デジタルクローン

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デジタルクローン

以前、NHKスペシャル「NEXT WORLD 私たちの未来」という番組でデジタルクローンが取り上げられ、人生の記録をデータで保存し、死後、それをもとに、デジタル空間上に意識・人格を再現しようというアメリカの試みを紹介していました。先日の朝日新聞(2016年1月1日)でも、デジタルクローンについて取り上げ、オルツのPAIで作った自分のデジタルクローンを紹介していました。

夢物語のようにも思えるデジタルクローンですが、技術的にはかなり実現に近づきつつあるようです。それと共に倫理的な問題、さらには実用化された場合の法律的な問題も議論されてくるかもしれません。クローンとは違う無機質の機械でありデジタルの人格であるデジタルクローンに人間のような倫理観を当てはまられるのか、もっと具体的には、生きた人、生きていた人の魂を忠実にデジタル状に再現した人格は、簡単に消したりしてもよいのかといった問いが議論されるようになってくるかもしれません。

以下にデジタルクローンの事例をしょうかいします。

アメリカ・テラセム運動財団

NHKの番組では、アメリカ・テラセム運動財団のライフログ(Lifelog)などをもとに、デジタル空間にその人のコピーである「デジタルクローン」を作り上げようとすう試みが紹介されていました。人工知能の力で、個人のライフログ(※1)を統合し、デジタルクローンとして死後に再現するというものです。故人を懐かしむためのものではなく、デジタルクローンと言葉を交わすようにすることが目標となっています。

番組の中では、人工知能ロボット「Bina48」が映れていましたが、Bina48は会話を重ねることで知識を蓄積し、人工知能が自ら学習していくロボットです。ウィットの効いたジョークを口にしたり、過去のトラウマを告白したりと生身の人間のように会話をする様子は不気味にさえ感じますた。

(※1)ライフログ(Lifelog)とは、データとして残された生活全般の記録で、生体情報(心拍数や体温など)、画像、動画、音声、位置情報、SNS上のデータ(ブログやツイッターなど)のなどです。

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(http://www.hansonrobotics.com/robot/bina48/ より)

ダブリンシティ大学カハラ・グリン

ダブリンシティ大学のカハラ・グリン氏は、ライフログをとるためのウェアラブル・デヴァイスを常に装着して自分の生体情報および日常生活のすべてを記録し続けています。画像だけでも8年で1,400万枚になったそうです。こうした膨大なライフログを基にして、デジタル空間に自身の分身(デジタルクローン)を再現しようというわけです。さらに、重要だと思えるログをピックアップし、「大切なデータだ」と感じたときに起こる脳の反応をコンピューター上で解析しているそうで、何が重要なデータかを判断する人工知能の開発をすすめているようです。

オルツ

個人の人工知能(パーソナルAI=PAI)を開発するオルツでもデジタルクローンの開発を進めており、それは、クラウド側にユーザー個別の知識を学習するAI、全ユーザーから学ぶ一般知識を獲得するAI、パターンを認識して回答を作り出すAIの3つのAIエンジンを実装するパーソナルAIによって実現しようというものです。

オルツのデフォルト(初期値)では固有名や具体名は、全てシークレットのフラグが立っていて、ユーザーが個別に許可した固有名だけを、オルツは他人にしゃべるようになっているそうです。オルツの目指すのは賢さよりも「その人らしさ」で、それ故AIではなく「パーソナルなAI(PAI)」と呼んでいるようです。今年中の実用化を目指しており、PAIはSNSの情報やメール、位置情報を取り込んでその人の行動、趣味、人との関係性、口調、癖などを自然に学習していきます。P.A.I.は、死んだ人を仮想的に復活させることができるようになるほか、本人の死後もデジタルクローンが動き続けたり、過去の自分を再現したりすることもできるようになります。

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(http://alt.ai/ より)

Eterni.me

Eterni.meはマサチューセッツ工科大学の起業家養成プログラムから生まれたプロジェクトです。オルツと同様、SNSでの記録などから人格を再現します。「故人のソーシャルメディアなど、生きてきた情報をできるかぎり収集し、それをアルゴリズム化、人工知能化し、亡くなった方の人格に似たアバターを作成して、自分の死後も分身がネット上で生き続けというものです。サービスの目的は、「死の影響」を軽減すること、「記憶」を確認することだそうです。

Eterni.meでは、登録者は自分のWebメールやTwitterなどのSNSアカウントなどをEterni.meに接続しデータを送り込みます。それらのデータは意味づけされ、本人らしい部分を取り出して模倣させることで、その人が死んだ後もネットで永遠に生き続けるという仕組みです。

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(http://eterni.me/ より)

 

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