「Immigration(移民)」「Vaccinations(ワクチン接種)」の順で、Googleアカウントにログインしない状態とログインした状態で検索するというものです。デスクトップで76、モバイルで11の合計87の検索を実施したところ、時間と場所が同じ条件下であってもまったく異なる検索結果が得られたということから、アカウントにログインしていない状態であっても検索結果がパーソナライズされており、「フィルターバブル」が生じるというのです。

もちろんこの調査結果には異論もあります。調査そのものがパーソナライズされているという前提で行われている、ニュース性の高いトピックは分単位、秒単位で変化するため検索結果も同一になるとは限らない、実験の参加者が少なく、実験方法も参加者が自分で撮影した検索結果のスクリーンショットを送っているといった反論もあるようです。

プライバシー保護を重視した検索エンジンの事例

DuckDuckGOのようにユーザーデータの収集やフィルタリング、行動ターゲッティング広告を行わないプライバシー重視の検索エンジンとしては、Mojeek、Qwant、 Unbubble、Swisscows、YaCy、StartPage、Gibiru、Peekier、searXなどが知られています。

その中のいくつかを紹介すると、例えば、ドイツのUnbubbleなどは、まさにその名前からして検索バブルの破裂を表しています。サイトには、さまざまな検索結果にアクセスし、バランスのとれた情報源を優先すると記されています。

filter_bubble2019_2_Rhttps://www.unbubble.eu/ より)

Qwantは、フランス国民議会とフランス陸軍省などがGoogleの代わりとして使用しているフランスの検索エンジンです。Associated Press社の”European privacy search engines aim to challenge Google”という記事によれば、毎月の訪問数は8000万回、リクエスト数は20パーセント増加しており、フランスの検索エンジン市場シェアの6%を占めているとのことです。そして、クッキーやプロファイルユーザーを追跡していないため、ユーザーには全く同じ結果が得られとあります。

filter_bubble2019_3_Rhttps://www.qwant.com/ より)

Swisscowsは2014年にスイスのHulbee AGによって開発された検索エンジンです。文脈に従って答えを提供するセマンティックエンジンで、サイトはIPアドレス 、クッキー、検索要求を保存することはなく、また、暴力的またはポルノ的なコンテンツを提供しない子供や青年に配慮したものとなっています。

filter_bubble2019_4_Rhttps://swisscows.ch/ より)

Gibiruは、Webサイトに「最も包括的な無修正匿名検索エンジン」とあり、デバイスにクッキーを設定しません。検索クエリは保存せず、検索数秒後には破棄されるそうです。

filter_bubble2019_5_Rhttps://gibiru.com/ より)

 

searxはユーザーのIPアドレスまたは検索履歴を残さず、また、トラッキングクッキーはブロックされるなど、個人情報の漏洩に配慮されたメタサーチエンジンです。日本語で利用することができます。

filter_bubble2019_6_Rhttps://searx.me/ より)

 

ヨーロッパのプライバシー規制などによって、こうしたプライバシー保護を重視した検索エンジンが成長しているといっても、まだ、そのシェアは小さいようです。Net ApplicationsのSearch Engine Market Shareを見ると、Desktopでは、Google の約74%に対して、DuckDuckGoで0.25%、Qwantが0.03%となっています。

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