データセントリック

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データセントリック(Data Centric)

Centricは中心という意味です。データセントリックは「データセントリック科学」「データセントリック社会」「データセントリックネットワーク」「データセントリックシステム」「データセントリックアーキテクチャー」「データセントリック技術」・・・といった使い方がされています。

文部科学省の用語解説には「データセントリック科学」があり、そこには

「大量の実データを収集して主として計算機上で解析を行い、それを活用することにより、何が起きているのかを解明し、また、新しい研究を開拓・推進する科学」。(文部科学省 用語解説 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/attach/1256592.htm より)

と解説していあります。

産業構造審議会 商務流通情報分科会 情報経済小委員会 分散戦略ワーキンググループの資料には「データセントリック社会」という用語が出てきます。資料では「データ・セントリック社会」について、データ中心のアーキテクチャーへの変化が加速する可能性、データの物理的な「場所」自体は意味を失う可能性、データの「仮想化」、ブロックチェーン技術を用いて管理がされたデータ・セントリックなIT構造を挙げています。
(オープンなデータ流通構造に向けた環境整備 平成28年7月27日 経済産業省 商務情報政策局 http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/shojo/johokeizai/bunsan_senryaku_wg/pdf/006_02_00.pdf 参照)

2015年7月のIBMのニュースリリースには「データセントリックシステム」ということが書かれています。データの演算よりもデータの移動に時間や電力使っている現在のシステムを、データの移動を最小限にし、データの近傍で演算する設計にすることで高速化や省電力化を図ろうというものです。
(http://www-03.ibm.com/press/jp/ja/pressrelease/48407.wss 参照)

独立行政法人 情報通信研究機構 新世代ネットワーク研究開発戦略推進室の「New-Generation Network R&D Project」には、端末をつなぐネットワークからコンテンツをつなぐネットワークへとして、「データセントリックネットワーク」を、

「つなぐ機能を今以上に進化させ、データを中心としたネットワーキング技術とその応用技術の研究・開発を行い、新たなネットワークパラダイムを実現するもの」(New-Generation Network R&D Project  https://www.nict.go.jp/nrh/nwgn/4otfsk0000024a35-att/NWGN-RD-Project-Pamphlet-V1-2010.pdf 参照)

と説明しています。

2017年7月に総務省から「将来のネットワークインフラに関する研究会」報告書が公表されました。その中には「データセントリック技術」という語が重要なキーワードとして何度も出てきます。報告書では

コンテンツ流通に最適化したルーティング技術等によってネットワークの負荷を低減し、大容量コンテンツを効率的に配信するための技術・・・
と記されています。
(将来のネットワークインフラに 関する研究会 報告書 ~ 未来社会を支えるペタビット級ネットワーク ~ 平成29年7月 http://www.soumu.go.jp/main_content/000496762.pd より)

ネットワーク制御の高度化のためのデータセントリック技術

この前述の研究会は、2020 年から2030 年頃までを想定して、ICTを最大限に活用する社会を支えるネットワークインフラを実現するための技術課題、推進方策等の検討を行ってきました。

報告書では、2030年までに求められるネットワークインフラの主な要求条件として、光ファイバ1本当たりの伝送速度100Tbps超の大容量、1ビット伝送当たり現在の10分の1以下の省電力化、数ミリ秒程度の超低遅延、サービスに合ったネットワークを迅速に提供する柔軟性・高弾力性、ネットワークを全体で効率的に活用する高効率データ流通、利用者にとって安心・安全な通信環境を実現する安全性・信頼性の6つの条件を挙げています。そして、将来にわたり安定的なネットワークインフラを実現・運用するための技術課題として「ネットワークの高速化」と「ネットワーク制御の高度化」をあげ、「ネットワークの高速化」を実現するための技術としては①光伝送技術(コア)」及び「②光伝送技術(アクセス)」を、「ネットワーク制御の高度化」を実現するための技術としては、「③ネットワークスライシング技術」、「④エッジコンピューティング技術」、「⑤データセントリック技術」及び「⑥自動オペレーション技術(AI による保守・運用技術)」を挙げています。

data_centric_001_R(将来のネットワークインフラに 関する研究会 報告書 ~ 未来社会を支えるペタビット級ネットワーク ~ 平成29年7月 http://www.soumu.go.jp/main_content/000496762.pd より)

データセントリック技術

報告書では、高精細映像の配信等など、映像系サービスに対するトラヒック占有率の大幅な増加が見込まれており、コアネットワークへの負荷が過大にならないよう効率的にトラヒックを収容する新しい技術が必要として以下のことを挙げています。
一つは、「データセントリックネットワーク」の実現に向けたICN/CCN等のデータセントリック技術の開発です。二つ目は、エッジコンピューティング技術との連携によってトラヒックの地域分散処理と通信の高品質化です。

data_centric_002_R(将来のネットワークインフラに 関する研究会 報告書 ~ 未来社会を支えるペタビット級ネットワーク ~ 平成29年7月 http://www.soumu.go.jp/main_content/000496762.pd より)

ICN/CCN

報告書では、ICN/CCN等のデータセントリック技術の開発を求めています。ICN/CCNとは何なのでしょうか?

ICNはInformation-Centric Networkingの頭文字をとったもので、現在のIPアドレスベースの通信に代わる次世代ネットワークとして研究開発が進められています。「情報(コンテンツ)」を識別子として通信する技術で、近年の動画や音楽など情報の配信・流通システムへとインターネットが変化してきており、こうしたインターネットの利用形態に適したネットワーク技術として注目されています。

IPアドレスのようなノードの識別子を必要とせず、コンテンツ名を指定することで、より近くのルーターからもコンテンツを取得できるようにしようというものです。ICNではサーバではなくコンテンツ名でネットワーク機能が動作します。従って、セキュリティ機能もサーバではなくデータそのものに組み込むことが考えられています。

ではCCNとは何なのでしょうか?
ICNとしてはさまざまなものが提案されていていますが、その一つがCCN(Content Centric Network)です。ゼロック社の研究所である PARC(Palo Alto Research Center)が提案し、開発を進めているものです。
PARCの2012年のニュースには、「次世代のインターネット? Content Centric Networkingと呼ばれるPARCのビジョン」というタイトルで、「・・・・インターネットは、アドレスをベースに構築されたネットワークとしては大きくなりすぎた、TCP/IPを使うのをやめ、データのネーミング・保存・伝送という全く新しいアプローチからやり直す時期が迫っている・・・・CCNと呼ばれる方法で、PARCで最も力を入れているプロジェクトです」とあります。(http://www.parc.com/jp/newsroom/news.html?page=2 参照)

CCN では,コンテンツ所有者をPublisher、コンテンツ受信者をConsumerと呼びPublisherとConsumerがコンテンツ名を用いて通信を行います。Consumer がInterestと呼ばれるコンテンツ要求メッセージを送信すると、それを受け取ったルータが、要求されたコンテンツをキャッシュしていればDataパケットに情報を入れて返送します。キャッシュしていなければ近隣のルータにInterestが転送され、キャッシュしているルータが存在しなければ、コンテンツ所有者Publisherまで転送されます。

CCNの他にも、UCLAを中心としてNSF(National Science Foundation)から資金を得て運営されているNDN(Named DataNetwork)、欧州のFramework Program 7というプロジェクトとして進められたPURSUIT(Pursuing a Pub/Sub Internet)、NetInf(Network of Information)というプロジェクトなどがあります。その他にもSAIL(Scalable & Adaptive Internet Solutions)、DONA((Data-Oriented Network Architecture)、COMET(COntent Mediator architecture for content-aware nETwork)というプロジェクトもあるようですが、活動が中断していたり、プロジェクトの名称が変更したりしたものなどがあるようです。

 

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