PDS・情報銀行・データ取引市場

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データ流通・活用環境の整備

2017年2月24日に、多種多様かつ大量のデータを安全・安心に流通・利活用できる環境整備について検討を行っている政府の作業チーム「データ流通環境整備検討会 AI、IoT時代におけるデータ活用ワーキンググループ」の9回目の会合が行われ、中間のとりまとめ(案)が示されました。
報告書は、データを「個人情報を含むデータ」、「匿名加工されたデータ」、「個人に関わらないデータ(IoT 機器からのセンシングデータ等)」の3つに分類し、諸外国においてデータを活用したビジネス・サービスの高度化に向けた取り組みが進展しいる中で、国内のデータ活用が困難な状況が続けば、AI の開発・活用にも支障をきたすなど、国際的な競争の観点からも、データ流通・活用環境を整備することが急務であると述べています。

データ流通・活用の課題

日本におけるデータの流通・活用の課題として、データ流通のエコシステム全体におけるセキュリティ確保の他、国民・消費者の視点から「自らのデータを把握・制御できない不安」「便益を実感できない又は享受できない恐れがあることに対する不満や不公平感」「データ互換性等の技術的課題」、事業者の視点から「国民・消費者などが抱く不安や風評リスクなどによるデータ活用への躊躇」「個人情報保護の規律適用(異なる規律の調整)」「API開放・互換性の確保等の技術的課題」などを挙げています。
その上で、こうした課題を解決し、データの円滑な流通を実現するためには、PDS、情報銀行、データ取引市場(※1)が有効であり、また、パーソナルデータにおいてはデータポータビリティ(※2)が重要な機能であると述べています。
報告書は、データ流通・活用のユースケースとして「観光」「金融・フィンティック」「医療・介護・ヘルスケア」「人材」「農業」「防災減災」の6つの分野を具体的に示し、そして、データ流通・活用によるメリットを国民・消費者が実感できるように努めることが必要としています。

(※1)PDS・情報銀行・データ取引市場
PDSとは「Personal Data Store」の頭文字をとったもので、個人が自らデータを蓄積・管理し、他者と ⾃由に共有して活⽤する仕組みです。その運用形態には分散型と集中型があります。

Information_bank_2017_001_R(データ流通環境整備検討会 AI、IoT時代におけるデータ活用ワーキンググループ 中間とりまとめ(案) 平成29年2月 データ流通環境整備検討会 AI、IoT時代におけるデータ活用ワーキンググループ よりhttp://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/data_ryutsuseibi/detakatsuyo_wg_dai9/siryou1.pdf より)

情報銀行とは、個人のデータを管理するとともに、個人の許可に基づき個人に代わって企業等の第三者に貸し出すもので、本人にはデータの提供・活用に関する便益が還元されます。

Information_bank_2017_002_R(データ流通環境整備検討会 AI、IoT時代におけるデータ活用ワーキンググループ 中間とりまとめ(案) 平成29年2月 データ流通環境整備検討会 AI、IoT時代におけるデータ活用ワーキンググループ よりhttp://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/data_ryutsuseibi/detakatsuyo_wg_dai9/siryou1.pdf より)

データ取引市場とは、蓄積・解析した各種データの保有者と当該データの活用希望者を仲介し、取引を可能とする仕組みです。

(※2)ポータビリティ(portability)は持ち運びできるという意味ですが、携帯電話の番号をそのまま持ってキャリアを変更するナンバーポータビリティのように、個人のデータを持ち運びする、つまり、データを手元に置き、個人の選択でデータをさまざまに流用するというものです。

推奨指針

報告書の巻末には「別紙」として「PDS、情報銀行、データ取引市場の事業を営む者等が取り組むことが望ましい事項(推奨指針)」を載せています。これは「情報銀行」を民間企業が創設する際の指針となるもので、(1)セキュリティ(2)データの標準化、互換性の確保、データに関する権限の扱い(3)苦情・紛争処理手段(4)データ流通・活用に関する透明性の確保(5)トレーサビリティ(※3)、データポータビリティ、データ削除の確保(6)適正な業務遂行の確保(7)国民が自らのデータを管理することについての普及・啓発・教育(8)流通するデータの正確性、質の高いデータを流通させる必要性の8項目からなります。
「データ流通・活用に関する透明性の確保」といのうは、個人情報を預ける利用者に対し、事前に情報の提供先や目的を明示するといったようなことです。「トレーサビリティ、データポータビリティ、データ削除の確保」というのは、情報の利用状況がいつでも確認でき、必要に応じて情報の提供を停止したり、削除したり、他の業者に移転したりすることができる仕組みです。また、「苦情・紛争処理手段」というのは、トラブルが起きた際に「情報銀行」が窓口となって対応するといったことです。「適正な業務遂行の確保」とは、第三者による適正な業務遂行を消費者に対して保証する仕組みです。

(※3)流通分野では、物品の生産から消費、最終の廃棄の段階まで追跡可能性を指します。

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