RegTech(レギュテック)

1026160_R

規制とテクノロジー

RegTechを「Regulatory Technology」と表記することもあるようです。アメリカやイギリスを中心に2015年頃より使われ始めた用語とのことですが、2015年3月に公表されたイギリスの科学庁の「FinTech Futures The UK as a World Leader in Financial Technologies」に、すでに登場しています。

RegTech はFinTechやEdTechと同じように、ある領域とテクノロジーを掛け合わせた造語で、この場合は「Regulation(規制)」と「Technology(技術)」からなります。

RegTechの定義?

規制とテクノロジーの融合とは分かりにくい用語です。どんな技術なのでしょうか?前述の、「FinTech Futures The UK as a World Leader in Financial Technologies」の勧告9の中に次のように記されています。

FinTechは規制とコンプライアンスに適用される可能性を秘めており、金融規制やレポーティングをより透明かつ効率的かつ効果的に行うことができ、規制技術の新しいメカニズムである「RegTech」を作り出しています。

(「FinTech Futures The UK as a World Leader in Financial Technologies https://bravenewcoin.com/assets/Industry-Reports-2015/UK-Gov-Fintech-Futures.pdf より」

RegTechは規制の要件にテクノロジーで対応するということなるようですが、平成29年6月に発表された「未来投資戦略2017―Society 5.0 の実現に向けた改革―」の中では次のように述べています。

オープンAPI やブロックチェーン技術等を活用して、官民が効果的・効率的に規制監督に係る対応を行う「RegTech」

(未来投資戦略2017―Society 5.0 の実現に向けた改革― より)

The Institute of International Finance(国際金融協会)のWebサイトには

より効果的かつ効率的に規制およびコンプライアンスの負担を解決するための新技術の使用

https://www.iif.com/topics/regtech より)

とあります。

IPA(情報処理推進機構)の「ニューヨークだより2017 年4 月 米国のフィンテックにおける人工知能の活用 (フィンテック AI)の現状と課題」では、

RegTech(レグテック)は・・・、新たなIT 技術を活用して複雑化・高度化が進む金融規制に対応する金融ITソリューションを指す

https://www.ipa.go.jp/files/000059240.pdf

とあります。

イギリスのFCA(Financial Conduct Authority)が2016年7月に発表した「Call for input on supporting the development and adopters of RegTech」では、次のように述べています。

RegTechは、FinTechの一部であり、既存の機能よりも効率的かつ効果的に規制要件の提供を容易にする技術に重点を置いています。

https://www.fca.org.uk/publication/feedback/fs-16-04.pdf より)

表現は多少違いがありますが、具体的には、ブロックチェーンやAI、ビッグ データ解析などのテクノロジーを活用して、事業者に課せられる複雑化・高度化した様々な規制への対応を行い遵守していく仕組みのようです。とりわけ金融機関においては、取り巻く規制は厳しく複雑であり、また国境を越えて行う取引、いわゆるクロスボーダー取引をなどへの対応が求められることから、金融分野において有効であるとされています。そのためFinTechの一部としてとらえられることが多いようです。しかし、FinTechの領域に限定したものではなく、製造、サービス、流通などにおいても申請、許諾、監査、コンプライアンス順守などのプロセスに対応するテクノロジーであるとのことです。

RegTechの特徴

国際金融協会(IIF:The Institute of International Finance)の「REGTECH IN FINANCIAL SERVICES: TECHNOLOGY SOLUTIONS FOR COMPLIANCE AND REPORTING」によると、RegTechは以下の課題に有効に機能するとしています。

1 資産と流動性の報告とストレステストに必要とされるリスクデータの収集

2 ストレステストとリスク管理に必要とされるモデリングやシナリオ分析と予測

3 支払い取引のリアルタイムでのモニタリング

4 顧客及び法人の指紋や虹彩スキャンなどの自動化された識別ソリューションの使用による認証

5 金融機関の社内文化や行動のモニタリングによるコンプライアンスの向上

6 金融取引での様々な規制業務の自動化によるコンプライアンスの確保と取引のスピードの向上

7 新しい規制の特定と意味の解釈による早期影響把握

https://www.iif.com/system/files/regtech_in_financial_services_-_solutions_for_compliance_and_reporting.pdfM より)

金融規制を順守するのを支援するためにRegTechで活用される技術あるいはその可能性がある技術として次のものを挙げています。

1 マシンラーニング・ロボット・AI(非構造データ、音声・メール・PDFなどの大量のデータを整理し分析することができる。)

2 暗号化(金融機関内でのデータの安全性、迅速性、効率性、効率性の向上。他の金融機関、顧客および監督者とのデータ共有)

3 バイオメトリクス(クライアント識別を自動化することで、効率とセキュリティの大幅な向上を実現)

4 ブロックチェーン その他の分散型台帳(効率的な取引プラットフォーム、支払いシステム情報共有メカニズムの開発の可能性。バイオメトリクスと組み合わせによるとで、良い信頼性の高いKYC(Know-Your-Customer)チェックが可能)

5 API(Application programming interfaces)(例えば、規制当局へのデータの自動報告を可能にする)

6 ユーティリティ共有とクラウドアプリケーション(コンプライアンス機能の一部を1つのプラットフォームにプールすることができ、効率性が向上)

https://www.iif.com/system/files/regtech_in_financial_services_-_solutions_for_compliance_and_reporting.pdf より)

RegTechの事例

〇 Onfido

イギリスの会社で、機械学習を活用した本人確認や犯罪霊歴などのチェックを自動で行うサービスを金融機関などに提供しています。Onfido社の顧客は、世界で1000社を超えているそうです。

〇 Trunomi

2014年設立のイギリスの会社です。顧客自身が入力・管理する顧客情報を複数の金融機関で使えるようにすることを可能にするサービスを提供しています。

〇 Behavox

2014年設立のイギリスのスタートアップです。従業員の行動把握の精度を向上させ、コンダクトリスク管理の高度化を支援するサービスを提供しています。

〇 Credit Benchmar

イギリスの会社で、国際大手銀行から収集したデータを基に、債務不履行の確率(PD)やデフォルト時損失率(LDG)を含むリスク要因を測定します。

〇 Kompli

イギリスのKompli社は、マネーロンダリングなどのリスクを軽減するサービスを提供しています。

〇 Vizor Software

アイルランドのVizor Software社は、中央銀行や金融規制当局に対して、ライセンス申請、ペナルティの管理、検査手続き、リスク分析などさまざまな機能をWebベースでポータルサイトを提供しています。30を超える国と地域で採用されているそうです。

〇 Convercent

アメリカのConvercent社は、企業のコンプライアンスリスクを標準化・優先度付けし、経営層やリスク統括部門が集中的に管理できるようにしたり、重要な施策における従業員の理解度を測定したりするなどの統合的なコンプライアンス管理のプラットフォームを提供しています。

〇 LegalZoom及びStartup Documents

アメリカの会社で、会社設立に係る法的な手続きや必要書類の作成などの代行サービスを提供しています。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です